きょう、7月12日は「ラジオ本放送の日」です。1925年=大正14年のきょう、現在のNHKである「東京放送局」がラジオの本放送を開始したことにちなんで制定された記念日。つまり、来年2025年に、日本のラジオ放送が100周年を迎えます。

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国内では、地域密着型のコミュニティFM局の増加、インターネット配信「radiko」の普及、これまでAMで放送してきたラジオ局が、FMの周波数でサイマル放送を行う「FM補完放送」のスタートなど、ラジオに関して、ここ数十年で、さまざまな動きがありました。海外では、従来のアナログのラジオ放送から、デジタル放送に移行する国も増えつつあります。今朝は「ご当地ラジオ事情」と題して、2つの国の番組通信員の方に現地のラジオ事情をいろいろと伺います。

●ノルウェー・オスロ在住 / 吉川 貴晃さん

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Q1 ノルウェーでは2017年、全国規模の放送局に限って、アナログのFM放送を廃止しデジタル音声放送(DAB)に移行しましたが、反対やトラブルなどはあったのでしょうか?

A1 DAB移行に反対する勢力もありましたが、移行を支持する側がより多数でした。FM放送を停止するためには、DABで聞けるチャンネル数をFM以上に設けることなど一定の条件や、移行期間が明確に設けられていました。これにより、混乱を抑えられていたように思います。

Q2 DAB(デジタル音声放送)は専用の受信機が必要ですが、受信機の普及は進んでいるのでしょうか?

A2 受信機は一般的に市販されているので、聞こうと思えば聞ける状況にあります。現在新車は全てDAB受信機がついており、車を通してDABラジオを聞いている人は多いと思います。ノルウェー中央統計局が公表しているデータによると、ノルウェーで日常的にラジオを聞いている人は、2023年の時点で、テレビと同等のおよそ50%だそうです。自分も車でDAB放送を聞いていますし、インターネットが届いていない地下の駐車場でも、50以上あるラジオチャンネルが全て問題なく聞けるので、強みは依然としてあるな、という印象があります。

Q3 ノルウェーのラジオ局も、ジャンル別にチャンネルが存在していますよね?

A3 大手のラジオ局では、ジャンル別でチャンネルを複数提供しています。スポーツチャンネル、ジャズチャンネル、交通情報チャンネルなど、さまざまな専門チャンネルがあります。サーミ語、ウルドゥー語など、ノルウェー語以外のチャンネルもあります。

Q4 朝の時間帯はどんな番組が放送されているのでしょうか?

A5 チャンネルがフォーカスしている内容にもよりますが、ニュースが流れていることは比較的多いかもしれません。たとえば公共放送のNRKは、テレビでも見られるニュース番組をラジオでも放送しています。

●中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん

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Q1 中国のラジオ局も、諸外国のようにジャンル別でわかれているのでしょうか?

A1 ラジオ局には体育、音楽、ニュース、交通、文芸などで分かれています。主に、そのテーマの内容で構成されていますが、それ以外の内容も含まれます。 また、中央のCNR(China National Radio)傘下の分類は細かく、「経済の声」「閲読(読書)の声」「老人の声」「文藝の声」「郷村(農村)の声」や、その他各地方の方言や少数民族語(チベット、ウイグル、カザフスタン、広東語)のステーションがあります。

Q2 中国政府のメディア規制、日本からの視点ではいわば「言論統制」が敷かれている環境だと思うのですが、ニュース、社会問題や課題を深堀りするようなラジオ番組はどうでしょう?

A2 ニュースはこちらの内政に関するものは、公式発表されたものしか流せないので(それとも「流さない」?)、どのメディアをみても金太郎飴みたいに同じものしかないです。勝手に深掘りなんてしたら、いけません。一例ですが、北京で割とポピュラーな北京文芸ラジオの「おはよう北京」は、軽いニュースに関する(政治以外の)おしゃべりと音楽と宣伝を合わせた内容、交通情報やレジャー情報など。数日同じ(広告主?の)船の旅の話題、マラソンシューズの話題を繰り返し話していました。

Q3 中国のラジオのおしゃべりって、どんなスタイルなのでしょうか?

A3 中国のラジオ局のおしゃべりは男女二人で喋るのが多いです。聞く限り、話題の頭出し以外の台本はなく、具体的なおしゃべり内容は完全にアドリブで高速で喋りまくる、というラフなスタイルのものが結構多いですね。そして、男女のインパクトはどちらかというと、若干女性がリードしている感じです。中国は女性が強いからでしょうか。

Q4 ラジオで流れる音楽についてですが、中国国内のものに限られているのでしょうか?

A4 最近は国粋的になってきてはいるものの、流石にまだ、そこまでは閉鎖的ではありません。欧米のヒットソングからK-POPなど何でもありますね。カビラさんのように半分英語で曲やシンガーの紹介をする音楽専門ラジオ局もあります。

Q5 中国のラジオ、たくさん聞かれている印象でしょうか?

A5 ラジオの根強いファンはいるようですが、主に車で移動中やマラソンやフィットネスをしている時間に聞くという人や高齢者が多いようです。若者の間では圧倒的にティックトックのような動画ベースの発信を視聴する人が増えているようです。