みなさん、ご存知でしたでしょうか? きょう7月26日は「幽霊の日」です。1825年=文政8年のきょう、江戸の中村座で4代目・鶴屋南北による狂言、「四谷怪談」が初演されたことにちなんで制定されました。夫に毒殺されたお岩さんが幽霊になって復讐するという、日本でもっとも有名な怪談話ですよね。そんな「四谷怪談」の舞台、雑司ヶ谷を巡るツアーもあるんだそうですよ。ところで、海外でも、幽霊にちなんだ場所を巡る「ゴーストツアー」が、肝の座っている好奇心旺盛な方々の人気を集めているんだとか。一体、どんな場所を巡るんでしょうね・・・?そこで、この時間は「世界のゴーストツアー」と題して、2つの街の番組通信員の方にお話を伺います。

●アメリカ・ニューヨーク在住 / 中村英雄さん

Q1 アメリカ・・・特にニューヨークではゴーストツアーがさかんなんですって?

A1 そうですね。映画「ゴースト・バスターズ」や「ゴースト」の舞台ニューヨークですから、幽霊や怪奇現象の「聖地」を巡るツアーはたくさんあります。ニューヨークは、アメリカの中では歴史の長い部類の街なので、過去の恐怖譚に由来するツアーが目立ちますね。ツアーは10本ちかくあって通年、行われていますが、だいたい2時間ウォークのスタイル。ガイドさんが「世にも怖い話」風な解説をつけてくれます。値段は30~40ドルが相場です。

Q2 では、どんなゴーストツアーがあるのでしょうか?

A2 例えば、「Gangsters and Ghosts Tour New York City」と題するツアーは、リトルイタリー~チャイナタウン~イーストビレッジなどを2時間かけて歩くツアー。かつてギャングが仕切っていて数々の凄惨な事件があったスポットで背筋を凍らせます。15人限定で料金はお一人様35ドル。また、ニューヨークといえば東西南北に碁盤の目のように通りが交錯する街並みが有名ですが、マンハッタン南部のエリアは独立前の17世紀の開発。道が斜めに交錯して迷いやすく、また現在の建物も150年近く前の古い低層アパートが中心で、いかにも幽霊が好きそうなスポットが多いのです。そんな一角にあるグリニッジビレッジに特化したツアーが人気です。かつて疫病で亡くなった方が眠る公共墓地だったワシントンスクエア・パークや大火があったことで有名なブラウンビルディング(現NY大学校舎)など行き場のない霊がよく徘徊する場所を訪ねます。

Q3 現実に事件があった場所というのが多いんですね・・・。

A3 はい。他にも、幽霊の名所としては、変死した劇場関係者の霊がしょっちゅう出ると言われるブロードウェイの古い劇場。(まさに「オペラ座の怪人」のイメージ。エリアはミッドタウン)や、有名なダコタハウス(アップタウン)などがあります。

Q4 ダコタハウスはジョン・レノンが銃撃されて命を落とした現場ですよね?

A4 はい、レノンの霊もときどき現れるそうですが、1884年建設のこの超高級マンションでは、すすり泣く女性や男の霊が頻繁に「目撃」されており、中でも「19世紀風の黄色い衣装を着たブロンドの子供の霊」が有名で、最近では2015年に出て、テレビ取材が出るほどの大騒ぎになりました。

Q5 ゴーストツアーは年間を通じて行われているとのことですが、やはり「夏は怪談で涼しくなる」日本の感覚とはちょっと違いますよね?

A5 そうですね。ニューヨークには夏にお盆とか先祖供養の習慣がないので、「暑い夏イコール幽霊」という連想はないですね。一方で、10月末から11月頭にかけての、「ハロウィーン」、「万霊節」、「死者の祭り」の時期が、幽霊のかきいれどきです。

●香港在住 / ラム 恵子さん

Q1 香港でも「ゴーストツアー」が行われているんですよね?

A1 ゴーストツアー、クリスマスと旧正月を除いて一年を通じて行われています。ローカルの有名心霊スポットを周る外国人向けの英語ツアーと香港人向けの広東語や中国語でのツアーがあります。

Q2 中でもどんな場所を巡る「ゴーストツアー」が人気なのでしょうか?

A2 一番有名なのが、香港のダウンタウン「湾仔(ワンチャイ)」にある「南固台(ナングウ・テラス)」と呼ばれる煉瓦造りの古い建物内を探索するツアーです。夜な夜な、複数の女性の泣き声が聞こえてくる心霊現象が広く知られています。十数年前に、肝試しツアーの女子高生数人が、建物内で錯乱状態になって警察が出動して新聞の一面になった大騒ぎも有りました。もう一つは、香港島西部ハイストリートにある旧精神病院跡地のツアーです。現在は、その一部しか残っていませんが、病棟地下独房に閉じ込められていた病人の姿をした幽霊が多数目撃されています。かなりの人にハッキリ見えるんだそうです。

Q3 ラムさん、背筋がゾッとしてきました・・あまりにも怖いので、少し話題を変えて・・・香港では、「幽霊」について日本と違う感覚ってありますか?

A3 香港の皆さん、怪談で涼を感じると言う感覚は無いですね。結構信心深い人が多くて「成仏出来ない幽霊を怒らせるとたたられる」と考えている方が多いように思います。これから香港では、日本で言ういわゆる「お盆」シーズンに入るのですが、街の至る所に祖先や霊へのお供えものが見られます。

Q4 そのほか、香港の幽霊や怪談について、押さえておきたいことはありますか?

A4 香港映画でお馴染みの「キョンシー」は、広東語でいわゆる「ゾンビ」のようなものですが、香港の方々にとってのキョンシーは幽霊ではなくてユーモアがあって余り怖くないホラー映画のキャラクターと言う感じです。肝試しよりは、むしろハロウィーンのコスプレによく登場しています。