きのう、8月1日は「花火の日」でした。戦時中に禁止されていた花火が1948年のこの日に解禁されたことにちなんで制定された記念日です。先週は「隅田川花火大会」もありましたし、各地で花火大会ラッシュとなっていますよね。そして、花火といえば、個人で楽しむ「手持ち花火」もありますが、ご自宅にお庭がなかったり、花火を禁止する公園が増えていたり、楽しむ機会が減っているとも言いますね。

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さて、この「手持ち花火」、海外では、そもそも使用が禁止されている国も多いんですよね。そこで、この時間は「世界の手持ち花火事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

●アメリカ・ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん

Q1 アメリカでは州によって「手持ち花火」が禁止されているようですね?

A1 はい。全米50州各州で花火に関して独自の法律を定めています。「手持ち花火」はこちらではConsumer fireworksと呼ばれていて、このConsumer fireworks を完全に禁止している州がアメリカ国内に1つだけあります。どの州だと思いますか?マサチューセッツ州です。マサチューセッツ州では過去5年間に花火に関連した火災や爆発が500件以上発生して、市民や鎮火に当たった消防士など200人以上が負傷して、損害賠償額も150万ドル以上になったことから、許可と認証なしに花火を所持する事も、使用する事も、販売する事も禁止となっています。他の州で合法的に購入した場合でもこの法律が適用されます。ただし、専門家(つまり花火師)が花火ショーを上演することは許可されているので、 州内で花火ショーを鑑賞することは可能です。

Q2 マサチューセッツ州、かなり厳しいですね~。では、ほかの州はどうなっているのでしょうか?

A2 他の49の州では、州法の規定に応じて、何らかの形で手持ち花火の販売を許可しています。どのような花火ができるのかは、州の法律がどの程度緩いのか、またはどれほど厳しいのかによって決まります。例えばハワイ州、ネバダ州、ワイオミング州の3つの州では、州全体で花火の法律を定めるのではなく、それぞれの郡(カウンティ)で手持ち花火の購入に関して独自の規制を設けることが認められています。東京をひとつの州と例えると、世田谷区では線香花火がOKでも、お隣杉並区ではダメ・・・と言った感じです。そしてここカリフォルニア州やNY州など15の州では、手持ち花火の中でも禁止されているのがFirecracker(爆竹)、Bottle Rocket(瓶などに入れて飛ばすいわゆるロケット花火)、そしてRoma Candle(手で持って空に向けて火が噴き 出すタイプの花火)などなっています。危険という事もありますし、州によっては山火事などに発展する恐れがあるので、飛ばすタイプの物は禁止されています。

Q3 これ、違反した場合はどういった罰則があるのでしょうか?

A3 違反した場合、カリフォルニア州では1年の刑務所行き、または5000ドル(1ドル=155円として77万5000円)もしくはその両方が課せられます。この金額や罰則の内容などは州によって異なります。許可されているのは、Sparklers(よくバースデーケーキなどに乗っている花火)、円錐形または筒形で火花が出る花火、Ground snake(火をつけるとにょきにょきと 黒いものが伸びてくる花火)、Ground spinner(火花を散らしながら回転する)など、安全性の高いものが合法となっています。これ以外の31の州では、Consumer fireworksとして認められているすべての花火の使用が許されています。

Q4 では、「合法」な花火はどこで買えるのでしょうか?

A4 アメリカでは7月4日の独立記念日と、New Year's eve(大みそか)の夜に盛大に花火を打ち上げます。この時期になると、ショッピングモールの駐車場などにブースが出来て花火が売られています。

●中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん

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Q1 北京では大規模な花火のみならず、手持ち花火も禁止なんですよね?

A1 北京市の中心に位置する市街地の区で花火が禁止されたのは1993年が初めてで、それ以降も表向きは禁止が続いていました。ただ、こっそり爆竹を鳴らす人がいて、音がするとパトカーがきた記憶があります。その後、北京が一番明るかった上向きモードの2008年の北京オリンピック前後に解禁されて、一時期はものすごく賑やかでした。市民が市内の街中で春節の新年の大晦日に花火を上げて、アパートの窓の下から大型打ち上げ花火が上がるのを見た記憶があります。

Q2 そしてまた北京で花火が禁止になったんですね?

A2 禁止されたのは2017年か、18年ごろからだと思います。禁止された理由は大気汚染対策といわれています。騒音もあります。お年寄りは一時期花火が盛んだった頃は夜眠れなかったと嘆いていたこともあります。もちろん、中国の花火は、爆竹とセットで捉えられており、ご存知のように爆竹は爆音がすごいという事情があります。花火だけならそれほどの音ではないですからね。他にも怪我や火災、花火を遊び終えたあとの街の汚れなども挙げられています。

Q3 では、北京以外の街では手持ち花火をしても良いところもあるのでしょうか?

A3 はい、北京市は河北省に浮かぶ孤島のように位置していますが、河北省の多くの地域で花火・爆竹は可能です。隣接している地域では北京側はしんみり、河北側はものすごいバチバチ、バリバリの轟音という不思議な風景が見られます。同様に他省でも花火産業を地場産業で持っている省もあり、花火ができるところは少なくないです。川の両岸で湖北はダメで湖南はOKという写真も見たことがあります。その場合、やはり民意はやる方で、「なんで我々だけできないの?つまらない!」という声があります。

Q4 中国では、どんな手持ち花火が人気なのでしょうか?

A4 今人気の手持ち花火は「マシンガン花火」。これは長さ80センチくらい、筒の太さは直径6,7センチの筒になっていて、先端から1メートルくらいの大きな火花が飛び散るタイプがあります。他にも、まさにマシンガンのような設計になっていて、マシンガンさながらにカセット式に火薬を付けると、軸が電動でぐるぐる回せるようになっているものがあります。こちらは替えの花火の芯が4本ついたセットなどで、価格は1000円前後から高いものでは3000円位するものもあるようです。値段が高めでも、「年に一回だし、いいじゃん!」ということで買う人も少なくないとか。本物のマシンガンのように、どっしりと重く、1メートル以上の大きな花火が飛ぶので大人が両手でしっかり抱き押さえないと遊べないタイプの花火です。日本だったら設置して地面に置いて遊ぶものを抱えて遊んでいる、という感じですね。それで遊んだことのある30代の友人は「カッコよくて、おもしろかった」と言っていました。