あす、8月10日は、富山県が制定した「ホームヘルパーの日」です。「ホームヘルパー」というと、欧米では家事を代行するメイドさんの意味も含んでいますが、日本では介護や支援が必要な方の家庭に訪問し、援助や介助をおこなう「訪問介護員」のことを指すのが一般的です。介護の分野のうち、この訪問介護員の人材不足が特に深刻で、若い世代がおらず、60代や70代のヘルパーの方々が現場を支えている現状があるそうです。さて、このホームヘルパー、海外ではどんな状況なんでしょうか。この時間は「世界のホームヘルパー事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。
●スウェーデン・ストックホルム在住 / 矢作 智恵子さん
Q1 訪問介護にかかる費用、日本では介護保険の適用でご本人の所得によって1割~3割の自己負担となっていますが、スウェーデンではどうなっていますか?
A1 介護サービスにかかる費用は、コミューンの税財源(地方税)と個人の自己負担で賄われています。自己負担の金額は各自治体によって異なり、サービスを受ける人の所得に応じて最低所得保障額や負担額の上限が設けられています。
Q2 お住いの自治体や、訪問介護を受ける方の状況によって異なると思いますが、おおよその負担額の例を挙げていただけますか?
A2 負担額などは、訪問介護のサービス内容、時間の長さによって違いますが、ストックホルム市においては、最低2時間で264SEK(3700円)ほどとなっています。
Q3スウェーデンのホームヘルパー(訪問介護員)は、どういったケアをしてくれるのでしょうか?
A3 訪問介護士は、掃除や洗濯・食事の用意や買い物など、家事のサポートや、朝起きる際の介助や入浴・排泄等のケア、薬の管理や医師や看護師とのコンタクトなどを行います。介護は、あくまでも高齢者の自立生活支援という考え方がベースとなっています。
Q4 日本ではホームヘルパー含め、人手不足が深刻ですが、スウェーデンではどういった状況なのでしょうか?
A4 スウェーデンの状況も、日本と同じく、人手不足が大きな深刻な問題となっています。また、介護労働者の賃金が他の産業の労働者に比べて低いということも問題です。
Q5 スウェーデンでは、介護に携わる方々の賃金を改善しようという、動きはあるのでしょうか?
A5 労働組合の方でも賃金を改善するという働きかけはあるようです。
Q6 そのほか、ホームヘルパー、訪問介護に関してスウェーデンならではの話題はありますか?
A6 在宅支援に力を入れるスウェーデンでは、介護者、認知症高齢者に対して、家族も介護のメンバーとして労働することでお給料をもらうことができます。「親族雇用」と言われるこの仕組みは、1991年以降は親族のみなず、友人などの身近な人でも認められるようになりました。
●韓国・ソウル / ヤン・ジョンミさん
Q1 韓国ではホームヘルパーによる訪問介護はさかんなのでしょうか??
A1 韓国も急速に高齢化が進んでおり、ホームヘルパーによる訪問介護の需要と供給がますます増えています。高齢者の中で長期療養等級を受けることになれば、保護者がいても療養保護士が訪問してケアを受けることができます。
Q2 韓国でも介護保険が導入されているそうですが、自己負担の比率や、1回の訪問介護にかかる金額はどうなっているのでしょうか?
A2 韓国は「高齢者長期療養保険」が65歳以上を対象に2008年7月から施行されました。自己負担額は0~15%まで分かれてます。また障害や所得によって1~5等級に分かれています。1回のサービスで最低2時間から最大4時間利用でき、等級によって1か月に最大21回~31回までサービスを受けることができます。一般的には本人負担率が15%なので、一番よく利用する1日3時間(15%)を基準にすると、1日の料金54,320ウォン(5~6千円)のうち、8,148ウォン(800円↑)の本人負担金が発生します。1か月(20日利用)にすると約20万ウォン(2万円↑)の費用が発生します。
Q3韓国のホームヘルパー(訪問介護員)さんはどういったケアをしてくれるのでしょうか?
A3 大きく3つに分けられまして、身体活動支援、家事および日常生活支援、認知活動型訪問療養保護支援です。ホームヘルパーは主に家事活動や身体活動などを支援する形態が多く、単純な世話活動が主な業務です。例えば、食事の準備から手伝い、掃除洗い、トイレの利用、歯磨きとか洗面、爪切りやシャワー、車椅子の移動と運動補助など。その他、情緒的な支援でコミュニケーションや話し相手、励まし、非常連絡先など社会的支持体系の連携。散歩や外出時の同行補助、病院訪問時の付き添いや銀行などの官公署業務代行まで日常生活に必要な全般的なお手伝いをします。
Q4 日本ではホームヘルパー(訪問介護員)の人手不足が深刻ですが、韓国ではどういった状況でしょうか?
A4 韓国も少子高齢化で人手不足が深刻です。特にホームヘルパーは需要に比べて供給が非常に足りないので、外国人ホームヘルパー制度を導入しようという動きが起きています。今年9月3日から来年2月までの半年間、韓国政府が試しでフィリピン人家政婦を導入することになっており、8月6日(火曜日)にちょうどフィリピン人家政婦100人が韓国に入国しました。(彼女たちはフィリピンの職業訓練所で780時間以上の教育を受けて、国が認める認定資格所を取った24~38歳の家事管理士だそうです。韓国生活の適応と4週間の教育を終えて来月からサービス(主には子供のケアと家事)を提供することになります。)人手不足の解消に役立つか関心が集まっているところですが、これがうまくいくと、介護者や療養保護士など介護分野にも拡大され、外国人ホームヘルパー導入も本格的に進めていくと予想されます。