きのう、8月22日は「チンチン電車の日」でした。1903年=明治36年のこの日、新橋から品川の間で路面電車が営業を開始し、東京で初めてチンチン電車が走った日、として記念日に制定されています。都内を走る「都電」、最盛期には総延長およそ213キロ、41系統の路線がありましたが、クルマの交通量増加に伴い、徐々に路線は廃止、現在では、都電荒川線=東京さくらトラムを残すのみとなっています。日本には現在も路面電車が走る都市が各地にありますし、去年、栃木県宇都宮市に75年ぶりに路面電車が開業して話題になりました。路面電車は便利ですし、街を走るチンチン電車って、どこか風情があっていいですよね。そこで、この時間は「世界の路面電車事情」と題して、2つの国の番組通信員の方に、お話を伺います。
●ポルトガル・リスボン在住 / 原 悠子さん
Q1 リスボンは路面電車=トラムが走る街、というイメージがありますが、現在の総延長、路線の数はどのくらいなのでしょうか?
A1 最盛期は30路線近くあったようですが、バスや地下鉄ができたり、交通量が増加したことで路線は大幅に減少。現在は、6路線全長31キロです。
Q2 石畳の坂をトラムが走り抜ける印象がありますが、リスボンのトラムは、おもにどういったエリアを走っているのでしょうか?
A2 今ある路線は、市の中心地を大まかに走っています。リスボンは丘が多いので坂を走るイメージがありますが、それだけでなく地下鉄が通っていない場所や、お隣の市まで川沿いを走る線もあります。
Q3 リスボンのトラムは歴史ある車両も多いのでしょうか?
A3 市の中心を走る車両はほとんど内部が木造の古いもの(1車両)です。1970年代のモデルも現役で走っています。市の外までいく走行距離が長いものは複数車両で、ほとんどが新しいタイプです。
Q4 乗り方や運賃の支払い方はどうなっていますか?
A4 手を挙げて止めて、1車両の場合は前乗り前払い後ろ下車です。現金でも払えますし、チャージできる公共交通機関共通のカードがあり、それでも払えます。(きっぷの販売機やATMでチャージ可)新しいタイプの車両だと車内の券売機で現金でも買えます。住んでいる人はほとんどが定期を使っていて、車内の機械にかざして認証しています。前乗りでない場合、切符を買わなくても特にチェックはされませんが、抜き打ちで担当者が車両に乗り込み確認されることはよくあります。ここで切符を持っていないと状況によってはかなりの罰金が請求されます。
Q5 原さんご自身はトラムによく乗られますか?
A5 うちの近くにトラムが来る停留所があるので、よく使います。ちなみに、トラム専用の停留所はなく、バスと共有の場合がほとんどなので、住んでいる人は同じ方向に行くなら先に来た方に乗る、という使い方をしています。
●オーストラリア・メルボルン在住 / 小林純子さん
Q1 メルボルンの街ではトラムがかなり充実しているそうですね?
A1 メルボルンの公共交通機関であるトラムは全長250キロをダブルトラックでカバーしていて世界最長。停留所(ストップ)の数は1700、路線数は24。1日あたり5000本以上運行されている。
Q2ということは、トラムはメルボルンの街をほぼカバーしているような状況でしょうか?
A2 メルボルンのビジネス中心街はもちろん、周辺の郊外もカバー。ルートによって距離は多少異なるものの、中心街から20キロ圏内をカバーしています。
Q3 運賃が無料のゾーンもあるとか?
A3 メルボルン中心部はフリートラムゾーンといって、無料でトラムに乗車できる区間があります。
Q4 トラムの車両は新しいものが多いのでしょうか?
A3 運営会社のヤラ・トラムは現在500超のトラム車両を所有。トラムの型は順次新しいものに入れ替わってきていて、現在そのほとんどは新しい車両。ただ昔懐かしいメルボルン製トラムも中心部を毎日時計回りに朝9時半から夕方5時まで巡回しています。「シティサークル」という名前で無料で走っていて、車両の中では音声による車外のランドマークの説明が流れます。
Q4 乗り方や料金のシステムはどうなっていますか?
A4 トラムストップで自分の乗りたいルートのトラムが来たら手をあげるとトラムが止まってくれます。乗り込んだらmykiという電子カードを読み取り機にタッチオンし、降りる時にタッチオフして料金を支払います。フリートラムゾーン内の乗車ではタッチオン・オフの必要なし。トラムを降りたい時は降りたいストップの前にブザーを押すか、手すりの上のひもを引っ張ると運転手がトラムを止めてくれます。
Q5 小林さんご自身はよくトラムに乗られますか?
A5 職場までは車ないしは自転車で通勤しているのですが、お昼休みに買い物やその他の用事がある時にはトラムを利用することが多いです。1時間しかない昼休みの有効利用に最適です。