8月28日からスタートした「パリパラリンピック」は9日目の日程を終えたところです。国別の「メダル獲得ランキング」をチェックしてみますと、現在のところ、合計 161 個で中国が1位、2位がイギリス、3位がアメリカ、日本は合計 27個で 12位となっています。
残すところ、きょうを入れて3日。早くも終盤となった「パリパラリンピック」、オリンピック同様、深夜のテレビ中継が多いですが、ご覧になっていますか?なかなかリアルタイムで競技を観られない、という方も多いかもしれません。2つの国の番組通信員の方に、現地の状況を伺います。
●開催国フランス パリ郊外でレストラン「ヴェルチュ」を営む、柳瀬充さん
Q1 パリパラリンピック、開催地パリでの盛り上がりはいかがでしょうか?
A1 パラリンピックはオリンピックに比べて盛り上がりは落ち着いた印象ですが、地下鉄に乗ると会場へ向かう方々や、会場のお手伝いをするボランティアの人をよく見かけます。盛り上がりはまだあと数日続きそうです。
Q2 パリパラリンピックの試合は地上波でテレビ中継されていますか?
A2 試合はオリンピック時同様に、連日テレビのFRANCE 2で中継されており、ニュースなどでハイライトも報道されているので、家で観戦している人も多いようです。
Q3 パリ大会のマスコットキャラクター、フリジア帽がモチーフの「フリージュ」も、パラリンピック仕様なんですって?
A3 右足が義足で、競技用のブレードを着用しています。
Q4 今大会、フランス国内で注目された選手について教えてください。
A4 こちらで最近特に注目されたのが、パリ中心で行われたトライアスロン男子(運動機能障害PTS4)で金メダルを取った、フランスのアレクシ・アンカンカン選手です。トライアスロンは水泳、ランニング、サイクリングの3種目を合わせた競技で、期間中セーヌ川の水質の問題で何度か延期になりましたが、無事開催されフランス選手が金メダルを取れたのでニュースで広く取り上げられました。ちなみに、アレクシ・アンカンカン選手は、前回の東京大会に続く2連覇です。
Q5 残すところ3日になりますが、終盤の日程でフランス国内で注目されている競技や選手はいますか?
A5 今後の注目は、オリンピックでも波乱があった柔道で、団体戦、個人だと男子90キロ級(全盲)のシリル・ジョナール選手が注目されるかと思います。それと店の近く、全仏テニスの会場でもあるローランギャロスで行われている車いすテニスも盛り上がっているようです。以前、国枝慎吾選手の「最大のライバル」とも言われた53歳、ステファン・ウデ選手の試合も見どころです。
JK 抑えておきましょう~
車いすテニス、女子ダブルスで上地選手と田中選手のペアが今夜20:30からの決勝でオランダの選手のペアと対戦~日本勢初の金メダル獲得に挑みます上池結依選手は金曜夜のシングルス決勝です(銀以上確定)史上初のダブルスシングルス双方での金??そして、今夜20:30~男子シング初出場の18歳、小田 凱人選手がアルゼンチンの選手と準決勝です。
●中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん
Q1 中国は、2004年の「アテネパラリンピック」以降、前回の東京大会までの6大会連続で、国別のメダル獲得数がダントツで1位なんですよね?!今回のパリ大会でもトップ独走中ですが、そうなると、やはり中国国内でもパラリンピックは盛り上がっているんでしょうね?
A1 今一歩ですね、あまり話題に上りません。
Q2 え~!選手のみなさんが大活躍しているのにですか?!パラリンピックはテレビ中継もされていますよね?
A2 中国のテレビ局はケーブルテレビ方式で、普通の家庭で見られるものだけで100以上あり、そのうちの中国中央テレビ局(CCTV)の体育専門チャンネルがありますが、そこで一部放映されていますが、扱いは大きくないですね。むしろ、イングランドプレミアリーグ(サッカー)や、全米女子オープンの方が扱いが大きいです。
Q3 新聞やネットで金メダル報道、注目選手のフィーチャーはないのでしょうか?
A3 メディアのカバーは本当に少ないです。ネットでも、例えばきのうは普通のニュースはトップのことや、今北京で開催中の中国アフリカ会議や台風で広東省の学校が休みなど。スポーツニュースでも、全米テニスの鄭さん(パリ金メダリスト)やサッカー予備選などの方が先で、ニュースの一つに車椅子フェンシング(中国は2金、3銀、2銅)が入っていただけでした。メダルは取りまくっているので、もう全然珍しくない。中国はメダルのインフレ状態かもしれませんね。
Q4 開会式の日本の中継で、中国には障害者スポーツ専用の施設があるというアナウンスがあったようですが、中国国内でも知られているのでしょうか?
A4 まず、一般市民が自由に使えるようなスポーツセンター自身、公共施設が全国でも最も恵まれている北京市でもまだ限られていて多くありません。ましてや、障害者用の施設というのは北京では今まで聞いたことがありません。周囲の友人や知人にも聞きましたが、みなさん、「聞いたことがない」ということでした。広東省(広州市)は中国のパラリンピック国家チームの「集中訓練任務を積極的に請け負っている」地域で、全国の省の中でもパラリンピック参加選手の規模は最多で、ナショナルチーム284人中の32人を輩出しています。パラリンピック走行会が行われたのも広州市だったので、中国で一番熱心な特別な地域の一例のようですね。ただ、今の「任務」という言葉でお気づきの方もいらっしゃると思うのですが、中国の友人がポロッと言ったのは「(パラリンピックで)メダルを取るのは『せいじ成果プロジェクト』だからな」といっていましたが、国の指導の元で地方政府は、結果を出す=すなわちメダルを取ることを目標に組織的に人材育成や集中訓練に取り組んでいます。元々、中国のスポーツ界はエリート主義の長い伝統があります。