新聞や雑誌、テレビやラジオ、インターネットまで、メディアのコンテンツの1つとして存在するのが・・・「人生相談」。ささいなものから、人生を左右するような重大なものまで、相談者のお悩みに対して、著名人や有識者、もしくは、ほかの読者や視聴者がアドバイスをするといったもの、また、実際に解決へ導こうとするリアリティーショーのようなものなどさまざまあり、いつも時代も人気のコンテンツとなっています。昔から「人の不幸はなんとやら」・・・と言いますしね。さて、海外ではこういった「人生相談コンテンツ」、人気なのでしょうか?現地の「人生相談事情」についてお話を伺います。
●アメリカ・ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん
Q1 アメリカでは人生相談の番組、たくさんありますよね?ぼくがすぐに思い浮かんだのが「ジャッジ・ジュディ」なんですが・・・
A1 テレビでは、カビラさんもご存じの『Judge Judy』。元家庭裁判所の判事が司会を務める仲裁を題材にしたリアリティ法廷番組で、対立する2人が登場して裁判で解決策を見つけるという内容でした。96年に初回が放送されて2021年まで続きましたが、現在も再放送されていますし、99年から昨年5月まで放送された『Judge Mathis』という番組も同じ内容で好評でした。今は『Couple's Therapy』という番組が人気があります。実際に公認臨床心理士と認定精神分析医の両方の資格を持つグラルニク博士が、彼女の部屋を訪れるカップルたちが直面する悩みを解き明かす番組。実際のセラピーセッションの様子が映し出されるという事で人気があります。夫婦間の問題、同性同士のカップルゆえの悩み、若いカップルならではの葛藤などそれぞれのカップルが抱える悩みを本人たちが率直にグラルニク博士に相談しています。
Q2 ラジオの人生相談番組もありますか?
A2 ラジオですと、軽いタッチのものでは、朝のモーニングショーでリスナーと生電話をつないでナビゲーターが話を聞くというシーンを耳にします。"昨日、車をぶつけられた""家族の体調が悪くて落ち込んでいる"こういった話に、時間は短いんですけど簡潔にアドバイスするというもの。もっと深い相談となりますと、こちらは宗教のラジオチャンネルが非常に多く、『New Life Live!』というアメリカで最も大きなクリスチャン・チャンネルでは、心理学者やカウンセラーをスタジオに迎えて、電話をかけてきた相談者(クリスチャンでない人も可能)に答えています。質問内容は、個人的な生活の悩み、子育て、友人関係、性的な問題から、社会的な問題であるドラッグ中毒、ギャンブル依存、家族関係(親の再婚で、新たな家族との間に生まれた問題)などがあります。
Q3 活字媒体ではどうでしょうか?
A3 活字では、『Dear Abby』が人気あります。1956年に始まったアドバイスコラムで、ニューヨーク・タイムズやシカゴ・トリビューンなどでも掲載され続け、現在はウェブサイトで読む事が出来ます。最近のトピックスでは『不倫問題』『ゲイの男性がストレートの男性に恋をして、その彼女から脅迫されている』『義理の妹の異常行動』『SNSでの恋愛関係について』などとなっています。それぞれのコラムの後には読者が意見を書き込めるようになっていて、ここには辛辣なコメントや、同情するものなど、受け取った側の率直な意見が書かれていて、読者の間でも かなり活発にやり取りが行われています。
Q4 こういったお悩み相談、人生相談について、手島さんが、アメリカらしいなと思うところはありますか?
A4 日本人的な考え方では、テレビなど自分の顔まで出して悩みを相談するのは抵抗がある、恥ずかしいと考えますが、アメリカでは『カウンセリングを受ける』という事が日常にあります。専門分野も様々で、『結婚』『仕事』『メンタルヘルス』『スクールカウンセリング』『薬物乱用』『中毒』などがあり、悩みに直面するとまず"カウンセリングを受けてみたら?"というアドバイスを受けますし、カウンセリングを受けている事を隠す事もしません。ちなみに、コロナ後はZoomの普及でセッションを受ける人が飛躍的に増えていて、今は『オンライン セラピーブームが来ている』とUSA TODAYも報じています。
●スペイン・アルメリア在住 / 佐藤 美季さん
Q1 スペインのメディアでは、人生相談のコンテンツ、多い印象でしょうか??
A1 スペインのメディアでは、午前中や夕方など年配向けのテレビ番組ではよく見かけるが、新聞やラジオではあまり見聞きしない印象です。ラジオは、音楽を流している番組が圧倒的に多く、たまに、社会問題をまじめに討論している番組があるという感じです。
Q2 スペインのテレビでは、どのような人生相談コンテンツがあるのでしょうか?
A2 テレビの午前中の国営放送では「saber vivir(生き方を知る)」という健康をテーマにした番組があって、健康相談のコーナーがあります。人生相談については、夕飯前の夕方の時間帯に、公開で言い合いをする番組があります。夫婦間やカップル間の愛憎劇がハデにやられている印象があります。また、離婚後のカップルの養育費のことや子供とのつきあい方の案件が多いような気がします。
Q3 かなりドロドロ系なんですね・・・!ほかにどんな相談がありましたか?
A3 印象に残っているのは、小学高学年くらいの姉妹のけんかで「ペットが深刻な病にかかっていて、妹は夏のバケーションの費用をペットの治療費にあてたいと言い、姉はどうせ治らないのだからバケーションに行った方がいい」というケンカをオーディエンスの大人も混じってわあわあやっていました。
Q4 その番組では、どう解決に導いていくのでしょうか?
A4 解決は、司会者が両方の言い分を聞いた上で、会場からの拍手など反応を見ながら、半ば強引に結論に持っていくパターンが多いです。
Q5 お悩み含めて、佐藤さんがスペインらしいなと感じるところは?
A5 スペインの人生相談のほうがあっけらかんとして明るい印象があります。みんな、言いたいことを言い合っている感じがいます。「夫が20年前にタバコを買いに行くと言ってタバコ屋から帰らない」とかと言っていた年配の女性とか、どこかユーモラスな感じがします。