さて、いま日本では「闇バイト」と呼ばれる犯罪が激増しています。「短時間で高収入が得られる」など、甘い言葉の誘いに応募すると、詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯などに加担されてしまい、犯罪に手を染めてしまう人たちが後を絶ちません・・・。

首都圏では住宅を狙った強盗事件が相次いでおり、専門家によると、玄関や窓の鍵をかけるだけでなく、防犯カメラや市販の人感センサーを設置するなど目につきやすい防犯対策が有効だ、と言われています。

さて、海外では、いまどのような犯罪が多く、どのような防犯対策が行われているのでしょうか。この時間は、「世界の防犯事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

●ブラジル・リオデジャネイロ在住 / 藤井 陽樹さん

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Q1 今週、中国南部の運動施設で、暴走した車が大勢の人を次々とはね、35人が亡くなる痛ましい事件がありましたが、公共の場所や人が集まる場所での事件が相次いでいるようですね?

A1 無差別うさ晴らし系が増えているようです。9月に登校中の日本人学校の男子児童が男に刃物で襲われて、死亡する事件は日本でも大きく取り上げられましたし、上海のスーパーマーケットで男が大勢の人を刃物で切りつけ、3人が死亡、15人がけが。先月には南部・広州の小学校近くの路上で児童ら3人が刃物を持った男に襲われけがをしました。

Q2 かに、中国国内で起きている犯罪はどういったものがありますか?

A2 近年は街中に監視カメラが設置されて「泥棒の時代」は終わった感じです。そのかわり、詐欺が増えています。近くの派出所からは毎週のようにこういう電子詐欺に気をつけてください、という実例による注意喚起のお知らせがスマホに送られてきます。

Q3 どういう手口の電子詐欺に警戒しているのでしょうか?

A3 例えば、警察と称して電話をしてきた人が動画通信で「逮捕状」などを見せてきても、絶対信じないで、というアドバイスがありました。最近は、本当の当局に市民がいきなり捕まるということが実際にもあるので、みんな信じてしまいがちです。あと、業績作りのための「偽のオーダー」に手を貸してくれたら倍の報酬を払うと言って、スマホ上で銀行カードやスマホに紐付けしたネット銀行の情報を盗み取るケースが地元でおきた、というのが最近もきました。抜き取られた被害金額も70万円とか100万円とか大金です。

Q4 さて、「監視大国」なんて言われている中国、監視カメラはどんどん増えているのでしょうか?

A4 中国民間調査の「観研天下」のデータでは、防犯用監視カメラ市場は2015年から2020年で約60億ドルから約100億ドルに急成長。2023年の市場規模は123億ドルに上るとの推計があります。うち、家庭用は10%で、9割は政府機関や商業施設用。

Q5 そのほか、中国で売れている防犯グッズはありますか?

A5 家庭用のドアに設置する電子ロックも流行っています。指紋や顔認証、パスワードで開くというドアの鍵です。さらに、そのロックにドアの外を広角レンズで撮る電子監視カメラが内蔵されていて、携帯などから常に自分のドアの外の様子を監視できるというものです。日本だったらアパートの近所の家のドアもそのカメラに入ってしまう可能性も高く、プライバシーの問題になりそうですが、ここは全くそういう議論は聞きませんね。「安全で良い」「監視対象はあくまで"悪い人"(自分ではないから関係ない)」という感じです。

●中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん

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Q1 今週、中国南部の運動施設で、暴走した車が大勢の人を次々とはね、35人が亡くなる痛ましい事件がありましたが、公共の場所や人が集まる場所での事件が相次いでいるようですね?

A1 無差別うさ晴らし系が増えているようです。9月に登校中の日本人学校の男子児童が男に刃物で襲われて、死亡する事件は日本でも大きく取り上げられましたし、上海のスーパーマーケットで男が大勢の人を刃物で切りつけ、3人が死亡、15人がけが。先月には南部・広州の小学校近くの路上で児童ら3人が刃物を持った男に襲われけがをしました。

Q2 ほかに、中国国内で起きている犯罪はどういったものがありますか?

A2 近年は街中に監視カメラが設置されて「泥棒の時代」は終わった感じです。そのかわり、詐欺が増えています。近くの派出所からは毎週のようにこういう電子詐欺に気をつけてください、という実例による注意喚起のお知らせがスマホに送られてきます。

Q3 どういう手口の電子詐欺に警戒しているのでしょうか?

A3 例えば、警察と称して電話をしてきた人が動画通信で「逮捕状」などを見せてきても、絶対信じないで、というアドバイスがありました。最近は、本当の当局に市民がいきなり捕まるということが実際にもあるので、みんな信じてしまいがちです。あと、業績作りのための「偽のオーダー」に手を貸してくれたら倍の報酬を払うと言って、スマホ上で銀行カードやスマホに紐付けしたネット銀行の情報を盗み取るケースが地元でおきた、というのが最近もきました。抜き取られた被害金額も70万円とか100万円とか大金です。

Q4 さて、「監視大国」なんて言われている中国、監視カメラはどんどん増えているのでしょうか?

A4 中国民間調査の「観研天下」のデータでは、防犯用監視カメラ市場は2015年から2020年で約60億ドルから約100億ドルに急成長。2023年の市場規模は123億ドルに上るとの推計があります。うち、家庭用は10%で、9割は政府機関や商業施設用。

Q5 そのほか、中国で売れている防犯グッズはありますか?

A5 家庭用のドアに設置する電子ロックも流行っています。指紋や顔認証、パスワードで開くというドアの鍵です。さらに、そのロックにドアの外を広角レンズで撮る電子監視カメラが内蔵されていて、携帯などから常に自分のドアの外の様子を監視できるというものです。日本だったらアパートの近所の家のドアもそのカメラに入ってしまう可能性も高く、プライバシーの問題になりそうですが、ここは全くそういう議論は聞きませんね。「安全で良い」「監視対象はあくまで"悪い人"(自分ではないから関係ない)」という感じです。