さて、クリスマスまで2週間を切りましたが、お聞きのあなたは、クリスマス時期に必ず参加しているイベントや行事はありますか?クリスマスマーケットに行ったり、クリスマスパーティーに参加したりクリスチャンのみなさんは教会の礼拝に参加される方も多いでしょうね。(ちなみに=ミサはカトリック用語です~礼拝はキリスト教派を超えた総称です)さて、海外ではクリスマスシーズン、どんなイベントや恒例行事があるのでしょうか。

この時間は「世界のクリスマス行事」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

●オーストラリア・メルボルン在住 / 小林純子さん

Q1 真夏のクリスマスとなるオーストラリア、クリスマス時期はどんなムードなのでしょうか?

A1 メルボルンは12月になると寒かった冬も終わって暖かい季節が到来し、もうすぐクリスマス!という感じになります。商店街のメインロードにはクリスマス飾りや大きなクリスマスツリーが置かれたりと、街全体が華やかな感じになります。住宅街もクリスマス飾りをした家や大きな赤色のリボンで蝶々結びされた街路樹など、クリスマス演出が所々見られます。クリスマス前にスクールイヤーが終了し1ヶ月以上にわたるスクールホリデーに突入する時期と重なって街は大勢の人で賑わっています。

Q2 メルボルンのクリスマス関連のイベントというと、どんなものがあるのでしょうか?

A2 メルボルンのクリスマス・イベントというと、シティ中心部のショッピングモールの中にあるマイヤーというデパートのショーウインドーに毎年飾られているクリスマス・ウインドーと、クリスマスイブに行われる「キャロルズ・バイ・キャンドルライト」というコンサートの二つが挙げられます。例年クリスマス・ウインドーの前には長蛇の列ができますが、今年はオープニング・セレモニーが不安定な国際政治情勢を反映した政治デモによって中止になるなど、比較的静かです。キャロルズ・バイ・キャンドルライトが終わる頃にはメルボルンのシティの真ん中を流れるヤラ川の河岸で花火のショーが始まります。

Q3 オーストラリア、メルボルンのみなさんは、クリスマスイブと当日はどのように過ごされるのでしょうか?

A3 クリスマスイブはほとんどの家庭ではテレビで先ほどの「キャロルズ・バイ・キャンドルライトを見たりして過ごしています。(日本の大晦日にテレビの特番を見るのと同じような感覚かと思われます。)イブの日に教会のミサ(礼拝)に行く人も多いです。25日のクリスマス当日の朝はまずはクリスマスツリーの下に置いてあるクリスマス・プレゼントを開けるのが慣習となっています。そのあとはクリスマス・ランチといって家族や親戚が集い食事をします。ちなみにドイツ系のご家庭ではイブの日に家族や親戚が集いディナーをするそうです。また、当地ではクリスマスの日と翌日のボクシンク・デーは祝日となっています。クリスマスの日は多くのお店やレストランはお休みですが映画館等のエンタメ施設は空いています。最近はクリスマス・ランチを終えて映画を見に行く人も多いようです。

Q4 クリスマスに食べるもの、プレゼントなど、オーストラリアならではのクリスマスの習慣はありますか?

A4 クリスマス・ランチは七面鳥とハムのローストが定番ですが、シーフードも人気です。デザートはクリスマス・プディングやクリスマス・ケーキ(日本でいうショートケーキではなくて茶色のフルーツケーキです)やオーストラリアのパブロヴァというメレンゲを焼いた白くて柔らかいケーキベースにクリームとフルーツでデコレートしたケーキを食べることが多いです。

Q5 ほかに、この時期、メルボルンならではの習慣ってありますか?

A5 クリスマス翌日、12月26日の「ボクシングデー」にはクリケットのボクシングデー・テストマッチが毎年行われます。このテストマッチではオーストラリアのナショナルチームが外国のチームと対戦します。今年はインドと対戦するのですが、ボクシングデーにテストマッチを観にいくのもスポーツ好きの多いメルボルンならではです。この日も街はボクシングデー・セールで大変賑わいます。またここ数年はブラック・フライデー・セールも定着してきました。以前は全く聞かなかったのですが、世界的にオンライン・セールを通じてアメリカの習慣が当地に入ってきたのだと思います。

●フィリピン・マニラ在住 / 澤田 公伸さん

Q1 クリスチャンが多いフィリピン、クリスマスは大変重要なイベントなんですよね?

A1 はい、フィリピンは90%以上の市民がクリスチャンで、そのほとんどがカトリック系なので、ではクリスマスは大変重要なイベントです。こちらでは12月だけでなく、「~ber month」(バーマンス)」と呼ばれる9月から12月までと、誕生したばかりのイエス・キリストを最初に訪問した3人の偉い博士たちの故事にちなんだ1月6日の「三賢者の日」の儀礼までがクリスマスシーズンと言われています。ですから9月に入るとすでに各家庭やモールなど商業施設でクリスマスの飾り付けが始まり、クリスマスソングが流れて、早くもクリスマス到来、という雰囲気になります。

Q2 フィリピンでは、9月からクリスマスシーズンってすごいですね!クリスマスに向けてはどのように盛り上がっていくんでしょうか?

A2 11月中旬くらいから12月中頃にかけて学校や会社、友人たちや各コミュニティーの中でクリスマスパーティーが毎週のように行われます。このパーティーではクリスマス・プレゼントの交換会が重要なイベントになりますので、人々はモールなどで行列を作ってプレゼントを買って、包装コーナーできれいにラッピングなどしてもらいます。また、このパーティーではよく歌やダンスなどのパフォーマンスコンテストも行われますので、学生や会社員らがよく広場や職場などでダンスの練習をしたりしています。

Q3 では、フィリピンのみなさん、クリスマスイブや当日はどのように過ごされるのでしょうか?

A3 フィリピンのカトリック教会でのメインイベントは毎年12月16日から25日にかけて朝の3時から5時ぐらいにかけて行われる「真夜中のミサ(フィリピン語でシンバン・ガビ)」と呼ばれる9日間連続で行われる特別ミサに参加することです。この時ばかりは敬虔な信者でなくとも老若男女が集まり、教会の周りに「ビビンカ」と呼ばれるフィリピン風ホットケーキや「プトブンボン」と呼ばれる米粉と紫芋を使った温かい餅菓子を売る露店が集まり、まるで「村祭り」のような雰囲気になります。この真夜中のミサの最後の日に行われるのが24日深夜から25日に日付が変わるころに行われるイエス・キリストの誕生を祝うミサになります。このミサに家族総出で参加し、家に帰ると、人々は自宅で用意したクリスマスの夜の食事「ノーチェ・ブエナ」を家族一緒に食べます。日本でいうところの大晦日の年越しそばや正月のお節料理に相当する大切な食事です。

Q4 その「ノーチェ・ブエナ」ではどんなものを召し上がるんでしょうか?

A4 この食事では縁起が良いとされる丸い食べ物、たとえば、丸いハムや丸いチーズ、そして8種類から12種類の丸いフルーツなどが用意されています。子豚の丸焼きの「レチョン」が出てくることもあります。あと、長寿を祈って焼きそばなどの麺料理が出されることもあります。この食事を食べた後や、少し寝てから朝起きた時に親から子どもたちにクリスマス・プレゼントが渡されます。12月25日はもちろんフィリピンでは祝日になっており、この日は親子で親戚や子どもの名付け親になった人たちを訪ねて、それぞれ子どもたちが訪問先でお小遣いやおもちゃなどのプレゼントをもらうことになっています。日本でいう年賀のお年玉をもらう感覚でしょうか。