きょう、1月10日は「110番の日」です。毎年、全国の警察で、ダイヤル110番の有効・適切な利用を呼びかけるキャンペーンが行われています。ここ最近、緊急性のない通報や、イタズラ電話が増加していることが問題視されています。110番通報を本当に必要とする方の妨げにならないよう、適切な利用をしていきたいですね。
ちなみに、2019年から、聴覚に障害のある方など、音声による110番通報が困難な方のため、スマートフォンなどを利用して、文字や画像で警察へ通報可能なシステムもスタートしています。さて、この時間は「緊急通報事情」と題して、2つの街の通信員の方に回線をつないで、お話を伺います。
⚫︎ハワイ在住 / 内田 佐知子さん
Q1 ハワイはもちろん、アメリカ合衆国の緊急通報は、警察・救急・消防ともに「911」ですが、多言語対応など、観光地ならではの対応などあるのでしょうか?
A1 ハワイに限らずですが、911のオペレーターは電話がかかってくると、ラングエージラインというサービスに転送して、電話を繋ぎながら通訳が同じ回線に入ってきて話が通じるようにすることができます。どんな言葉の人にもサービスを与える義務が国の法律で決まっているため、これは無料で提供されています。
Q2 アメリカ国内で911通報が多い州のランキングで、ハワイ州が4位というデータがあります。緊急性のないものや、イタズラなどもあるのでしょうか?
A2 ハワイは有料なので、日本ほどではないかもしれません。また生死に関わることは911で、急を要さないものは808-935-3311の長い番号で、という使い分けもするようにと呼びかけています。こちらの番号にテキストも送ることができます。元々は耳が聞こえない、目が見えない人のためのサービスでしたが、今は、そんなわけかたをしています。警察に関しては急を要さないものは長い番号のほうに連絡をするようにとも言われています。あと間違って電話した時には間違ってダイアルしたと伝えるようにも言われています。そうでないと緊急状態で電話をして、それで切れてしまったと思われて、実際の緊急扱いになってしまうからです。
Q3 緊急通報に関して、観光地・ハワイならではの課題などありますか?
A3 人手不足でオペレーター、ディスパッチャー(緊急車両配車係)が少ないので、件数をこなすのが難しくて、電話をホールドにされることが多いことです。その人手不足が課題かと思います。ハワイのHPD(州警察)では月に1万~1万2千平均で911の電話が来たり、年に100万件以上の911コールがあるそうです。また昨年の11月に、911が数時間シャットダウンして使えないという緊急事態が起こりました。結局、電話回線を提供しているハワイアンテレコム側の問題だったのですが、その際は、911ではなくもう一つの番号を使うようにと指示がありましたが、それでもとても危険な状態だったとかなりの指摘を受け、その対応の答えはちゃんとなくていまだに謎のままだったりもしています。
●イタリア・ローマ在住 / 村本 幸枝さん
Q1 まず、イタリアでは、警察への緊急通報の番号が2つあるそうですね?!
A1 はい、イタリアにはいわゆる警察にあたる機関が2つあります。一つはポリツィア (Polizia) と呼ばれる国家警察。電話番号は113。もう一つはカラビニエーリ(Carabinieri) と呼ばれる国家憲兵 (軍事警察) で電話番号は112。こちらは、警察、憲兵、救急、消防の共通の番号にもなっています。
Q2 国家警察の113、国家憲兵(軍事警察)の112、どのように使い分けているのでしょうか?
A2 どちらも緊急事態が起きた際に市民が通報できる電話番号ですが、2つの機関の大きな違いは国家警察が内務省に属しているのに対し、国家憲兵は国防省に属しており、テロリズムなど国家の安全が脅かされるような緊急事態では武装勢力となって国を守ることです。日本のイタリア大使館もそうですが、各国にあるイタリア大使館にも必ず国家憲兵が派遣されています。ただ、警察も憲兵も同じように街のパトロールをしたり、検問をしていたりと、普段の生活をしている限り、一般市民からするとその違いはよくわからないというのが正直なところで、例えば、私の友人が空き巣に入られたときは、国家憲兵に電話をしていましたし、外国人旅行客が盗難にあった際はどちらの機関でも被害届けを出すことができます。
Q3 イタリアでも、通話での通報が難しい方のための対応も進んでいますか?
A3 聴覚障害の方や、DVや誘拐、いじめなど、犯罪現場にいて通報ができない場合は 112番に助けを求めるショートメッセージを送ることが可能です。また、YOUPOLというアプリを使って画像や位置情報を警察に送ることができます。 このアプリでは聴覚障害者として事前に登録しておくこともできます。
Q4 ちなみに、緊急性のない通報や、イタズラといった問題はイタリアにもありますか?
A4 共通緊急番号112番へのいたずら電話は、大した緊急事態ではなかった例も含むと半数以上だとのことですが、年々、その数は少しずつ減っているようです。その7割以上は救急車に対するもので、警察へは10 %弱、憲兵へ2%に満たないらしいです。ちなみに国家警察、国家憲兵に対するいたずら電話は6ヶ月の懲役または最高516€(日本円で8万5千円ほど)の罰金が課せらます。