昨日2月6日は「抹茶の日」でした。

抹茶の生産地である愛知県西尾市の茶業振興協議会が、1992年に制定した記念日です。農林水産省によると、日本茶の輸出量は過去10年で2倍以上に増加。特に「抹茶」を含む「粉末茶」の需要が拡大し、輸出額は過去最高を記録しています。「粉末茶」の輸出量のトップはアメリカで、台湾、ドイツと続いています。この海外での抹茶人気は、日本食ブームや健康志向の高まりが背景にあるようですが、まだまだ広がりそうですね!そこで、この時間は、「世界の抹茶ブーム事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。
⚫︎ドイツ・ミュンヘン在住 / 町田 文さん
Q1 ドイツの抹茶ブーム、だいたいいつ頃から、どのようなきっかけでブームが始まった印象でしょうか?
A1 メディアで取り上げられるようになったのは2012年頃からです。元々ドイツ人は紅茶やハーブティーを好み、スーパーでは色んな種類のお茶が売られています。グラム単位で買えるお茶専門店もあります。緑茶は前からあったので、このような専門店が抹茶を扱い始めたのがきっかけだと言われています。正直、誰もが「Matcha」が何か分かるわけではありませんが(「Sushi」や「Ramen」に比べて認知度はまだ低い)、都市部に住んでいたり、グルメトレンドを追っている人なら、日本文化に馴染みがなくても知っていると思います。
Q2 ドイツのみなさんは「抹茶」に対してどんな印象をお持ちでしょうか?
A2 リラックス効果がある、体に良いといった印象だと思います。しかし、追究すると普通の緑茶と比べて効果大というわけではない、といったドイツ語の資料も見つかります。私はたまにドイツ人が開催している瞑想教室に通っているのですが、そこでは3月に「抹茶と瞑想」という名のワークショップがあります。茶道を通して心を落ち着かせる練習をするそうです。普段は日本とは無縁な教室が、このようなイベントを行うのが意外であり、面白く感じます。金銭面では、日本と変わらず抹茶は他のお茶よりもはるかに高額です。大手スーパーでは30グラムが10ユーロ(約1600円)で販売されています。紅茶専門店で100グラム4~5ユーロなので、それに比べれば高額ですね。
Q3 ミュンヘンでも抹茶を提供するカフェは増えていますか?
A3 抹茶ラテを提供しているカフェは数件見たことがあります。ちゃんと抹茶の味がして、日本と同じでした。ドイツにはスターバックスもあるのですが、そこでも抹茶ラテが提供されています。4ユーロ60セント(約720円)なのでちょっとお高めです。
Q4 抹茶をアレンジしたスイーツなども人気なのでしょうか?
A4 ミュンヘンには日本人のパティシエさんが運営している「たんぽぽ」というカフェがあるのですが、そこでは抹茶のスイーツ(シュークリーム、ミルフィーユなど)も食べられます。ドイツ人が運営しているカフェで抹茶系のお菓子はまだあまりないですね。ただ、グルメトレンドとして抹茶を利用したレシピはたくさんあります。抹茶と苺のティラミスを作ったことがあるのですが、そのレシピもドイツのウェブマガジンを参考にしました。ドイツ人はよくケーキを焼くので、斬新なお菓子作りが好きな方は抹茶に挑戦すると思います。
⚫︎フィリピン・マニラ在住 / 澤田 公伸さん
Q1 フィリピンでも抹茶ブームがあるとのことですが、いつ頃から、どのようなきっかけで始まった印象でしょうか?
A1 フィリピンのスターバックスや日系のサンマルクカフェなどがマニラ首都圏や大都市などのモールなどで抹茶ラテなどを出すようになったと思われる15年~20年前ぐらいから抹茶は少しずつフィリピンでも知られていましたが、やはりフィリピン人の日本旅行が一気に増えたコロナ禍以降の2022~23年ぐらいから本格的なブームになっていると感じます。
Q2 フィリピンのみなさんは抹茶にどんな印象をお持ちでしょうか?
A2 フィリピンではカフェラテなどの味・風味がそのまま抹茶になった抹茶ラテや、チョコレートの風味が抹茶になったキットカット抹茶味などの人気が非常に高いほか、アイスクリームのバラエティとして抹茶アイスクリームが喜ばれている感じがします。つまりどれも甘い味付けで、日本の本来の茶道などで紹介される少し苦いお茶としての抹茶の味や、風味などを知っている人はまだかなり少数のようです。
Q3 マニラでは抹茶がいただけるカフェは増えていますか?
A3 とても増えています。大手のカフェチェーンだけでなく、個人経営のカフェなどでも抹茶風味のドリンクを出しているのを見かけます。2022年末にフィリピンで初めてオープンした三越BGCデパート(首都圏タギッグ市ボニファシオグローバルシティ=BGC=)の1階玄関口近くに出来た日系のオーガニック抹茶専門カフェは現在、朝の開店から閉店まで特に中流・上流階級の若い人たちでいつもにぎわっていて、フィリピンでも首都圏の商業地区で抹茶がブームになっていることがよく分かります。
Q4 抹茶をアレンジしたスイーツも人気ですか?
A4 人気です。抹茶アイスクリームや抹茶チーズケーキ、抹茶チョコレートや、あとわらびもちと併せた抹茶風味のスイーツなどもあります。
Q5 フィリピンでの抹茶ブーム、今後も広がっていきそうですか?
A5 抹茶自体が高級品で、抹茶風味のドリンクなども普通のコーヒーやミルクティーに比べると値段が高いですので、抹茶ドリンクが庶民のフィリピン人までブームが広がるかどうかは、これからの飲料業界の本気度にかかっているような気がします。