4月4日は「ピアノ調律の日」です。調律の基準音である「ラ」の音の周波数が440ヘルツであることにちなんで、「国際ピアノ調律製造技師協会」が1993年に制定した記念日です。
さて、ピアノといえば、習い事の1つとしてもメジャーですよね。音楽教室に通っていた、ご自宅への出張レッスンでピアノを習っていた、もしくは現在習っている、という方も多いでしょう。
さて、そんなピアノをはじめとした音楽レッスン、海外ではいろいろと事情も違うのでしょうか?この時間は、「世界の音楽レッスン事情」と題して、2つの国の番組通信員の方に、お話を伺います。
⚫︎ロマン派のピアニスト・作曲家、リスト・フェレンツの出身地としても知られるハンガリー・ブダペスト在住 / 梅村 欣世子さん
Q1 オーストリアのウィーンと並んで「音楽の都」とも言われるブダペスト、やっぱり音楽レッスンをおこなっている教室は多いのでしょうか?
A1 まず、ハンガリーの音楽教育は日本とは根本的に異なります。日本では楽器メーカーの音楽教室や個人の教室がたくさんありますが、ハンガリーでは音楽学校で楽器を教えます。
個人的にレッスンを受けるケースはほとんどないです。楽器を習いたい子どもはまず、必ず音楽小学校(8年)に通います。その後、音楽高校、音楽大学へと進みます。
Q2 えっ、ハンガリーには音楽教室はないんですか?!日本的な「習い事」レベルではなく、音楽は専門的に進む「道」以外は存在しないということなのでしょうか?小学生から音楽の道、と決められるんですか?趣味、嗜みレベルを志向することはできないんでしょうか?
A2 習い事としての音楽教育も音楽学校が担っています。全員がプロを目指すわけではなく、楽器が弾けたらいいなと音楽小学校に入学する子供も少なくありません。趣味、嗜みの受け皿としての音楽教室が、現時点では存在しないということです。もちろん、個人的に教えている先生はいると思いますが、一般的ではありません。また、音楽小学校に入って卒業時点で別の道を選ぶのは可能ですが、逆に高校から音楽高校に入るのは非常に稀だと思います。
Q3 では、その音楽学校では、ピアノのみならず、どんな楽器のレッスンが人気なのでしょうか?
A3 ちゃんとした統計に基づくものではありませんが、私個人の感覚として、ヴァイオリンケースを持っている子供たちをよく見かけます。日本ではヴァイオリンはあまり一般的ではなかったように思いますが、ここではヴァイオリンを習う子供が多いようです。他には歌や管楽器も人気があるようです。
Q4 音楽学校の学費は、おおよそどのくらいなのでしょうか?
A4 はっきりした金額はわかりませんが、ある音楽小学校のウェブサイトによれば、半年ごとに、日本円で5千円から2万円ほどのようです。成績によって金額に差があるようで、優秀な子は安価でレッスンが受けられます。才能のある子が経済的な理由で諦めないようにということだと思います。
※(参考)日本のピアノ教室の場合、大手の音楽教室(通い)だと月謝は5000~8000円程度、個人レッスンや出張レッスンだと上限は月13000~15000円くらいのようです。
Q5 音楽学校が主催する発表会・コンサートは頻繁に行われていますか?
A5 音楽小学校から音大まで、定期的に試験を兼ねたコンサートが開かれています。特に音大の卒業試験を兼ねた演奏会は、プロの卵の演奏で聞きごたえがあります。
Q6 学生のみならず、大人向けの音楽レッスンはないのでしょうか?
A6 個人的な話で恐縮ですが、私は子供の頃にピアノを習っていました。大人になってからどうしてもヴァイオリンを弾きたくなり、先生を探したのですがこれがなかなか見つからず。最終的に音楽学校の先生に個人的に教えていただくことになりましたが、先生も「大人の初心者」にかなり戸惑っておられました。子供ならすぐできることが出来ないし、そのくせ楽譜は読めるので単純な練習だと飽きてしまう(と先生は思われたようです)実に大変でした。
また、最初にお話しした音楽学校ですが、中には途中で進路変更し、音大に進まない人もいます。職場でたまたま子供の頃の話になり、なんとヴァイオリンとチェロの経験者がいて、二人とも音大には進まなかったものの今でも趣味で続けていると言うので、「私もピアノを今でも趣味で弾いている」と言ったところ、とんとんと話が進んで室内楽を演奏することになりました。まさかこの年齢でこんな楽しい経験ができるとは思いもよらず、老眼と闘いながら楽譜を読んで、動かない指を何とか動かして楽しい時間を過ごしています。
⚫︎ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん

Q1 ロサンゼルス、音楽レッスンを受けられる教室、多そうですね??
A1 ロサンゼルスでは、子供たちがピアノを習うのはとてもポピュラーです。YAMAHAをはじめ、ピアノ教室がLA各地にあります。どの教室もだいたい3歳から入会可能で、大人も受講する事が出来、プライベートレッスンやグループレッスンなども用意されています。内容もクラシックのみならず、ポップミュージックやジャズなど様々なスタイルで指導しています。個人的にお家でレッスンをしている先生もたくさんいらっしゃいます。
Q2 いろんな音楽を学べる中で、LAではどんな楽器のレッスンが人気なのでしょう?
A2 ピアノに並んで人気がある楽器はギターやドラム、ヴァイオリンなどです。また楽器の演奏ではないのですが、ボーカル=歌のレッスンも人気で、発声から歌い方、どう聞かせるかのテクニック、ステージでどう自分を表現するかといったパフォーマンスの方法まで教えてくれます。ボーカルレッスンから発展してミュージカルのレッスンもポピュラーで、歌うだけでなく、ダンスや演技も習得して、将来ステージに立つことを夢見る子どもたちもいます。さらにデジタル音楽やDJレッスンも若い世代に人気があって、子供たちは音楽制作ソフトや機材を使って、自分の音楽を作り出す仕組みを学んでいます。
Q3 ミュージカルにデスクトップミュージックまで!!さすが、エンターテイメントの街、ロサンゼルスならではの活況ぶりですね!ところで、レッスンの料金はだいたいどのくらいなのでしょう?
A3 1時間のレッスン料は平均して27ドル、日本円でおよそ4000円(1ドル=150円)くらいです。
Q4 音楽教室が主催する発表会、コンサートもありますか?
A4 発表会は近くのホールなどを借りて行う事もありますし、小さな発表会は、先生のおうちの広いリビングルームにグランドピアノを置いてそこで行われたりします。
Q5 最後に、幅広い年齢層を対象に音楽レッスンがおこなわれているとのことでしたが、シニア世代にも人気なのでしょうか?
A5 大人クラスは18歳以上でしたら入会できるところが多く、「もう歳だから・・・」という考えがないアメリカでは、70代、80代のシニア世代でも音楽のレッスンに通っています。近所のコミュニティセンターやコミュニティカレッジで提供されるシニア向けプログラムにもピアノやギター、ヴァイオリンなどの楽器演奏クラスがあり、グループで演奏したりコンサートに出演したりして、音楽を楽しんでいらっしゃいます。