ON AIR DATE
2016.06.26
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Why do you travel? Why you're not?

TUDOR logo

Theme is ... RECORD


『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「レコード」。
先週に続いて、「アナログ・レコード」の話題から、
訓市が行きつけのバーでマスターと語り合う「球」の話、
旅先でのレコード店巡りのススメなどについて語ります。


★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。
この夏の間に、「ドライブ・ミュージック」特集もお送りする予定です。

旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお願いします。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.06.26

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Time After Time / Cassandra Wilson

アメリカの女性黒人ジャズ・シンガー、カサンドラ・ウィルソンによる1999年のアルバム『Traveling Miles』に収録されているシンディ・ローパーのカバー・ヴァージョンです。

2

Sometimes I Cry / Eric Benet

絶品の名唄!エリック・ベネイのファルセット・ヴォイスを全編にフィーチャーし、ホーン・アレンジも素晴らしいR&Bの名トラック・・・2010年のアルバム『Lost In Time』に収録されている曲です。

3

I Can't Make You Love Me / Bon Iver

ヴォーカル&ギターのジャスティン・バーノンを中心としたアメリカのバンド、ボン・イヴェール。2011年リリースのセカンド・アルバム『Bon Iver, Bon Iver』に収録。

4

I'm On Fire / Bruce Springsteen

ブルース・スプリングスティーンの代表作、1984年のアルバム『Born In The U.S.A.』から。

5

ある朝、風に吹かれて / EPO

日本のシンガー・ソングライターEPOが1992年にリリースしたシングル曲。

6

I Want To Be Your Man / Roger

黒人男性アーティスト、ロジャー・トラウトマンのソロ・ユニット、ロジャーの1987年リリースのアルバム『Unlimited!』収録曲です。

7

Don't Disturb Groove / The System

1980年代に活躍したR&B男性デュオ、ザ・システムによる1987年のヒット曲。時代を象徴するシンセサイザーの音が新鮮!

8

Something / David Newman

今は亡きレイ・チャールズのサポートを務めたこともある黒人サック・プレーヤー、デヴィッド・ニューマンによるソウル・フレーバー溢れるビートルズ・カバーです。

9

Mellow My Mind / Neil Young

訓市フェイバリットのシンガー・ソングライター、ニール・ヤングの1975年アルバム『Tonight’s The Night』から。

2016.06.26

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★
レコードは家でも聴けますし、DJがレコードをかけるパーティーに行って、ディスコなんかを聴いたりすることもありますが、一番よく聴くのはバーや喫茶店かもしれません。僕にはいくつか行きつけのお店があるんですけど、特に60歳のおじさんがレコード10,000枚に囲まれて1人で切り盛りするバーによく行きます。最近はこういうお店って珍しいんでしょうね。SNSとかで広がって、すっかり外国人客とか若い子たちで混み合うようになりました。それはそれですごく楽しいんですが、昔の『経営は大丈夫なのか?』って心配するほど人がいない頃のバーというのも懐かしく思います。そこではおじさんが黙ってかけてくれる昔のソウルやジャズとか、いろんな黒い音楽というのを聴きながらウォッカ・ソーダだのウィスキーのハイボールなどをしこたま飲んでいました。ちなみによく、『野村さんはお酒とかにもこだわりそうですね。』って言われますが、はっきりいって少しもありません。僕は酔えればいい、というタイプなので、たくさん飲むのであれば無味無臭、というポリシーがあります。味があると飽きてくるで、ウォッカ・ソーダとか、まるで麦茶のように飲めるハイボールがあればいいという感じです。ちなみにこういうバーではジェムソンというアイルランドの安いウィスキーを飲んでいます。ウィスキー好きというとみんな、スコットランドのシングルモルトだの、アメリカのバーボンだのって言いますが、僕はそういうのはないですね。普通のシングルモルトって匂いとか癖がすごく強いと思うんですけど、あれはピートという泥炭かな?藁というか、水草のようなものからできた炭みたいなのを燃やして、それであのフレーバーをつけるらしいんです。でも、このアイルランドのウィスキーにはそれがないので、香りが足りないという人もいますが、大量に飲むときはこれが飲みやすくてスイスイと飲んでしまうわけです。そうやって飲みながらレコードをかけて、おじさんとレコードと真空管の話を延々とするのが無常の喜びでした。真空管、アンプに使う電球のような球なんですが、見てくれのように通常“球(タマ)”といいます。2人で興奮しながら『あの球がいい』だの『球を入れ替えたい』だの大声で話していたら、かなり怪しい目で他のお客さんに見られたりしていました。でも、そんなの関係なく『え、50年代の球が手に入るの?!おじさん!』みたいな話というのは本当にたのしくて。また音に合わせて真空管を変えると違うんだよ、なんていう話をしながら夜が更けていく。こんな話をしていたらバーに逃げたくなってきました。



★★★★★★★★
今、レコードを聴く機械を持てるお店というのがすごく増えてきた気がします。それは日本でも海外でも一緒なんですが、気に食わないこともあります。『俺は質の良さ、こだわってますよ。』みたいな、言わないけどこの気持ちを汲んでくれ、みたいな店にはピカピカのレコードプレイヤーとピカピカのレコードが置いてあるんです。もはやインテリアの一部なんじゃないかって、なんだかなぁと思うこともあるんですが、それはそれでいいのかなとも思います。聴けばきっと、レコードの良さがわかるはずなので。以前、自分が内装したお店にもレコードプレイヤーとアンプを置いたんですけど、若い子が自分で買ったレコードをそのお店に持ってきたことがあったらしいです。今までちゃんと聴いたことがなくて、すごくいい音だったので、自分が好きな曲をぜひそのレコードで聴いてみたいと持ってきたらしいんですよ。そういうのってすごく面白いなというか、レコードを見ずに育った人たちにとっては、ものすごく新鮮なんじゃないかなと思います。今、コーヒー屋さんなんてすごく流行ってますけど、そういうコーヒー屋さんも結構、通ずるものがあるのか、よくレコードが置いてあります。ひねくれた僕はその機材を見て『ここは儲かってんな。』とか考えたりするのが好きです。ニューヨークとかサンフランシスコにもたくさんありますね。昔、古い機材が好きだって言うと、完全に音オタクみたいな感じか、友達のお父さんが応接間に持っているような感じでしたけど、知り合った若い子たちもレコード好きが多くて、中には古い機材の部品を集めてそれを組み込む箱、キャビネットって言うんですけども、それを自作してすごくいいスピーカーを作る子もいます。彼はまだ30代の、昔はグラフィティーアーティストで洋服のデザインなんかをやっていた子で、そういう子たちが面白がってステレオを作ってレコードを聴いてるというのはいいことだなと思います。みんな言うのは、レコードは音もいいけどジャケットを眺めたりするのもすごくいいねって。そんなこと言われると『やっと気づいてくれた?』みたいな。今まで懐古趣味なんて言われて揶揄されていましたが、すごくいいんじゃないかなと思います。そしてみなさんもこれから待望の夏休みが来ると思いますが、そんな時に旅先で中古のレコード屋巡りをするというのはすごく楽しいんじゃないかと思います。特にその土地で生まれた音楽というのは、その場所で買ったりするとすごく種類があったり、なんか感動します。例えば、僕はニューヨークに行くとA-1 RECORDというレコード屋さんによく行きます。そこでレアなレコードを掘るのもいいんですが、その地元の英雄というか、ちょっとしたミュージシャンのレコードを見つけてそこで買うと、すごく正しいことをしているような、地産地消って言うんですか。やっぱりここの街のレコード屋には絶対これがあるんだよねっていう喜びみたいなのがあります。そこでまたお客さんと知り合ったり、『それが好きなの?じゃあいいお店があるよ。』とか、そういう出会いもあったり。きっとこの番組を聴いているみなさんは音楽好きだと思うので、ぜひ違った形の音楽遊びを、レコードを通じてしてみてください。