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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
ウェス・アンダーソンが“黒澤映画”を熱弁。ストップモーション・アニメで得た新たな強みとは?
Theme is... ウェス・アンダーソン滞在記
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅にまつわるエピソードと、その旅にまつわる思い出の曲をお届けします。
後半のテーマは「ウェス・アンダーソン滞在記」。
映画『犬ヶ島』の公開に合わせて13年ぶりに来日したウェス...
約2週間の滞在中、ほぼ一緒に過ごした訓市流の「おもてなし」とは?
「くろさわ」での打ち上げ、新宿ゴールデン街、京都・修善寺の温泉旅、
そして、村上春樹さんと3人で過ごした濃密な時間について語ります。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・
お待ちしてま〜〜〜す!!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Redbone / Childish Gambino
Crash Into You / Dave Matthews Band
Separate Lives / Phil Collins & Marilyn Martin
When He Wrote / Laura Marling
その線は水平線 / くるり
Pastcards From Italy / Beirut
Misread / Kings Of Convenience
Fix You / Coldplay
Daydreaming / Radiohead
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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ちょうど先月の終わりに、3年かけて作った映画『犬ヶ島』が日本でも公開になりました。ストップモーションという、人形コマ撮りのアニメ形式のものなので、大人の人にとっては“子供向けだろう”と思う人も多いみたいです。とっつきにくいかもしれませんが、観た方は『とても面白かった』と言ってくれているので、よかったなぁと今はほっとしているところです。ウェスも13年ぶりに来日して2週間ほど日本にいました。2週間のうち1日以外、毎晩、必ずご飯を一緒に食べて、酒を飲んで、最後にはプチ旅行にも行ったもので、濃い二週間となりました。とにかくウェスという人自体、どこまでが本気でどこまでがふざけていて、どこまでが天然なのかが非常に線が曖昧な人で、一緒にいて飽きないんです。どの日も面白かったですが、まず楽しかったのは、日本で最初に上映をやるプレミアの式典があって、そこで始めて日本人のキャストほぼ全員が集まって、ご飯を食べることになりました。黒澤明監督をすごく敬愛している『黒澤』というお店に行ったんですけど、映画のポスターとかも全部飾ってあって、ファンが見たら喜んじゃうようなお店。そこに30人ぐらいで行ったんですが、4人掛けの机なので30人といってもバラバラになってしまったんです。この夜はどうなってしまうのかなぁ〜とちょっと気を揉んだところもあるんですけど、酒が入って20分位したらいつの間にか皆が席を立って勝手に移動を始めて、やんややんやの酒盛りとなりまして、とっても良い夜になりました。一番若くて村上虹郎、21歳。一番上が今回、特別にポスターを作ってくれた『AKIRA』で有名な大友克洋さん。大友さんもちょうど上映のときにいらしてて、「飯食いに行くので一緒に行きませんか?」と聞いたら、「行こっか」となりました。年齢も性別も国籍もばらばら。ウェスはアメリカの人、プロデューサーはカナダ人、その彼女がニュージーランド人。いろんな人が集まって勝手に無礼講な感じで話してるのが本当に楽しくて、日本にもウェス組っていうのができたなぁと、深く感じる夜でした。あと、ゴールデン街に一緒に飲みに行った夜もすごく面白かったです。13年前に連れて行ったバーにまた行って、そこで自分が書いたスケッチを見て追加の絵を書いたりしたんですが、そのお店でボトルキープをしました。「入れるボトルはウイスキーにしよう」って話していたときに、『戦場のピアニスト』とかウェスの前作『グランドブダペストホテル』にも出ていた、俳優のエイドリアン・ブロディもちょうど別件で日本に来ていたので一緒にいて、「ズブロッカがあるから、ズブロッカにしてくれ。」と言い出し、いきなりボトルキープの酒がズブロッカになってしまったんです。嫌いじゃないけど好きじゃないお酒トップ3に入るのが、ズブロッカ。どうやって飲もうかなと思ったら、エイドリアンが「リンゴジュースで割って飲め!」と強く勧めてくるんです。僕はお酒をフルーツジュースで割るのがものすごく苦手なんですが、エイドリアンが絶対に引かないんです。「じゃあ、ソーダで割ろうかな」「リンゴにしとけ、リンゴが一番なんだから」「じゃあリンゴにしようかな」。ウェスも、「じゃあリンゴにするよ」。そしたらすごく美味しいんです。「シャルロッカ」というカクテルらしくて、エイドリアンに「これ、うまいよ!」って言ったら「だろ?これは俺が戦場のピアニストの撮影をポーランドでしていたときに、長期の撮影で辛かったけどこの酒で俺は乗り切ったんだ」と。あまりにも美味しくて、結局、そのバーには一時間ぐらいしかいなかったんですけど、ほぼ空になってしまいました。ボトルだけは名前をウェスが一生懸命書いていたので、そのバーにまだ置いてあります。
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ウェス・アンダーソン滞在記。仕事が一段落してから行った小旅行もすごく楽しかったです。京都に行ったり伊豆の修善寺に行ったりしたんですが、京都ではホタルが飛んでいて、これにはもう大喜び。しばらく酔っ払いながら橋げたでずっとホタルを見ました。修善寺では一緒に露天風呂に入って、熱いお湯が苦手だというので、一瞬で真っ赤になって出てましたけど、「こんなに風情のある風呂はない!」と言って、気に入ってずっと浴衣を着てました。そこで日本酒を飲みながら、「次の映画はフランスで作るから、訓も一緒にやろう」と言われて、一瞬、躊躇しましたけど、気付くと、こうやってまた酒を飲んだり、旅行できるんだったらいいかと、まだ何をやるかわかりませんが「うん!」と言ってしまいました。そんな中で一番面白かったのは、村上春樹さんと一緒に酒を飲んで、ご飯を食べたことです。僕はそもそも村上さんを取材するというアポが入っていて、行くときに、ウェス・アンダーソンという監督が日本にいるので、連れてっていいか、というのを伺ったんです。そしたら、「取材のあとにお茶をするなら時間があります」という返事をいただきました。村上さんは今までのウェスの映画を全部観ていたらしく、とても面白い人だと思っていてくれたみたいです。取材が終わって待ち合わせのカフェにテケテケ歩いて行くと、もうすでにウェスの方が着いていて、携帯に「もうカフェの地下にゴッドファーザーみたいに座らされてるよ」と連絡が来たので中に入ったら、正面のど真ん中に1人で座っていて、確かにゴッドファーザーでした。2人は初対面だったんですが、村上さんも英語がとても流暢で、あっという間に打ち解けて話し出しました。コーヒーを飲むつもりがその時点でお酒に切り替えてしまったので、1時間経ち、2時間経ち、そのあと僕らはご飯を食べに行く約束をしてたので、「村上さんもご都合がよければいかがでしょうか?」と言ったら、「ご一緒しましょう」と。雨の中その店まで歩きまして、音楽の話、レコードの話、文章の書き方やジャズの話まで。プライベートなことなのであまり細かいことは話せませんが、編集者冥利に尽きるような話を隣でたっぷりと聞くことができました。ウェスもジャズは好きで、一番最初に作った映画のサントラもそもそも全部ジャズを使ったらしいです。それを最後、映画会社と一緒に確認したときに、「こんなサントラ全く売れないからジャズを1曲も使うな。全部差し替えろ」と。村上さんも「それは酷いね、差しかえたのかい?」「差し替えたんだけど、ポップな曲を入れても人は入らなかった」。ウェスは「音楽のせいじゃなくて、自分の映画が人気がなかった」と言ってましたけど。話を聞いていて面白いなと思ったのは、2人ともいろんな国を巡っている人なので、その国の話だけで話が尽きないんです。何か一つのトピックがあったとして、それがアメリカではこうだったっていうところから、突然パリやメルボルンの話になったり。そして、描写がとても細かいので、隣で聞いていると、それぞれの街の様子というのが、ハイボールでうまく回転しなくなった僕の頭の中にもはっきり様子が浮かんでくる。素晴らしいというか、さすが小説家と映像作家の会話だなと。そのうち、ご飯を食べている場所が東京なのか、何処なのかさっぱり分かんなくもなってきました。
次、ウェスはフランスで映画を作る、村上さんもパリには行く用があるというので、「ぜひ、現地でもう一度会ってご飯でも食べましょう」という約束をして別れました。僕としては2人の作品が大好きなので、何か一緒にやってくれたらなぁと思っています。「サントラの監修 by 村上さん」なんていうのも素晴らしいんじゃないでしょうか・・・ジャズで。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。