★★★★★★★★★★
訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
続・アカデミー賞──アフターパーティーでは豪華セレブがセクシーに肌見せ。
★★★★★★★★★★
Theme is... Academy Awards
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★★★★★★
--- ビバリーヒルズで過ごした… いつもと変わらなかった一夜 ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードを紹介しながら、
その旅にまつわる思い出の曲をお送りします。
訓市による“メッセージ返し”もお楽しみに!
後半のテーマは「アカデミー賞」。
あえて授賞式に出席しなかった訓市がアフターパーティーに
足を運ぶことになった時、最初に頭を悩ませたこととは?
豪華絢爛の会場で出会った人たちとのひと時、
超セレブたちに囲まれて感じたことについて語ります。
★★★★★★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Chasing Cars / Ed Sheeran
After Midnight / Skinshape
Adios Ayer / Jose Padilla
8 (Circle) / Bon Iver
光の川 / スガシカオ
Augustine / Blood Orange
Harmony Hall / Vampire Weekend
Your Song / Elton John
I Heard You Looking / Yo La Tengo
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★★★
先日、アカデミー賞がありました。僕が3年、丁稚奉公のように手伝っていた『犬ヶ島』という映画は長編アニメ部門でノミネートされていたんですが、思った通りというか、受賞はしませんでした。もちろんノミネートだけで十分だと思っていましたし、そもそも監督のウェスたちも新しい作品の撮影に付きっきりで、賞の授賞式にすら出ないという感じだったので、「まあ、どうでもいいね」っていう話をしていました。それに、そもそもアメリカ人はヒーロー好きだし『スパイダーマン』が勝つだろうと思っていたんですが、ちょうどその頃ロスにいたので、授賞式には行きませんでしたが、アフターパーティーには行こうよと友達に誘われたので行ってきました。「授賞式にいるのかい?」っていう連絡があった時、僕は親友と温泉で2人で背中を流し合っていまして、「温泉にいる」って言ったらびっくりされましたけど、パーティーだけは行くかということになりました。でも、ロスの友達にあげようと思っていた、去年作ったディッキーズのスーツはありましたが、靴はVANSしかなくて、シャツも普段持って行かないので、Tシャツにセーター。このアフターパーティーというのはVanity Fairというアメリカの有名な雑誌が主催する由緒正しきもので、授賞式に参加した俳優や監督、プロデューサーたちが、授賞式からそのまますぐこちらに駆けつけるので、女性はスカートの裾がウエディングの時のように長いドレスや、やたら露出が多くて目のやり場に困るような人、そして男性は皆、タキシードにボウタイが基本です。さすがにここにVANSで行くのは失礼なんじゃないかと、場の空気を読まない男っていうのはさすがにまずいなと思いつつも、どうせみんな酔っぱらうし、分かんないだろうということでそのまま行ってしまいました。確かに酒が進めばだんだんと会場もラフな雰囲気になって、途中からみんなに「いいなぁ、お前の靴はVANSで。こっちの靴は拘束着のようだし、変えてくれ」っていうぐらい羨ましがられました。僕はこのパーティーには仲良しのスティーブン・ユアンという俳優と出かけて行きました。彼は日本では『ウォーキング・デッド』で有名だと思うんですけど、今年は村上春樹さん原作の短編『バーニング』という映画に出演していて、アカデミーは惜しくもノミネートされませんでしたが、それ以外の映画祭ではバンバン受賞していたので、興味のある人はぜひ観ていただきたいです。アフターパーティーの会場はビバリーヒルズの大きい建物で、周囲の道路は完全封鎖で物々しい雰囲気。アフターパーティーといえど、アカデミー賞というものがいかに大きいものなのかっていうのをここで実感しました。だいたい、ビバリーヒルズの会場ですよ。ビバリーヒルズっていうと、僕の親友が昔、渋谷にこんなボロいアパートがあるのかっていうようなところに住んでいたんですが、そのアパートの名前が『ビバリーヒルズ渋谷』。ビバリーヒルズに行ったのは本当にそれ以来ですね。レッドカーペットで待っていると、目の前にいる女性がダイアン・レインだったり、後ろが『クレイジー・リッチ』の監督だったり。スティーブンの顔もどんどん強張ってきて、「訓はぜんぜん緊張しないよね」と言われましたが、実は“VANSが映らないといいな”と思いながら、靴の中の指が少し丸くなっていました。
★★★★★★★★★★
大きい会場は入ったらもうすでにパンパンで誰が誰だかわからず、「こりゃぁアウェー感が半端ないな。居場所がなさそうだ」とスティーヴンが言いまして、「一杯飲んだらとっとと帰ろうかな」と話していたんですが、すぐに『犬が島』で一緒だったジェフ・ゴールドブラムという背がすごく高い俳優さんがいるんですが、彼が速攻でこっちを見つけてくれまして、「一緒に飲もう!」っていう感じでぺちゃくちゃ喋り出したらあっという間にいつもの夜な感じになってしまいました。そのうちVampire Weekendのエズラも人混みからひょこっと顔を出して、「いたいた、一杯飲むかぁ」なんてやってるうちに、その知り合いの知り合いっていうのも集まってきて、いつの間にか輪になって飲んでいました。その中でとても面白かったのが、自分がMTVとかで観ていた時よりはるかに大きくなっているマリリン・マンソン。格好はゴスって感じなんですが、彼はタキシードじゃなかったので物凄く救われた気分になりました。結構、冗談を言ったりとても親切な人で印象が変わりましたが、本当の大酒のみらしく、もの凄い勢いで飲みながらいろんな話を聞きまして、“さすがマンソンだな”と思ったりもしました。そのうち、そこに今度は俳優のエイドリアン・ブロディも現れまして、久しぶりに喋りました。この番組で紹介した、ズブロッカをリンゴジュースで割る【シャルロッカ】というカクテル教えてくれたのはこのエイドリアンなんですが、「ラジオでシャルロッカの話をしたら、友達がそれを試して飲んだんだよ!」と伝えたら大笑いをして、「また飲むか!」ということでしばらく一緒に飲みました。知り合い以外にもいろんな女性がいて、ついついドレスの後ろの方から眺めてしまったりもしたんですが、何だかんだ一番目にしてアガったのは、エルトン・ジョンとクインシー・ジョーンズ。昔と姿が全く変わってないというか、酒を飲みながら喋りこんでいる姿は、“あれは本物なのかな?ニセモノなんじゃないのか?”とか、“マダム・タッソーから持ってきて置いてんじゃないの?”と思うくらい変わらなくて、さすが大御所は元気なんだなと思いました。どんどん人が増えてきて、「スティーブン、タバコを吸いたいから付き合ってくれ」と外でタバコを吸っていたら、今度また他の人よりラフな格好の女性が近づいてきて「タバコを1本ください」と。それはよく見ると『ナチュラル・ボーン・キラーズ』に出ていたジュリエット・ルイスでした。「日本のマルボロ ライトで、ちょっと軽いけどいい?」と言ったら、うまいうまいと、結局残りの3本、全部持っていきました。さすがジュリエットって感じでしたね。それがボックスじゃなくてソフトパックだったら最高だったんですが・・・フィリップモリスさん、ソフトパックをとにかく止めないでください。それ以外にもいろんな人に会いまして、その合間に“テイラー・スウィフトって思ったより背が高いんだな”とか、“レディー・ガガの髪型というか、頭というか、半端なく大きいな”とか、田舎から来た観光客のような気分で楽しい夜を過ごしました。堅苦しいパーティーというのはあまり好きではなくて行かないことが多いんですが、美味しいお酒さえあれば結構楽しく過ごせるんだと気づいたときには飲み過ぎていまして、Vanity Fairのパーティーも普段と同じように、翌朝は二日酔いを迎えて終わりました。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。