副業が相乗効果を生む「カフェオレ理論」とは? 会社員で音楽家のJ-WAVE新ナビゲーター・タカノシンヤに聞く
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10月3日にスタートした、J-WAVEの新たな夕方のワイド番組『GRAND MARQUEE』(毎週月~木 16:00~19:00)。"東京は想像以上におもしろい"をテーマに、毎週、東京カルチャーの「今」をギュッと凝縮した3時間の生放送を展開している。"無駄づくり発明家"を名乗るクリエイターの藤原麻里菜とともに、ナビゲーターを務めるのが、広告クリエイターで音楽家のタカノシンヤだ。
面白法人カヤックにて広告の企画・コピーライティングの仕事に従事する傍ら、音楽ユニット「Frasco」のコンポーザーとして作詞・作曲・アレンジを務めるなど、マルチな才能を発揮するタカノ。彼はどのような経緯から、J-WAVE夕方ワイド枠のナビゲーターを務めることになったのか。また、パラレルワーカーとして活動する中でどのように番組と向き合っているのか。この度、生放送直前にインタビューを敢行し、聞いてみた。
とにかく衝撃的でびっくりしました。以前から懇意にしているJ-WAVEのプロデューサーさんから「何かしら一緒にできたらいいですね」と言っていただいていたのですが、何度かお会いしてやり取りを重ねる中で、その話が徐々に具体性を帯びていき、最終的には「帯をお願いします」となったんです。無名の僕を帯番組にキャスティングするなんて、「J-WAVE、攻めてるな」と思いました(笑)。
――今日で放送4回目を迎えます(※取材日は10月6日)。ここまで番組をやられてみてどんな感想を持ちましたか?
リスナーさんの大切さを痛感しました。新番組として立ち上げ間もないにもかかわらず、たくさんのお便りを送っていただき、なおかつ皆さん、番組内で発表されたメールテーマに対して、放送作家さんが「めっちゃレベルが高い」と驚くほどしっかりと考えられた文章を送ってくださり、ありがたい気持ちでいっぱいです。ラジオ番組とは一方的に発信するものではなく、聴いてくださる方と一緒に作り上げていくものだと改めて学んだ数日間でした。
――タカノさんはJ-WAVEで『TOKYO M.A.A.D SPIN』の水曜ナビゲーターを2年3ヶ月ほど務めていました。やはり、事前収録した深夜番組と、生放送のワイド番組とでは勝手が違いますか?
全然違いますね。ミスは許されませんし、臨機応変に対応していかなければいけないですし。まだまだ不慣れな分、テクニック的な面でお聞き苦しい部分があるかもしれません。
――ともにナビゲーターを務める藤原麻里菜さんの印象はいかがでしょう。
藤原さんとは今回が初めましてだったのですが、面白い人ですね。「無駄づくり」をやってこられて、尖っていて、たまにすごく変なことをポツリと言う......といった感じで、既にしっかりとしたキャラクターがある印象です。共演していてワードセンスの良さに毎回、脱帽しています。
――ちなみに、タカノさんご自身は、もともとラジオを聴いていました?
めちゃくちゃラジオっ子というわけではありませんでしたが、満遍なく色々な番組を聴いてきました。自分の好きな人がゲストに出ている時に番組をスポットでチェックする......という楽しみ方です。
――「GRAND MARQUEE」では東京の様々な人やお店を紹介していますが、タカノさんがいつか番組で取り上げてみたい都内のお店はありますか?
あまりメディアに登場しないお店なので、もしかしたら、取材を受けることに抵抗感があるかもしれませんが、僕の地元・田無の駅から少し歩いたところにある、個人経営の喫茶店を推したいです。そこではよく本を読んだり、仕事をしたりしているんですけど、いつもJ-WAVEが流れているんですよ。僕はマスターと親しい間柄というわけではありませんが、いつか「あいつだ!」と気づいてもらい、何らかの形で繋がれたらいいなと密かに期待しています。
――タカノさんは現在、面白法人カヤック所属の広告クリエイターとしても活動されていますが、会社でのお仕事とラジオ番組との両立は大変そうですよね。
そこはもう、「とりあえずやってみよう」の精神です(笑)。ナビゲーター就任が決まってからは会社と色々と相談し、現在は仕事を調整させてもらっています。特に、番組が始まったばかりの今週1週間は、他の仕事をなるべくセーブして、16時からの放送に向けて気持ちを高めていく「GRAND MARQUEE」中心の生活を心がけています。
――音楽家に広告クリエイター、そして今回ラジオナビゲーターと、多方面にわたって活動の場を広げる理由は何なのでしょうか?
たしかに、経歴を見るとめちゃくちゃですし、「こいつ何者なんだ?」と思われても仕方ないですよね(笑)。ただここ数年は、アウトプットの形が違うだけで、自分の中でやりたいことは一貫しているつもりなんです。音楽も広告もラジオも、自分がおもしろいと感じたことや気になることを見知らぬ誰かに伝えるという点では共通していますし、そこに楽しさとやりがいを見出しているんですよ。あとは、僕自身がキャリアにこだわりがなく、「一つのことをずっと続けていかなければ」と気負っていないことも、色々なことに触手を伸ばしている理由の一つなのかもしれません。
――なるほど。
一方で、これは藤原さんに見習った部分ではあるのですが、自分にもキャッチコピーみたいなものがあったほうがいいのかなと思って。そこで、広告、音楽、ラジオ、すべて言葉で何かを伝える仕事をメインでやってきているという意味合いを込めて、今は「言葉の遊び人」と名乗るようにしています。
――「言葉の遊び人」、いいですね! そんなタカノさんと同じように今、副業・兼業に取り組む人が増えていますが、こうした副業を許容する時代の流れについてどうお考えですか?
めちゃくちゃいいと思います。副業禁止の会社以外の方は、副業をバンバンやったほうがいいというのが、僕の持論です。さらに言えば、自分の本業以外の業界で全く毛色の違う仕事に取り組んだほうがいいのではないかと。そうすることで、本業の経験が副業に活かせたり、逆に副業で得たスキルを本業に還元できたりという、相乗効果が大きくなる気がするんですよね。
――タカノさんご自身も、相乗効果を実感した経験がおありなのでしょうか。
めちゃくちゃあります。たとえば、音楽制作の考え方として、ゆるく「やれるときにやろう」とならなくなりました。日頃、会社員として培ってきた経験から、納期はいつで、リリース日はいつで......といった具合に、自分のタスクに対して仕事っぽい感覚が入ってくるんですよね。一方で、音楽を作る中で鍛えた発想力が、今度は会社の仕事に役立つこともあります。
僕は仕事と音楽活動を1:1の割合で混ぜていくことを「カフェオレ理論」と呼んでいて。あるときなどは、音楽活動用のTwitterで知り合った人から仕事を依頼され、カヤックの案件としてお受けしたことがありました。またあるときは、カヤックの社内で知り合ったクリエイターと一緒に音楽を作ったこともあったりして。そんなふうに、本業と副業、それぞれで知り合った人たち・身に付けたスキルをグチャグチャに混ぜ合わせて、どっちも100%フル活用していたら、どっちもすごくうまくいって波に乗れたんですよね。
他局とのコラボをやっていきたいです。他局と絡むことは、これまで何となく、暗黙の了解で良くないんじゃないかみたいな空気があったじゃないですか。でも今の時代、競合やライバルではなく、同じ業界の仲間と捉えたほうがいいんじゃないかなと思うんです。たとえば、YouTuberの方だとコラボをすることによって、お互いの視聴者をシェアしていますよね。そういった試みを、ラジオの中でもガンガンやってもいけたらいいのではないかと。
具体的には、裏番組にあたる『Skyrocket Company』(TOKYO FM)と何かできないかと思っています。実は『GRAND MARQUEE』がスタートするにあたって、『Skyrocket Company』のパーソナリティを務めるマンボウやしろさんにTwitterのDMでメッセージを送ったんです。そしたら、「一緒に頑張っていきましょう」とすごく優しい言葉をかけていただき、しかも「裏番組同士ですけど絡めたらいいですね」とおっしゃってくれたんです。なので、両番組が放送されている平日夕方に何かやるのは、もしかしたら難しいかもしれませんが、いつか土日などを利用して二番組合同のイベントなどを開催してみたいです。
――仮に、カヤック×J-WAVEのコラボをするとしたら、どんなアイデアを思いつきますか?
カヤックは鎌倉にある会社で、"地域推し"なんですよ。なので、鎌倉の何かおもしろいものを発信するのがいいかもしれません。東京と神奈川で多少距離はありますが、鎌倉は歴史のある街でありながら、サーフカルチャーが定着していたり、レトロな喫茶店が増えていたりと、オルタナティブな雰囲気があります。そんな街の魅力をお伝えしていくなんていうのはどうでしょうか。
――ナビゲーターインタビューの連載では毎回、テーマに合わせて「おすすめの楽曲」をうかがっています。"言葉の遊び人"であるタカノさんには「言葉がおもしろいと思う曲」を教えて欲しいです。
かせきさいだぁさんの「悲しみの観察日記」です。この曲には、南米文学の手法「マジックリアリズム」に近い歌詞表現が用いられていて、僕が作詞家として一番影響を受けた一曲でして。特に「建ぺい率が下がってく」という歌詞は、非日常的な情景を日常であるかのように語るおもしろさがあって、聴いていてグッときます。
――では、「言葉がおもしろいと思う本」だといかがでしょう?
僕は村上春樹さんがすごく好きで、かせきさいだぁさんと同じぐらい作詞において影響を受けています。中でも愛読しているのが、「夜のくもざる」という小説。2~3ページぐらいのすごく短い話が何十種類と入っている超短編集で、「そんなことあり得ないだろ」と思うような非日常的でナンセンスかつシュールな描写がたくさん出てくるんです。表題になっている一編「夜のくもざる」を例に挙げると、ある夜に突然、主人公の部屋に入ってきた「くもざる」という猿のような動物が、主人公の発した言葉を何でもマネして繰り返します。そこで、「へっぽくらくらしまんがとてむや、くりにかますときみはこる、ぱこぱこ」と、めちゃくちゃなことを言っても真似をするのか検証するんです。この「へっぽくらくらしまんがとてむや、くりにかますときみはこる、ぱこぱこ」。リズムがあって声に出したくなって、語感がよくて、覚えちゃうくらいおもしろくて。そういった何気なくポンと出てくるような言葉がずっと心に残っていたりするあたりに、村上春樹さんのセンスや力を感じます。
――最後に、リスナーへのメッセージをお願いします。
まだできたてほやほやの番組なので、ぜひ、お時間あれば聴いていただいて、みんなで一緒に大きなテントを作っていくということができたらすごくうれしいです。
J-WAVE『GRAND MARQUEE』は、毎週月~木 16:00~19:00オンエア。
・公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/original/grandmarquee/
(取材・文・撮影=小島浩平)
面白法人カヤックにて広告の企画・コピーライティングの仕事に従事する傍ら、音楽ユニット「Frasco」のコンポーザーとして作詞・作曲・アレンジを務めるなど、マルチな才能を発揮するタカノ。彼はどのような経緯から、J-WAVE夕方ワイド枠のナビゲーターを務めることになったのか。また、パラレルワーカーとして活動する中でどのように番組と向き合っているのか。この度、生放送直前にインタビューを敢行し、聞いてみた。
まさかのオファーに「J-WAVE、攻めてるな」
――まずは、『GRAND MARQUEE』のナビゲーターとしてオファーを受けた時の、率直な気持ちを教えてください。とにかく衝撃的でびっくりしました。以前から懇意にしているJ-WAVEのプロデューサーさんから「何かしら一緒にできたらいいですね」と言っていただいていたのですが、何度かお会いしてやり取りを重ねる中で、その話が徐々に具体性を帯びていき、最終的には「帯をお願いします」となったんです。無名の僕を帯番組にキャスティングするなんて、「J-WAVE、攻めてるな」と思いました(笑)。
――今日で放送4回目を迎えます(※取材日は10月6日)。ここまで番組をやられてみてどんな感想を持ちましたか?
リスナーさんの大切さを痛感しました。新番組として立ち上げ間もないにもかかわらず、たくさんのお便りを送っていただき、なおかつ皆さん、番組内で発表されたメールテーマに対して、放送作家さんが「めっちゃレベルが高い」と驚くほどしっかりと考えられた文章を送ってくださり、ありがたい気持ちでいっぱいです。ラジオ番組とは一方的に発信するものではなく、聴いてくださる方と一緒に作り上げていくものだと改めて学んだ数日間でした。
――タカノさんはJ-WAVEで『TOKYO M.A.A.D SPIN』の水曜ナビゲーターを2年3ヶ月ほど務めていました。やはり、事前収録した深夜番組と、生放送のワイド番組とでは勝手が違いますか?
全然違いますね。ミスは許されませんし、臨機応変に対応していかなければいけないですし。まだまだ不慣れな分、テクニック的な面でお聞き苦しい部分があるかもしれません。
――ともにナビゲーターを務める藤原麻里菜さんの印象はいかがでしょう。
藤原さんとは今回が初めましてだったのですが、面白い人ですね。「無駄づくり」をやってこられて、尖っていて、たまにすごく変なことをポツリと言う......といった感じで、既にしっかりとしたキャラクターがある印象です。共演していてワードセンスの良さに毎回、脱帽しています。
GRAND MARQUEE
— GRAND MARQUEE (@GRANDMARQUEE813) October 17, 2022
16:00〜OA @jwave813fm
月曜日がスタート!
今週もよろしくお願いします
がんばるぞポーズ@Shinshin_Frasco @togenkyoo #マーキー813 #jwave pic.twitter.com/HHbYPKeyf4
――ちなみに、タカノさんご自身は、もともとラジオを聴いていました?
めちゃくちゃラジオっ子というわけではありませんでしたが、満遍なく色々な番組を聴いてきました。自分の好きな人がゲストに出ている時に番組をスポットでチェックする......という楽しみ方です。
――「GRAND MARQUEE」では東京の様々な人やお店を紹介していますが、タカノさんがいつか番組で取り上げてみたい都内のお店はありますか?
あまりメディアに登場しないお店なので、もしかしたら、取材を受けることに抵抗感があるかもしれませんが、僕の地元・田無の駅から少し歩いたところにある、個人経営の喫茶店を推したいです。そこではよく本を読んだり、仕事をしたりしているんですけど、いつもJ-WAVEが流れているんですよ。僕はマスターと親しい間柄というわけではありませんが、いつか「あいつだ!」と気づいてもらい、何らかの形で繋がれたらいいなと密かに期待しています。
「副業はバンバンやったほうがいい」と考える理由
そこはもう、「とりあえずやってみよう」の精神です(笑)。ナビゲーター就任が決まってからは会社と色々と相談し、現在は仕事を調整させてもらっています。特に、番組が始まったばかりの今週1週間は、他の仕事をなるべくセーブして、16時からの放送に向けて気持ちを高めていく「GRAND MARQUEE」中心の生活を心がけています。
――音楽家に広告クリエイター、そして今回ラジオナビゲーターと、多方面にわたって活動の場を広げる理由は何なのでしょうか?
たしかに、経歴を見るとめちゃくちゃですし、「こいつ何者なんだ?」と思われても仕方ないですよね(笑)。ただここ数年は、アウトプットの形が違うだけで、自分の中でやりたいことは一貫しているつもりなんです。音楽も広告もラジオも、自分がおもしろいと感じたことや気になることを見知らぬ誰かに伝えるという点では共通していますし、そこに楽しさとやりがいを見出しているんですよ。あとは、僕自身がキャリアにこだわりがなく、「一つのことをずっと続けていかなければ」と気負っていないことも、色々なことに触手を伸ばしている理由の一つなのかもしれません。
――なるほど。
一方で、これは藤原さんに見習った部分ではあるのですが、自分にもキャッチコピーみたいなものがあったほうがいいのかなと思って。そこで、広告、音楽、ラジオ、すべて言葉で何かを伝える仕事をメインでやってきているという意味合いを込めて、今は「言葉の遊び人」と名乗るようにしています。
――「言葉の遊び人」、いいですね! そんなタカノさんと同じように今、副業・兼業に取り組む人が増えていますが、こうした副業を許容する時代の流れについてどうお考えですか?
めちゃくちゃいいと思います。副業禁止の会社以外の方は、副業をバンバンやったほうがいいというのが、僕の持論です。さらに言えば、自分の本業以外の業界で全く毛色の違う仕事に取り組んだほうがいいのではないかと。そうすることで、本業の経験が副業に活かせたり、逆に副業で得たスキルを本業に還元できたりという、相乗効果が大きくなる気がするんですよね。
――タカノさんご自身も、相乗効果を実感した経験がおありなのでしょうか。
めちゃくちゃあります。たとえば、音楽制作の考え方として、ゆるく「やれるときにやろう」とならなくなりました。日頃、会社員として培ってきた経験から、納期はいつで、リリース日はいつで......といった具合に、自分のタスクに対して仕事っぽい感覚が入ってくるんですよね。一方で、音楽を作る中で鍛えた発想力が、今度は会社の仕事に役立つこともあります。
僕は仕事と音楽活動を1:1の割合で混ぜていくことを「カフェオレ理論」と呼んでいて。あるときなどは、音楽活動用のTwitterで知り合った人から仕事を依頼され、カヤックの案件としてお受けしたことがありました。またあるときは、カヤックの社内で知り合ったクリエイターと一緒に音楽を作ったこともあったりして。そんなふうに、本業と副業、それぞれで知り合った人たち・身に付けたスキルをグチャグチャに混ぜ合わせて、どっちも100%フル活用していたら、どっちもすごくうまくいって波に乗れたんですよね。
タカノがおすすめする「言葉がおもしろい」と思う曲&本
――今後、『GRAND MARQUEE』でやっていきたいことは何ですか?他局とのコラボをやっていきたいです。他局と絡むことは、これまで何となく、暗黙の了解で良くないんじゃないかみたいな空気があったじゃないですか。でも今の時代、競合やライバルではなく、同じ業界の仲間と捉えたほうがいいんじゃないかなと思うんです。たとえば、YouTuberの方だとコラボをすることによって、お互いの視聴者をシェアしていますよね。そういった試みを、ラジオの中でもガンガンやってもいけたらいいのではないかと。
具体的には、裏番組にあたる『Skyrocket Company』(TOKYO FM)と何かできないかと思っています。実は『GRAND MARQUEE』がスタートするにあたって、『Skyrocket Company』のパーソナリティを務めるマンボウやしろさんにTwitterのDMでメッセージを送ったんです。そしたら、「一緒に頑張っていきましょう」とすごく優しい言葉をかけていただき、しかも「裏番組同士ですけど絡めたらいいですね」とおっしゃってくれたんです。なので、両番組が放送されている平日夕方に何かやるのは、もしかしたら難しいかもしれませんが、いつか土日などを利用して二番組合同のイベントなどを開催してみたいです。
――仮に、カヤック×J-WAVEのコラボをするとしたら、どんなアイデアを思いつきますか?
カヤックは鎌倉にある会社で、"地域推し"なんですよ。なので、鎌倉の何かおもしろいものを発信するのがいいかもしれません。東京と神奈川で多少距離はありますが、鎌倉は歴史のある街でありながら、サーフカルチャーが定着していたり、レトロな喫茶店が増えていたりと、オルタナティブな雰囲気があります。そんな街の魅力をお伝えしていくなんていうのはどうでしょうか。
――ナビゲーターインタビューの連載では毎回、テーマに合わせて「おすすめの楽曲」をうかがっています。"言葉の遊び人"であるタカノさんには「言葉がおもしろいと思う曲」を教えて欲しいです。
かせきさいだぁさんの「悲しみの観察日記」です。この曲には、南米文学の手法「マジックリアリズム」に近い歌詞表現が用いられていて、僕が作詞家として一番影響を受けた一曲でして。特に「建ぺい率が下がってく」という歌詞は、非日常的な情景を日常であるかのように語るおもしろさがあって、聴いていてグッときます。
――では、「言葉がおもしろいと思う本」だといかがでしょう?
僕は村上春樹さんがすごく好きで、かせきさいだぁさんと同じぐらい作詞において影響を受けています。中でも愛読しているのが、「夜のくもざる」という小説。2~3ページぐらいのすごく短い話が何十種類と入っている超短編集で、「そんなことあり得ないだろ」と思うような非日常的でナンセンスかつシュールな描写がたくさん出てくるんです。表題になっている一編「夜のくもざる」を例に挙げると、ある夜に突然、主人公の部屋に入ってきた「くもざる」という猿のような動物が、主人公の発した言葉を何でもマネして繰り返します。そこで、「へっぽくらくらしまんがとてむや、くりにかますときみはこる、ぱこぱこ」と、めちゃくちゃなことを言っても真似をするのか検証するんです。この「へっぽくらくらしまんがとてむや、くりにかますときみはこる、ぱこぱこ」。リズムがあって声に出したくなって、語感がよくて、覚えちゃうくらいおもしろくて。そういった何気なくポンと出てくるような言葉がずっと心に残っていたりするあたりに、村上春樹さんのセンスや力を感じます。
――最後に、リスナーへのメッセージをお願いします。
まだできたてほやほやの番組なので、ぜひ、お時間あれば聴いていただいて、みんなで一緒に大きなテントを作っていくということができたらすごくうれしいです。
J-WAVE『GRAND MARQUEE』は、毎週月~木 16:00~19:00オンエア。
・公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/original/grandmarquee/
(取材・文・撮影=小島浩平)
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