最新テクノロジーが「知識」から「ビジネスアイデア」に変わる。今年のイノフェスの見どころは?
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今年7年目を迎える日本最大級デジタル・クリエイティブフェス『J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022』(通称・イノフェス)。今年のテーマは「The beginning of a new world」。長期化するウイルスとの闘い、世界情勢の変化、そんな中で変わりゆく時代に呼応するように登場したWeb3という概念。今年はWeb3に代表される次世代の最新テクノロジーをはじめ、ポストコロナ時代を考える。
今回は、第1回からイノフェスに携わり、J-WAVE『INNOVATION WORLD』のナビゲーターも務める川田十夢にインタビュー。今回のイノフェスでは総合司会を務める彼に、見どころや、テクノロジーとの融合で変化していくライブ体験や音楽業界の展望について訊いた。
・『J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022』公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/iwf2022/
川田:筑波大学で開催された初回のイノフェスには、J-WAVEで番組をやらせてもらっていたご縁で、通りすがりに参加した感じで(笑)。プロデューサーであるJ-WAVEの小向国靖さんから、「米国テキサス州オースティンで開催されるSXSW(サウスバイサウスウエスト)みたいな複合フェスティバルを日本でも創りたい」と聞いていたんです。アカデミア・産業・音楽(芸能)という異業種の人たちが共通のテーマで交流するイノフェスは、登壇者の1人として参加してみたら、ものすごく楽しかったのを覚えています。
当時一緒に登壇した日テレの土屋敏男(テレビプロデューサー/映画監督)さんとも仲良くなって、その後、一緒に舞台をやりました。イノフェスを起点にアカデミア・産業・音楽(芸能)から生まれた出会いがたくさんあり、実際にプロジェクトにも発展して、ものすごく有難いご縁をいただいたなと思っています。
産業界だけだと、ビジネスの輪郭をなぞって「そうだよね」で終わりがちですけど、アカデミアや文化人や色んな業種の人たちがお客さんも含めて流入するので、アイデアの方向性が乱反射して、そこでしか生まれない化学反応が起こる。自分がそれを体験してきているので、その体験をイノフェスに来るお客さんにもぜひ体験してもらいたいです。
──今年は「Web3」がテーマです。イノフェスの見どころは?
川田:分散型インターネットと呼ばれるWeb3は、今後無視できない世の中になっていくと思います。そもそもイノフェス自体がWeb3的だと思っているんです。ボトムアップのような階層構造ではなく、横のつながりがあるところが。
「NFT」「DAO」「メタバース」といった新しいテクノロジーやカルチャーも登場していますよね。関連書籍などを読むと何かわかったような気になっちゃうけど、実際に自分の生活にどう関わってくるかってイメージが湧きづらい。今回のイノフェスに登壇する『メタバースとWeb3』著者の國光宏尚さん、『22世紀の民主主義』著者の成田悠輔さんの肉声を聞くことによって、平面的な読後感よりもっと豊かな立体的なものを持ち帰れるような気がしています。自ら旗を立ててやっている人たちの言葉を聞いたり、様々な業界の人と交流したりすることで、彼らの言っていることや具体的な示し方がより深く理解できるのではないかと思います。
イノフェスでの会話から数々のプロジェクトが生まれたように、Web3を主題にして、日本の産業や、もっと言えばラジオ業界、音楽業界がどのように変わっていくかを示す場にしたいですね。Web3は、既存の仕組みでは得られなかった体験や経験を新たに生みだしていくことに尽きると思います。
──今回のイノフェスで、ヴァーチャル・ドリカム "MASADO and MIWASCO"とAR三兄弟のライブが決定しました。川田さんはライブの演出を務めるそうですね。見どころは?
川田:ドリカムって、リアルのドリカムとは別にDREAMS COME TRUEのヴァーチャルキャラクター、通称「あっちのドリカム」っていうのがいるんですね。ドリカムは日本の金字塔と呼べるビッグアーティストなので、リアルドリカムの活動に関わると、良くも悪くも"大きなうねり"になってしまう。けれど、あっちのドリカムであれば物凄く実験的なことができるのではと睨んでいて。ドリカムの豊富な音源や、あっちのドリカムという存在と一緒に、新しいステージを拡張したいなと思っています。
それで勝手にライバル視しているのがABBAなんですけど。ABBAのバーチャルライブが、本国でものすごく観客を動員している。本人たちは不在なのに、あたかもバンドメンバーがいるかのようなステージが繰り広げられていて。当時の若いABBAがでてきたり、テクノロジーを駆使してライブ自体も再現している。そうやって半ば永久にアーティストのパフォーマンスを残していくことを日本でもやりたくて、あっちのドリカムが日本のサンプルケースになってゆけばと思っています。
先日、吉田拓郎さんが最後のアルバムをリリースされましたけど、日本の金字塔たちは、やがて引退していくわけです。ARを1つのメディアとして捉えると、ライブとかパフォーマンスごと記録再生できるものになるんじゃないかなと。引退したアーティストだけのフェスとかできたら、それがある意味「本当のイノフェス」かもしれないですね(笑)。
──テクノロジーによって、今後ライブはどのように変化していくと考えていますか?
川田:パンデミックがあったことで、リアルと配信がセットになっているライブが多くなりましたよね。配信で観てもなお楽しめるライブが、これからのスタンダードになってゆく。現地にライブを観に行った人も、家に帰ってあの曲をもう一回聴きたいと思って、ホクホクと配信でライブを観なおす人が既にいますよね。さらにARライブを改めてアーカイブで観るとまた違った景色が見えてくるし、AR的にはこうなっていたんだっていう新たな発見もある。
あと、ライブを観にいくとグッズが欲しくなるじゃないですか。リアルで観にいったらタオルとかTシャツが欲しくなる。でも配信で観ていたら、配信上のデジタルの何かが欲しくなりません? でも現状、その部分はあんまり開発されていない。デジタルのグッズ的なものとNFTって相性がいいと思っていて、そういう部分もフェスを重ねながら開発していきたいですね。
川田:テクノロジーって、既存の構造や技術では解決できないことを解決したときにはじめて役割を果たすと思うんです。例えば、音楽業界では、CDの売上枚数に応じてアーティストに印税が支払われます。ところが、CDからサブスクで音楽を聴く時代になったことで、サブスクの再生回数に応じた僅かな額しかミュージシャンに支払われない、みたいなことも起こっています。それに対して、既存の枠組み、権利、流通方法など業界全体に構造的なアプローチをしていかないと、結果的に業界全体が衰退していってしまう。
リスナーとミュージシャンとの関係性も時代とともに変わりゆくはずなのに、それを示せる決定打が今まで存在しなかった。けれどテクノロジーによって、リスナーとミュージシャンの関係性をもう一度ゼロから耕すことができるんじゃないかと。それを示す可能性のひとつがNFTだと思っています。
──NFTを活用し、次世代アーティストを発掘・育成するプロジェクト「CHINTAI presents J-WAVE MUSIC ACCELERATOR PROGRAM」(通称MAP)も、今春から進んでいますね。
NFTは投資・与信的な意味合いがあるので、デビュー初期にNFTを買ってアーティストを推す最初のファン(投資家)がリターンを得られるようなファンダムに近しいものを設計したいですね。例えば、デビュー前から応援しているアーティストが成長して、武道館でライブするときに必ず招待されるとか。投資した曲が、やがてシングルアウトされるときに、最初のファン(投資家)に少し印税が入るとかね。そういう関係性が、これからミュージシャンとリスナーとの間で構築できるようになる。今回のイノフェスには間に合っていないんですけど、時間をかけてそういう形をとりたいと思います。そういう意味では、今回のイノフェスのテーマにあるように" The beginning of a new world."、始まりだと思います。
ラジオ局がNFTに1歩踏み出した意義が大きいと思います。NFTのプロジェクトに参加してくれている野村達矢さん(サカナクションのマネジメント・ヒップランドミュージックコーポレーションの代表)、クラムボンのミトさん、『鬼滅の刃』の主題歌である「紅蓮華」の作曲者として知られる草野華余子さんなど、一線で活躍されている人たちが、音楽業界の構造が変わる前からNFTのプロジェクトに関わってくれているのが嬉しいです。真鍋大度さん(アーティスト)もMAPプロジェクトでミュージシャンの育成に力を注いでくれて、こういう取り組みが、やがてリスナーとミュージシャンとの新しい関係性をつくってゆくのだと思います。試みの第一歩をフェスと連動してやっていくのはとても勇気のいることだし、全力で応援したいですね。
──MAPには、川田さんもメンターとして参加していらっしゃいます。プロジェクトの楽しさ、感想を教えてください。
川田:曲の制作過程やアーティストの成長過程をオープンにすることで、リスナーが、プロデューサーとアーティストとの「あの歌詞をもっとこうしたほうがいい」とか実際のやり取りをラジオのオンエアや動画配信を通じて体験できます。一般の人は、アーティストがプロとして曲を作っていくときに、プロデューサーが具体的に何をしているのかって分からないじゃないですか。NFTを発行するという試み自体も今までになかったことなので、とてもイノベーティブだと思います。本当はプロデューサーとアーティストの会話さえもNFTの中に入れちゃって、そのアーティストを推す最初のファン(投資家)に出資してもらってバックアップしてもらうのもよかったなと思いますね。そうやって、リスナーとミュージシャンのファンダムのような関係を築きながらやっていくのが、面白いですね。
僕は各アーティストとそれぞれのメンターの会話をトータルで見ているんですけど、こういう企画がなかったらそもそも生まれなかった会話なので、この組み合わせ自体がアーティストにとってもプロデューサーにとってもメンターにとってもよい機会にはなっているなと思っています。
NFTの販売も始まったので、購入してくださった方に、「買ってはみたけれどここを改善したほうがいい」などのフィードバックがあれば教えてほしいですね。イノベーションはみんなで創っていくものですから。
──ナビゲーターにインタビューをする際、「おすすめの一曲」を伺っています。イノフェスということで、イノベーションを感じる一曲は?
川田:ドリカムの「G」ですね。何のGかというと「ガンダム」のGなんです。最新作のガンダムの主題歌をドリカムが歌っている。「ア・イ・シ・テ・ルのサイン ~わたしたちの未来予想図~」「うれしい!たのしい!大好き!」などの名曲からイメージされるドリカムのポジティブワードの歌詞世界の中に、急に「モビルスーツ」っていう言葉が出てくる。これは革命だなと思って(笑)。僕は子どもの頃に、ガンダムのプラモデルを作っていたし、夏休みの自由研究でも涼しくなるゲルググっていうモビルスーツを作っていたんで、そういう慣れ親しんだ「モビルスーツ」っていうワードとドリカムの世界が融合していて、おすすめです。イントロや間奏はオーケストラ編成ですし、ドリカムの「G」はかなりイノベーションですよ!
『J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022』は現在、チケットが発売中。出演者などは公式ページまで。
https://www.j-wave.co.jp/iwf2022/
(取材・文=反中恵理香)
今回は、第1回からイノフェスに携わり、J-WAVE『INNOVATION WORLD』のナビゲーターも務める川田十夢にインタビュー。今回のイノフェスでは総合司会を務める彼に、見どころや、テクノロジーとの融合で変化していくライブ体験や音楽業界の展望について訊いた。
・『J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022』公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/iwf2022/
イノフェスは「アイデアの方向性が乱反射する」イベント
──2016年の初回開催から振り返って、川田さんから見たイノフェスはどんな進化を遂げていますか?川田:筑波大学で開催された初回のイノフェスには、J-WAVEで番組をやらせてもらっていたご縁で、通りすがりに参加した感じで(笑)。プロデューサーであるJ-WAVEの小向国靖さんから、「米国テキサス州オースティンで開催されるSXSW(サウスバイサウスウエスト)みたいな複合フェスティバルを日本でも創りたい」と聞いていたんです。アカデミア・産業・音楽(芸能)という異業種の人たちが共通のテーマで交流するイノフェスは、登壇者の1人として参加してみたら、ものすごく楽しかったのを覚えています。
当時一緒に登壇した日テレの土屋敏男(テレビプロデューサー/映画監督)さんとも仲良くなって、その後、一緒に舞台をやりました。イノフェスを起点にアカデミア・産業・音楽(芸能)から生まれた出会いがたくさんあり、実際にプロジェクトにも発展して、ものすごく有難いご縁をいただいたなと思っています。
産業界だけだと、ビジネスの輪郭をなぞって「そうだよね」で終わりがちですけど、アカデミアや文化人や色んな業種の人たちがお客さんも含めて流入するので、アイデアの方向性が乱反射して、そこでしか生まれない化学反応が起こる。自分がそれを体験してきているので、その体験をイノフェスに来るお客さんにもぜひ体験してもらいたいです。
──今年は「Web3」がテーマです。イノフェスの見どころは?
川田:分散型インターネットと呼ばれるWeb3は、今後無視できない世の中になっていくと思います。そもそもイノフェス自体がWeb3的だと思っているんです。ボトムアップのような階層構造ではなく、横のつながりがあるところが。
「NFT」「DAO」「メタバース」といった新しいテクノロジーやカルチャーも登場していますよね。関連書籍などを読むと何かわかったような気になっちゃうけど、実際に自分の生活にどう関わってくるかってイメージが湧きづらい。今回のイノフェスに登壇する『メタバースとWeb3』著者の國光宏尚さん、『22世紀の民主主義』著者の成田悠輔さんの肉声を聞くことによって、平面的な読後感よりもっと豊かな立体的なものを持ち帰れるような気がしています。自ら旗を立ててやっている人たちの言葉を聞いたり、様々な業界の人と交流したりすることで、彼らの言っていることや具体的な示し方がより深く理解できるのではないかと思います。
イノフェスでの会話から数々のプロジェクトが生まれたように、Web3を主題にして、日本の産業や、もっと言えばラジオ業界、音楽業界がどのように変わっていくかを示す場にしたいですね。Web3は、既存の仕組みでは得られなかった体験や経験を新たに生みだしていくことに尽きると思います。
「あっちのドリカム」がライブ体験を拡張
川田:ドリカムって、リアルのドリカムとは別にDREAMS COME TRUEのヴァーチャルキャラクター、通称「あっちのドリカム」っていうのがいるんですね。ドリカムは日本の金字塔と呼べるビッグアーティストなので、リアルドリカムの活動に関わると、良くも悪くも"大きなうねり"になってしまう。けれど、あっちのドリカムであれば物凄く実験的なことができるのではと睨んでいて。ドリカムの豊富な音源や、あっちのドリカムという存在と一緒に、新しいステージを拡張したいなと思っています。
それで勝手にライバル視しているのがABBAなんですけど。ABBAのバーチャルライブが、本国でものすごく観客を動員している。本人たちは不在なのに、あたかもバンドメンバーがいるかのようなステージが繰り広げられていて。当時の若いABBAがでてきたり、テクノロジーを駆使してライブ自体も再現している。そうやって半ば永久にアーティストのパフォーマンスを残していくことを日本でもやりたくて、あっちのドリカムが日本のサンプルケースになってゆけばと思っています。
先日、吉田拓郎さんが最後のアルバムをリリースされましたけど、日本の金字塔たちは、やがて引退していくわけです。ARを1つのメディアとして捉えると、ライブとかパフォーマンスごと記録再生できるものになるんじゃないかなと。引退したアーティストだけのフェスとかできたら、それがある意味「本当のイノフェス」かもしれないですね(笑)。
──テクノロジーによって、今後ライブはどのように変化していくと考えていますか?
川田:パンデミックがあったことで、リアルと配信がセットになっているライブが多くなりましたよね。配信で観てもなお楽しめるライブが、これからのスタンダードになってゆく。現地にライブを観に行った人も、家に帰ってあの曲をもう一回聴きたいと思って、ホクホクと配信でライブを観なおす人が既にいますよね。さらにARライブを改めてアーカイブで観るとまた違った景色が見えてくるし、AR的にはこうなっていたんだっていう新たな発見もある。
あと、ライブを観にいくとグッズが欲しくなるじゃないですか。リアルで観にいったらタオルとかTシャツが欲しくなる。でも配信で観ていたら、配信上のデジタルの何かが欲しくなりません? でも現状、その部分はあんまり開発されていない。デジタルのグッズ的なものとNFTって相性がいいと思っていて、そういう部分もフェスを重ねながら開発していきたいですね。
NFTが、リスナーとミュージシャンとの新しい関係を耕していく
──川田さんが特に注目しているテクノロジーや、その発展についての想いがあれば聞かせてください。川田:テクノロジーって、既存の構造や技術では解決できないことを解決したときにはじめて役割を果たすと思うんです。例えば、音楽業界では、CDの売上枚数に応じてアーティストに印税が支払われます。ところが、CDからサブスクで音楽を聴く時代になったことで、サブスクの再生回数に応じた僅かな額しかミュージシャンに支払われない、みたいなことも起こっています。それに対して、既存の枠組み、権利、流通方法など業界全体に構造的なアプローチをしていかないと、結果的に業界全体が衰退していってしまう。
リスナーとミュージシャンとの関係性も時代とともに変わりゆくはずなのに、それを示せる決定打が今まで存在しなかった。けれどテクノロジーによって、リスナーとミュージシャンの関係性をもう一度ゼロから耕すことができるんじゃないかと。それを示す可能性のひとつがNFTだと思っています。
──NFTを活用し、次世代アーティストを発掘・育成するプロジェクト「CHINTAI presents J-WAVE MUSIC ACCELERATOR PROGRAM」(通称MAP)も、今春から進んでいますね。
NFTは投資・与信的な意味合いがあるので、デビュー初期にNFTを買ってアーティストを推す最初のファン(投資家)がリターンを得られるようなファンダムに近しいものを設計したいですね。例えば、デビュー前から応援しているアーティストが成長して、武道館でライブするときに必ず招待されるとか。投資した曲が、やがてシングルアウトされるときに、最初のファン(投資家)に少し印税が入るとかね。そういう関係性が、これからミュージシャンとリスナーとの間で構築できるようになる。今回のイノフェスには間に合っていないんですけど、時間をかけてそういう形をとりたいと思います。そういう意味では、今回のイノフェスのテーマにあるように" The beginning of a new world."、始まりだと思います。
ラジオ局がNFTに1歩踏み出した意義が大きいと思います。NFTのプロジェクトに参加してくれている野村達矢さん(サカナクションのマネジメント・ヒップランドミュージックコーポレーションの代表)、クラムボンのミトさん、『鬼滅の刃』の主題歌である「紅蓮華」の作曲者として知られる草野華余子さんなど、一線で活躍されている人たちが、音楽業界の構造が変わる前からNFTのプロジェクトに関わってくれているのが嬉しいです。真鍋大度さん(アーティスト)もMAPプロジェクトでミュージシャンの育成に力を注いでくれて、こういう取り組みが、やがてリスナーとミュージシャンとの新しい関係性をつくってゆくのだと思います。試みの第一歩をフェスと連動してやっていくのはとても勇気のいることだし、全力で応援したいですね。
──MAPには、川田さんもメンターとして参加していらっしゃいます。プロジェクトの楽しさ、感想を教えてください。
川田:曲の制作過程やアーティストの成長過程をオープンにすることで、リスナーが、プロデューサーとアーティストとの「あの歌詞をもっとこうしたほうがいい」とか実際のやり取りをラジオのオンエアや動画配信を通じて体験できます。一般の人は、アーティストがプロとして曲を作っていくときに、プロデューサーが具体的に何をしているのかって分からないじゃないですか。NFTを発行するという試み自体も今までになかったことなので、とてもイノベーティブだと思います。本当はプロデューサーとアーティストの会話さえもNFTの中に入れちゃって、そのアーティストを推す最初のファン(投資家)に出資してもらってバックアップしてもらうのもよかったなと思いますね。そうやって、リスナーとミュージシャンのファンダムのような関係を築きながらやっていくのが、面白いですね。
僕は各アーティストとそれぞれのメンターの会話をトータルで見ているんですけど、こういう企画がなかったらそもそも生まれなかった会話なので、この組み合わせ自体がアーティストにとってもプロデューサーにとってもメンターにとってもよい機会にはなっているなと思っています。
NFTの販売も始まったので、購入してくださった方に、「買ってはみたけれどここを改善したほうがいい」などのフィードバックがあれば教えてほしいですね。イノベーションはみんなで創っていくものですから。
──ナビゲーターにインタビューをする際、「おすすめの一曲」を伺っています。イノフェスということで、イノベーションを感じる一曲は?
川田:ドリカムの「G」ですね。何のGかというと「ガンダム」のGなんです。最新作のガンダムの主題歌をドリカムが歌っている。「ア・イ・シ・テ・ルのサイン ~わたしたちの未来予想図~」「うれしい!たのしい!大好き!」などの名曲からイメージされるドリカムのポジティブワードの歌詞世界の中に、急に「モビルスーツ」っていう言葉が出てくる。これは革命だなと思って(笑)。僕は子どもの頃に、ガンダムのプラモデルを作っていたし、夏休みの自由研究でも涼しくなるゲルググっていうモビルスーツを作っていたんで、そういう慣れ親しんだ「モビルスーツ」っていうワードとドリカムの世界が融合していて、おすすめです。イントロや間奏はオーケストラ編成ですし、ドリカムの「G」はかなりイノベーションですよ!
https://www.j-wave.co.jp/iwf2022/
(取材・文=反中恵理香)
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