2023.01.21 ONAIR

今回のテーマは「コモン」

参考図書は内田樹さんの『コモンの再生』です。

「コモン」とは...
形容詞としては、共通の、共同の、公共の、といった意味。
名詞としては、町や村の共有地、公有地、といった意味になります。

中世から数百年の間、私たちは今日でいう「所有」という概念を持っていませんでした。
例えば、イギリスでは農耕生活は共有地=コモンズを中心に組織されていました。
ヨーロッパでも、日本でも村落共同体が「共有地」を持っていて、村人が共同で管理し、
草原で牧畜をし、森の果実やキノコを採取し、湖や川で魚をとっていました。

昔は東京にも空き地がたくさんあったと山口館長。
「ドラえもん」に出てくる空き地とかもそう。
土管があって、何か作ろうとしているけど、ずっとそのままというような土地でしょうか・・・。

しかし、みんなで土地を共有する時代は長くは続きませんでした。

その大きな原因としては、利益を生まないものがあるのが許されない空気感が生まれているのでは、ということがあがりました。
世の中全般が経済成長しなくなってきて、少しでもお金儲けに使えるものにしなければと考える人や組織が増えたとも言えます。

共有し、共同管理するのは手間がかかります。
それよりも、みんなで均等に分割し、それぞれ好きに使っていいということにしようという考えが生まれました。
それがイギリスで起きた「囲い込み」=「コモンの私有化」 です。
その結果、私有地の生産性があがりました。

今日本でもよく、シェアカーやコワーキングスペース、B&Bなどの
共有の形が増えているようです。

学校や家に居場所がない、窮屈だなと感じた時、
自分だけの居場所、マイコモンズを見つけてみるというのもこれからはできるかもしれません。

そして、場所だけでなく、今は生産性があるのかと一見思われるような
無料のものの共有によって、ビジネスでうまくいくのもできています。
例えば、ミュージックビデオをフルで無料で公開しているものなどです。
無料で利用できるものをきっかけで、有料のものを求める動きも出てきています。

これからコモン的な領域があることによって、
商売のあり方が広がっていく可能性があるかもしれません。

「コモン」について詳しく知りたい方は、参考図書の『コモンの再生』を読んでみてください。


■毎週、各界の著名人がこの図書館にふさわしい1冊を紹介して下さる 「BOOK SHARING」

東京2020オリンピック競技大会、 閉会式のソロパフォーマンスでも話題になった
表現者でダンサー、アオイヤマダさんに、
千葉雅也著『アメリカ紀行』をご紹介いただきました。


■図書館の膨大なCD・LPコレクションから他ではめったに聴くことのできない
レア音源を特別に試聴するコーナー「RARE COLLECTION」

3月に待望の来日公演が予定されている、スティングです。
彼が1曲参加している1985年にリリースされたアルバム
『ロスト・イン・ザ・スターズ:ザ・ミュージック・オブ・クルト・ワイル』から
「ザ・バラッド・オブ・マック・ザ・ナイフ」を紹介しました。

「三文オペラ」や「セプテンバー・ソング」などで知られている
近代ドイツの作曲家、 クルト・ワイル。
彼の曲はミュージカルやオペラ、ジャズ・スタンダードとして歌われ、
ザ・ドアーズやデヴィッド・ボウイなどのロック・ミュージシャンにも取り上げられています。
そのクルト・ワイルのナンバーを様々なジャンルのアーティストが歌い演奏した
トリビュートアルバム『ロスト・イン・ザ・スターズ:ザ・ミュージック・オブ・クルト・ワイル』には、
スティング、ルー・リード、マリアンヌ・フェイスフル、トム・ウェイツ、 トッド・ラングレンなど、
一癖あるミュージシャンが参加しています。

スティングが歌ったこの曲は、 ベルトルド・ブレヒトの戯曲にクルト・ワイルが作曲した
音楽劇 『三文オペラ』(1928年初演)の劇中歌です。

このアルバムは、当時日本でもレコードでリリース、
のちに CD でもリリースされましたが、現在は入手困難。
今回、USのオリジナル・LP レコードでお届けしました。


□今週の図書
内田樹『コモンの再生』
千葉雅也『アメリカ紀行』

□オンエア曲
Life in the Northen Town / The Dream Academy
Clean up woman / Betty Write
Lucky Radio / Samuel Purdey
Happy ever after / Julia Fordham
Snow Queen / The City
The Ballad Of Mack The Knife / Sting & Dominic Muldowney
Good Place/ Kathleen Regan