旅にでる理由
Theme is...「旅にでる理由」
テーマは・・・「旅にでる理由」。
誰しも、旅にでる「きっかけ」「理由」が
あるハズです。
訓市は、なぜ、長年にわたって
世界各国を旅したのか・・・??
その理由を語ります。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージを
お待ちしています。
番組サイトの「Message」から
送信してください。
また、ハガキ、手紙も大募集!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
Antenna TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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スタッフ一同、お待ちしてます!!!
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
I Need To Be In Love / The Carpenters
兄リチャードと妹カレンの兄妹デュオ、カーペンターズ。1970年代、アメリカを中心に世界中で大ヒットを記録するも、1983年にカレンが亡くなったことで活動に終止符が打たれました。この曲は1976年の作品で、邦題は「青春の輝き」...かつて、日本のテレビ・ドラマで主題歌に使われたこともあります。
Eye In The Sky / Alan parsons Project
キーボード・プレーヤーのアラン・パーソンズを中止としたイギリスのロック・バンド。1982年にリリースされた6枚目のアルバムのタイトル・トラックで、シングル盤は全米チャートでも3位を記録!日本でもヒットしました。
Cry / Godley & Creme
ケヴィン・ゴドレイとロル・クレームの2人からなるイギリスのグループ。1985年発表のこの曲は彼らにとって最大のヒットを記録しました。
She Makes My Day / Robert Palmer
イギリス出身のダンディな男性ヴォーカリスト、ロバート・パーマー。全米チャートNO.1を記録した「Addicted To Love」を含む大ヒット・アルバム『Riptide』に続き、1988年にリリースされたアルバム『Heavy Nova』に収録されている曲です。訓市がアメリカで暮らしていた頃、聴きまくっていた曲のひとつとか。
ハイウェイ / くるり
12枚目のシングルで、リリースは2003年。この日のテーマ「旅にでる理由」を歌った曲です。
Blindsided / Bon Iver
シンガーソングライターのジャスティン・バーノンを中心としたアメリカのバンドで、荒涼とした音が魅力!本作品は2011年リリースで、翌2012年の「第54回グラミー賞」で<ベスト・ニュー・アーティスト>を受賞しています。
Home / Will Hanson
ビートニク原作の映画『On The Road』の中で使われていた曲で、目の前の荒涼とした道が目の前に浮かんでくる・・・ ドライブのBGMにもおススメです。訓市はいつの頃からか、旅先を選ぶときのキーワードに「荒涼」があるとか。
Dust In The Wind / Kansas
アメリカ・カンザス州出身のロック・バンド、カンサス。「僕らはみんな風の中の塵」と歌っているこの曲は1978年の作品で、彼らにとって最大のヒットを記録しています。名曲!
The Rain Song / Led Zeppelin
1968年結成で、70'sのUKロックを代表する伝説的バンド、レッド・ツェッペリン。この曲は1973年に発表された5枚目のアルバム『聖なる館』に収録されています。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
野村さんはなんでよく旅に行くようになったんですか?って、きっかけを聞かれるんですけど、自分でも、なんでそんなに好きになったのかはよく覚えてないんです。最初は「旅=家出」というか、家を出たいというのがきっかけだと思います。僕が最初に家出をしたのが多分、幼稚園とか小学生の最初の頃で、おやつを隠れて食べたとか些細なことで怒られて、それを理由に自転車で家を飛び出したのが最初でした。いつも行かないような遠くまで行って、だんだん景色が変わってきて、死に物狂いでコキコキなかなか進まない自転車を漕ぎまして。知らないところに行くと少し不安にもなるんですけど、だんだん開放的な気分になって、とても自由を感じてしまったのを覚えています。多分、それが旅に行くっていうか、遠くに行くっていうことの快感に繋がってしまいまして。それから旅好きになったと思っています。一番最初に旅で海外に行きたいと思ったのはアメリカなんですけど、自分がスケートボードとか映画とか、色々なユースカルチャーみたいなものを見まして、いつか自分がそのアメリカに行って実際に住んでみたいなあって。それ以来、念仏を唱えるように「アメリカに行きたい、アメリカに行きたい、アメリカに行きたい」と、自分に言い聞かせてました。なんでそんなに行きたかったかというと、自分の日常に文句があるというか、窮屈に思っていたところもあったのかもしれません。ラジオで聴くアメリカの音楽っていうのはどれもものすごく前向きというか能天気というか、一直線という感じで、あそこに行けば万事OKなんだろうと小さい頃から感じていました。
★★★★★★★
十代の頃の僕の旅はすごく呑気でした。とにかく知らないところに行きたいとか、遠くに行けば楽しいんじゃないかとか。「距離と楽しさが比例する」と、どこかで信じてたのかもしれません。近場より遠くへ遠くへって行ってましたね。色々な街に行きましたけど、行くのはだいたいボヘミアン地区と昔言われていたような場所で、そういうところは安宿や活気があるカフェやご飯屋さんがあって、そこの現地の人だけじゃなくて、いろんな国から来た自分と似たような若者たちが、ああでもないこうでもないって言いながら騒いでるわけです。そういう所で人と出会って喋るのがすごく楽しくてですね、なんでかなあ?って思ってたんです。僕は東京で生まれて東京で育ったので、恵まれていたというか、小さい頃からいろんな人と知り合ったんですけど、どこかそういうことが億劫になった時期がありまして、どこか誰も知らない所に行って、一から友達を作ってみたいじゃないですけど、君はあの子の友達だよねとか、あの学校の誰君だよねみたいなことが、最初は嬉しくてもだんだん鬱陶しくなってきたんですよね。旅っていうのは、どこか知らない環境に自分を置くと、自分の姿を客観的に見られるというか。それで答えが出ることはないんですけど、ただ自分は誰なのかとか、普段の生活で考えることか出来なかったことを考えられる時間なのかなと思います。楽しいだけの人が多い所から、だんだん人がいない荒涼とした所に惹かれるようになりまして、地の果てって言われている所とか、砂漠に行ったり、2?3人で山に行って何日間かキャンプして毎晩星を見たり。今やれって言われたら落ち込むと思うんですけど、当時の自分にはそういう無駄なような時間がすごく必要だったのかなあと思います。人気のない場所というのはやっぱり最初人恋しくなるんですよ。とくに1人でどこかに行くと、風が止んだり、波の音がなくなったりすると突然無音になりますから、叫んでみても誰も返事してくれないですし。座っているとそのうち自分の心音が聞こえてきて。それもしばらくすると聞こえなくなりますが、聞こえなくなった頃にすごく落ち着いた、時間を超越したような時間ていうのが訪れてきます。それが心地よくなってしまって長く旅にでたのかなあと、今は思います。
★★★★★★★
人それぞれにきっかけがあって・・・でも、大したことのない理由で旅に出るものなのかもしれませんね。JRとかのコマーシャルじゃないですけど、「そうだ、京都行こう」みたいにポンって行けたりするのが、1番良い旅の出方なのかなと思います。2ヶ月後に2週間休んでここ行って、初日に何してこれしてとかってすごく窮屈というか、自分の気が向いた時に行けるのが一番楽しい旅なのかなあと。当然、今はそういうのは出来ないですし、やったら後ろから羽交い締めで落とされそうな気がします。責任ある大人としてはそんな風来坊みたいなことは出来ないんですけど、でも、やっぱり常にそういう気持ちはありますね。もうこのまま今日は帰らず、電車に乗って京都に行きたいなあとか、別に素泊まりでいいじゃないかとか。京都でお寺が見たいとかそういうのはないんですけど、ただ移動がしたいんですかね。旅に出るっていうのはきっかけがあって、自分が行きたいなあって思った時に行くのが一番だとは思うんですけど、それより大変なのは実は止めるきっかけっていうか。行くのは簡単なんですけど、楽しくなっていろんな所にいくようになると、どこで止めて良いかわからなくなるんですよ。僕の周りにはそういう人たちがたくさんいて、十年国に帰ってないっていう人はきっかけを失ってしまったんだと思うんですよね。僕も危ないところで我に返って帰ってきましたけど、旅は行くのは簡単でいいですけど、帰る時だけはどこか自分でカレンダーの日付にマークをしておいたほうがいいかもしれません。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。