Book
Theme is... BOOK
テーマは「本」
自称、活字好きの乱読派=野村訓市が「旅」に持参する本...
かつて、高校時代の留学時に感銘を受けた日本の本...
そして、読書のバックグラウンドにおススメの曲...
旅と本の話、音楽で綴る54分間!
3月15日・日曜日の夜8時から・・・
check it!!!
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージを
お待ちしています。
番組サイトの「Message」から
送信してください。
また、ハガキ、手紙も大募集!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
Antenna TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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スタッフ一同、お待ちしてます!!!
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Don't Let Me Be Lonely Tonight / James Taylor
Wednesday Morning 3 AM / Simon & Garfunkel
Driving (Acoustic Mix) / Everything But The Girl
Banana Co / Radiohead
春夏秋冬 / 泉谷しげる
Heartbeats / Jose Gonzalez
Epitaph / Badly Drown Boy
Black Bird / Sarah McLachlan
Melody Day (Four Tet Remix) / Caribou
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking...
★★★★★★★
僕は原稿も書くので本をよく読む人だと思われてですね、雑誌の本の特集とかでおすすめの本とか、あと最近ですと旅に持って行く本について質問されるというのが多くてですね、どういう本を毎回持って行きますか?とか、今まで旅に持って行って気に入った本は何ですか?って聞かれるんですけど。持って行く本はすごくランダムで、みなさんが期待するような素敵な本は持って行っていないですね。僕はいわゆる旅ものの本があまり好きではなくて、いろいろあると思うんですよ。旅の思い出とかを書いているっていうのが。ああいう本というのは旅に行かない人たちに向けて書いてる本ていうか、書いてる人たちのそういう目線が感じられるような気がして、実際に読むのが僕はすごく押しつけがましく思ってしまって嫌になってしまうんですよね。逆に今でも、野村さんの旅の思い出を本にしませんか?という風にオファーをしてくれる人たちもいるんですけど、それも全部断ってですね、自分の旅の思い出というのはすごくパーソナルなもので、それをとっておきたいというのが1つと、仕事がなくなったときに書いて、印税でも儲けてやろうと思ってます(笑)。でも、そうは言っても、持って行く本でそうですね、空港の本屋さんでランダムに買うこもありますけど、行き先の街が舞台になっている本を持って行くっていうのもすごく面白いことかなと思います。東京で読む時より実際にその本が書かれた場所とか舞台でその本を読むっていうのはなんていうんですかね。少し一段階深い形でその街が見えるというか、そんな気がします。あとは普通に最近流行の小説とかを空港で買って読むことが多いですね。東京で読む気はないんですけど、たまに移動でちょっと時間があるときとかに読んで、ふーん今、世の中ではこういうのがはやっている、というか、人の支持を集めているのかっていうのも時には知らなきゃいけないのかなって、思っています。
★★★★★★★
旅に持って行く本。毎回この本を持って行くっていうのはないですけど、ジャンルならあります。僕が高校の時、アメリカに留学した時にですね、荷物をなるたけ小さくしようと思ったのと、僕は本を乱読でないと生きていけないんですけど、日本語の本ばっかり持って行っても読み尽きてしまうし、英語を覚えないだろうと思って、なにも持って行かなかったんですよ。ただその時にパンク好きの幼馴染みの友達がいまして、餞別に本を一冊くれたんでその本だけ持って行ったんです。それが中原中也の詩集でして、僕は詩集なんて買うこともなかったですし、詩を読むのも恥ずかしいっていう気もしていたので、それが詩集を読むきっかけだったんですけど。まあ読まなくってですね、ちょっと読んでも全然意味がわからないですし放っておいたんですよ。ただ、アメリカでステーキを食べる毎日にだんだん飽きてきて、その詩集を読むようになったんです。最初は、やっぱりこの人が言ってる意味が全くわからないとか、心情が理解できなくて、止めては読むっていうのを繰り返しているうちに、その長い詩の一行とかにすごくすごく救われたことがありまして。生きていて、赤の他人でも自分が思った感情をそのまま言葉にできる人っていうのがいるんだっていうことに、まずすごく救われてしまったというかですね。そこから詩集っていうのは載っている詩を全部理解したり好きにならなくても、その一行、一言気に入るものがあればそれは素晴らしい詩集なんだっていうことに気付きまして、そこから旅に行く時はいろんな詩集を持って行くようになりました。詩集のよさっていうのは小説と違って読み終わるっていうことがないんですよね。通しで読んでもいいですし、毎日暇な時に海で一片の詩を読むのでもいいですし、そういう長い付き合いができるので、とてもいいと思います。みなさんもぜひ次海外に行く時に持って行ってください。ただね、友達に海辺で詩集なんか読んでるところを見られたら、相当おセンチというか、恥ずかしい思いはしますけど、それだけは気をつけて。
★★★★★★★
旅に持って行く本ということなんですけども、旅に出るというのはどこか冒険したい、日常と違うことをしたいっていう感情と直結しているんじゃないかなと思っています。どこか特定の場所に行きたいというよりは、ただ今いる場所じゃないどっかに行きたいとか、知らない場所に行って知らないものを見て、感じて体験したいって。そうやって考えると僕が旅に行きたいっていうか冒険に行きたいって植え付けたのは小さい頃読んでいた本だと思います。一番最初に覚えているのは『エルマーとりゅう』という絵本じゃないですけど、本でして3冊あるんですけど、それを小さい時に読んでもらう度にですね、それは男の子が「島に可哀相なりゅうの子どもが捕らえられている」のを猫に聞いて、男の子のエルマーっていうのが助けに行く話なんですけど。もうそれにすごく夢中になりまして。僕もそういう猫に会って冒険してりゅうを助けたいとかですね。あとアニメにもなってましたけど、「ガンバと仲間たち」っていうネズミのガンバとその仲間が冒険する話があるんですけども、それの原作で『冒険者たち』っていう本がありまして。それも読んでとにかく自分の家から離れてどこかに旅に出たいっていう。僕がその頃、最初にやっていたのは自転車に乗って隣町まで、行っていけないっていう公園のほうまで1人で漕いでいっていろんな物を拾ったりですね、自分の秘密の宝物を見つけるっていう。僕の旅のきっかけっていうのはそれで、だんだんそれが遠くになっただけだと思っています。本でいうとトム・ソーヤ、ハックルベリーの冒険、それを読んでいくとそれがヘミングウェイに繋がって、ヘミングウェイの子ども達って呼ばれているのがビート文学のジャック・ケルアックたちで、そうやって考えると僕が旅を好きになったきっかけというのはアメリカ文学なのかなと思います。アメリカ文学のテーマというか根底にあるのはその冒険文学というか旅文学でして、それもどこかに行けっていう目的があるわけではなくて、ただ遠くへ、目的もなくただ移動するのが旅だっていうのが根底にあるのかなと僕はそう思っています。なので僕もね、次はどこに行くんですかって聞かれるんですけど。いや、ここじゃないどこかっていうか。イライラしてくるとどこかにトンズラしたいなあっていつも思っています。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。