「Travelling Without Moving」
心の中で旅をする。
かつてたずねたあの街へ。
ロスの青空が広がり、インドの海が見えてくる。
心の中で旅をする。
まだ行ったことがないあの街へ。
まぶたの裏に、ガウディの聖堂を築く。
ラジオのなかで旅をする。
TRAVELLING WITHOUT MOVING。
Theme is... TRAVELLING WITHOUT MOVING
テーマは「Travelling Without Moving」
新年度!この春からJ-WAVEとFM802をつないで
お届けします。
今回は番組タイトルでもある「動かない旅」...
こらまでに世界50ヵ国以上を旅した
野村訓市がたどり着いたコンセプト、
「Travelling Without Moving」について語ります。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージを
お待ちしています。
番組サイトの「Message」から
送信してください。
また、ハガキ、手紙も大募集!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
Antenna TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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スタッフ一同、お待ちしてます!!!
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Beyond The Sea / Bobby Darin
ニューヨーク出身の男性シンガーで、ポップス、ロック、カントリー、ジャズなどのジャンルを超越して活躍しました。この曲は1959年にリリースされたアルバム『That’s All』に収録されているもので、邦題は「夢見るように歌えば」。オリジナルは「Let Mer」というタイトルのフランス産曲で、ダーリンが英語歌詞をつけて大ヒットしました。
Elephant Gun / Beirut
レバノンの首都を名付けたアメリカのバンドで、中心メンバーはザック・コンドンという人物。この曲は2007年にEPでリリースされています。
I'm On Fire / Bruce Springsteen
「ボス」こと、アメリカを代表するロックン・ローラー=ブルース・スプリングスティーンの代表作『Born In U.S.A.』に収録されている曲です。
Time / Alan Parsons Project
プロデューサー、アレンジャー、エンジニアとして数多くのビッグ・ネームをサポートしたアラン・パーソンズのソロ・プロジェクトによる曲で、1980年のアルバム『The Turn Of A Friendly Card』に収録。美曲です!
バルセロナの夜 / 佐野元春
1981年にリリースされた名盤『Heart Beat』に収録。
Pharaohs / Tears For Fears
イギリス出身のローランド・オーザバルとカート・スミスの二人組ユニット、ティアーズ・フォー・フィアーズの最大のヒット曲「1Everybody Wants To Rule The World」好きの方にオススメのヴァージョンです。2006年にリリースされた『Songs From The Big Chair』のDeluxe Editionに収録されています。
I Remember You / Bjork
アイスランド出身の女性ヴァーカリスト、ビョーク。この曲は名作詞家ジョニー・マーサーによるジャズ・スタンダードで、1993年にリリースされた「Venus As A Boy」の寝具盤に収録されています。
Mocking Bird / Gray
ジャン・ミッシェル・バスキアとヴィンセント・ギャロという2人のアーティストが1980年代に組んでいたバンド・・・ Gray
Walk On By / Dionne Warwick
バート・バカラックとハル・デヴィッドの名ソングライター・コンビによるスタンダード!多くのアーティストが取り上げていますが、コレがオリジナル・ヴァージョンです。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking...
★★★★★★★
TRAVELLING WITHOUT MOVING。日本語にすると「動かない旅」という意味で、ぶっちゃけて言うと僕が今まで旅していた場所やそれにまつわる話しとともに、上がりすぎず寝落ちしない、適度なBPMとしっとり感のある選曲で1時間の音の旅をしてもらう、そんな番組です。昨年の10月に放送を始めて、毎週毎週ものすごくストレスを感じながら昔の記憶を引っぱり出して、その時に聞いていた曲などをセレクトしています。聴いてくださっている皆さんにとっては、一週間の終わりというか、始まりにリラックスしてもらいたいという気持ちでやっているんですけども、張本人はものすごく反対な心境な訳でして、一生懸命やってる以上、皆さんにはゆっくりした気分を味わってもらいたいなぁ〜と思っています。
僕は編集、執筆、内装デザイン、ブランディングなど色々なことをしていて、自分自身もよくオフィスにずっとこもって現実逃避をしたい時には音楽を聴いていますね。だいたい自分のプレイリストというか、昔、聴いていた曲が沢山あって、そういった曲をオフィスで流していると幻覚が見えてきまして・・・自分がその曲を聴きながら走っていたアメリカのハイウェイだったり、アジアの海を思い出したりして、唯一それがちょっとだけ気が休まるというかですね、そんな時間を過ごしています。本当はプライベートで長い旅に行きたいとは思っているんですけど、中々、現実的には行けない訳で、音楽のこの「動かない旅」っていうのを自分は毎日続けています。
★★★★★★★
番組タイトルの「TRAVELLING WITHOUT MOVING」はOpikというチルアウト系のユニットの曲名からとっています。これは昔僕が仲間と一緒に「sputnik」という名前の海の家を湘南でやっていたんですけど、その時のコンセプトが、丁度ボクが旅を止めた時だったので、『動かない旅』っていう。要はどこにも行かなくても旅気分が味わえる場所っていうのをコンセプトにして作ったんですね。それ以来、ずっとこのタイトルを気に入って色々なシチュエーションで使っているんですけど。そういえばその動かない旅ということについてすごく感慨深い出会いも、その海の家でありました。大学の同級生のお父さんが有名な鉄工所をやっているという話を聞きまして、そこに行けばいらない鉄のオブジェとか家具を貰えるんじゃないかと思って訪ねて行ったんですね。車でその工場に行って扉とか階段を見ると、すぐに普通じゃないということに気付きまして。何故かと言うと全てが鉄でできてるんですけど、微妙に全部角が取れてアールになって曲がっていたり凄かったんですよ。それって僕がパリやバルセロナにいた時に見かけた地下鉄のアール・ヌーヴォー様式だったり、アール・デコっていうような様式のもので。日本に建物としてこんなものがあるのか〜っと思ってすごくびっくりしたんですね。
で、聞けばそのお父さんが全部自分で作ったと言うので、ニコニコしたその親父さんが突然、只者じゃない人に見えてきまして。凄いですね!って。おじさんにアール・ヌーヴォーの話しを降ったところ、やはり、バルセロナの有名な建築家、ガウディって皆さんも知っていると思いますけど、「サグラダファミリア」というまだ完成していない教会とかを作っている人なんですけども。親父さんはやっぱりそのガウディの熱狂的なファンだったんですね。以前、僕はバルセロナで知り合った友達に、家に来て住んでいいよって言われてしばらく居候していたことがあったので、「バルセロナはよく知っています」って言うと、その親父さんが猛烈な勢いで街について話し始めたんですよ。そのメジャーなガウディの建物が何処にあるというだけじゃなくてですね、あそこの道を曲がってちょっとした所には、そのまた師匠や仲間の家があったり、何処何処のお店の前の道を曲がるとこんな美味しいカフェがあるって。その話し方がすごくってですね、今でいうGoogleのストリートビューを見ながら解説を受けているような気分になりまして、僕も結構バルセロナっていう街には詳しいっていう自負が当時はあったんですけど、上には上がいるもんだなと思って。僕が人に説明しようと思ったら、親父さんのようには話せないなって、その時、思ったんですね。
★★★★★★★
異常にバルセロナとガウディに詳しい親父さんのことなんですけども、僕はその詳しい解説を聞いて、その親父さんに質問してみたんですね。「一体、どのくらいバルセロナに住んでいたんですか?それはいつ頃なんですか?」日本人でこれだけ詳しい人っていうのはきっと、長いこと住んでいたり、僕の知らない昔のバルセロナの話を知っていると思って聞いたんですけど、答えっていうのが全く予想外のもので・・・「住んだこともなければ、一度も行ったこともないよ!」っていう、有り得ない答えだったんですね。なにしろ詳しいとかそういうレベルの話じゃなかったですから、どういうことなんだって問い返したら、学生の頃に、ガウディのことを知って、彼の作品にものすごく感動してそうで・・・「おこがましいけれども、いつか、ガウディに追いつけ追い越せじゃないけども、自分でそれくらいの作品を作りたい!」と思って、ずっと猛烈に勉強して鉄を作り続けて。そして何十年か経って日本でも有数の鉄工所って言われるようになったらしいんですけども。それだけ有名になって、当然バルセロナに行こうと思ったら行けるはずなんですよね。ただ、どうしても行かなかったっていうのは、自分が夢見て追いつきたいと思っていた夢のガウディのものを、いつまでも夢のままというか、目標のままとっておきたかったって。見てがっかりするわけじゃないけれども、いつかあれぐらいになるっていう目標としてとっておくんだ!という思いを聞いて、僕はすごくいろいろ考えまして。僕はすごく旅が好きで、何年もバックパックの旅をしていたんですけども、旅の醍醐味というか、テーマというか、百聞は一見に如かずというのがあると思うんですね。人の話は本で読むより、自分で行動して自分の目で見るっていうことに重きを置くというか。だから旅に行くっていうことをすごく大事にしていて、逆に行かない人たちに「なんで行かないんだ?」みたいな、説得するようなところがありましたけど。こういう旅の仕方もあるんだな、と。確かに自分の周りにスタンプラリーみたいに世界中を旅してパスポートにスタンプばっかり足して、「これだけ行ったよ!」って言うけど、何も覚えてないっていうやつもいましたし、ただ、色々な所に行けばいいというだけではなくて、自分の気持ちだけでもいい旅はできるんだな〜って、本当にその時に思って、今でもよくそのことを思います。この番組では、自分の旅の思い出や、見てきたことを話したりして、ぜひみなさんにも機会があればどこか旅してもらいたいなっという思いありますけども。例えば、行けなくても自分の気持ちだけでも音楽と、好きな所に何時でも行けるっていうことは、どこか覚えておいてほしいと思います。・・・と言う訳で今夜の番組は、そんな素敵な話しをしてくれた、斉藤さんに捧げたいと思っています。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。