Let's travel! Grab your music!
Theme is... CAMP
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「キャンプ」。
訓市も圧倒された「筋金入りのキャンパー」とのユニークなエピソード、
「キャンプ」を経験したことで気付かされたこととは?
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお願いします。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
I'm Gonna Be (500 Miles) / The Proclaimers
スコットランド出身の双子のレイド兄弟によるバンド、ザ・プロクレイマーズ。この曲は今何かと話題のジョニー・デップ主演による1993年の映画『妹の恋人』のテーマ曲です。
Don't Look Back In Anger / Oasis
1995年にリリースされたオアシスの大ヒット・アルバム『Morning Glory』に収録されているアガる曲。
Pink Cashmere / PRINCE
プリンスが当時付き合っていたアンナ・グラシアの18歳の誕生日の為に書いたと言われている曲で、1996年の映画『Girl 6』のサントラに収録されています。
Left Alone / Mal Waldron
ニューヨーク出身の黒人ジャズ・ピアニスト、マル・ウォルドロンの代表曲で、伴奏者として活動をともにしたビリー・ホリデーへの追悼の意を込めて演奏された感動的なパフォーマンス。ジャッキー・マクリーンのアルト・サックスが絶品です。
日曜日よりの使者 / The High-Lows
元ザ・ブルーハーツの甲本ヒロトと真島昌利を中心にした4人組バンド、ザ・ハイロウズが2004年にリリースした曲で、思わず旅に出たくなる・・・
Song For Whoever / Beautiful South
イギリス出身で、男性二人と女性一人のヴォーカリストというユニークな編成のロックバンド、ビューティフル・サウス。1989年にリリースされたデビュー・アルバム『Welcome to The Beautiful South』に収録されている美しい曲です。
Don't Be Shy / Cat Stevens
ロンドン出身のシンガー・ソングライターで、メッセージ色が強い作品を数多く残しているキャット・スティーヴンス。1972年にリリースされたアルバム『Catch Bull At Four』に収録されている曲です。
Follow / Richie Havens
ニューヨーク出身のフォーク・シンガー、リッチー・ヘヴンス。歴史的野外ロック・フェス「ウッドストック」のオープニングに登場したことでも有名なアーティスト。
Start From Innocence / Grand Brothers
ドイツ出身のエレクトロニカ系のデュオ、グランド・ブラザーズ。ピアノが魅力!
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
夏の兆しをだんだんと感じているこの時期に、ぜひキャンプの話をしたいと思います。最近はだいぶご無沙汰ですが、昔は随分キャンプをしていました。今キャンプというと、仲間と山に行って小洒落た調理器具を使い、オーガニックな料理とかワインを持ち込んで大きなテーブルの下でわいわい食べ、そんな感じが理想のように見えるんですけども。大人になったのだから、あえて時間とお金をかけてそういうキャンプをするというのも、もちろんありだと思います。空気のきれいなところで食べるご飯というのは確かに美味しいですし。でも、僕が言うキャンプというのは、宿代がないので必然的にテントに泊まるハメになる。全てをバックパックに詰め込んで自分がそれを運んで移動するという、自主的ではない、ほぼ強制されたキャンプです。使いすぎてペラペラになってしまった寝袋、地面の全ての石を感じることができる薄いマット。霧雨くらいまでなら大丈夫でも、本格的な雨が降ると水滴が滴るテント。ガスコンロのガスをケチって、どこまで最低限で作れるかを目標に選ばれた食材たち。飲む酒はオーガニックではなく、ほぼメチルアルコールに近いような安い焼酎やウォッカ、ワイン。素敵なキャンプの思い出を探そうと思ったんですが一つもありませんでした。だいたいキャンプしているときの思い出というのは、蚊の大軍に襲われて、身体中ボコボコになったとか、朝起きるとまず靴を逆さにして中にサソリがいないかを確かめるとか。覚えているのはだいたいそんな感じです。あとは友達とのおかずの奪い合いとか、意外な人がやたら怖がりで、毎回起こされるのにうんざりしたり。「テントの外で変な音がするけど、訓ちゃんちょっと見てきてよ。」とか、クマがいるんじゃないかとか。それから、テントで怪談をするというのはご法度です。これはすごく盛り上がるので脅かせるだけ脅かすんですが、僕は声が低くてゆっくり話しながら、だんだん声が大きくなるので、怖い話をすると稲川淳二より怖いらしいです。みんなが怖がっているのを喜んでいると、そのあと夜寝ていてもずっと寝袋を揺らされるんですよ。『どうしたんだ?』って聞くと、トイレにいけない。怖がりすぎてしまって森の中に入れなくなってしまったり、そんなことだらけでした。ただ、唯一キャンプ中のいい思い出というのをあげると、それはやっぱり朝、二日酔いとかで汗まみれになってテントのチャックを開けて見えるその目の前の風景です。森だろうが海だろうが本当に綺麗で。起きてすぐにあんな綺麗な景色の近くにいられる宿というのは、テントしかないのかなと思います。
★★★★★★★★
キャンプ。たくさんしていますが、1番思い出深いのはキャンプばっかりしていた人のことです。もう20年くらい前になりますか。ある友人がもう何年も夏になると最低3ヶ月、時には4ヶ月もの間、海沿いの誰もいない岩場に木で土台を作ってその上にテントを張ってキャンプ生活をしていました。完全に自給自足の日々というやつで、よく遊びに行きましたが、遊びに行く時は必ず米と酒を持って行かなければなりませんでした。そうするとその人は喜んでご飯を炊くんですけど、おかずは全部自分で採ってきたものを食べていて、それを僕らにも振舞ってくれました。漁師の息子とかアウトドアが好きっていうわけでもなさそうでしたがなぜか全部、我流で覚えた人で。髪の毛も海にずっといて、風呂がないというだけでナチュラルなドレッドになっていて、日本にもこんな人がいるのか、という感じでした。深いところにも2・3分素潜りで潜っちゃうんです、銛を持って。そして食べられるのかわからない貝とか、僕らが行った時は石鯛とかを突いてきてくれました。一度、多人数で行ったらよろこんで「大きい獲物を捕まえてくる」って言って潜ったまま、潜りすぎたみたいで途中で気絶してしまい、気づいたら波打ち際を漂ってたっていう人で、すごいワイルドな人でした。でも、あんなに美味しい魚とかを、最小限の調味料、たまに海水で煮ただけだったり、醤油もないようなところで、持ち込んだ安い焼酎で朝が来るまで飲むんですけが、本当に楽しかったです。キャンプというのは現地で食材を確保できるスキルがある人と行くとその滞在が大きく変わります。ちなみにこの人、昔インドに僕がよく行ってた時に来たことがありました。現地人も数人しかいない、ほぼ無人のビーチにやっぱり椰子の葉っぱで掘っ立て小屋を建てて、自分で魚を採って食べてたらしいですが、インド人の間でちょっと話題になっていました。魚はいいんですが、彼らは貝を食べないんです。それを、その人は貝を採ってきて、食べられるか食べられないか、じーっと見て判断していたらしいです。そうするとインド人が集まってきて、この人、何をするんだ。と思ったら、最後にパクッと全部食べたらしくて。「日本人はクレイジーだ。」という話が聞こえてきたので「なんの話だ」と聞いたらその人でした。
アメリカでも弓でイノシシを採ってくるような人がいまして、1回キャンプでそれを手伝ったことがあります。いきなり「解体を手伝え」と言われて、映画みたいだと思って行ったんですけど。実際、解体するってハードなビジュアルと感触とか、すごく大変でしたし、僕は根っ子は都会のもやしっ子なんだなと、その10代の時に自覚しましたけども。でもやっぱり四苦八苦しながら解体した、しかもそんなにおいしくなかったんですよ、その硬いイノシシの肉。それでも自分が一緒に解体して料理したと思うと、すごく美味しいと思ったと同時に、肉でも野菜でも無駄にはできないなというのを本当に思いました。ここは無駄だから捨ててしまうというのは、その生き物に対しての冒涜なんじゃないかと思いまして。殺してしまった以上、おいしく全部食べるのが人間の義務なんじゃないかと思いました。またそういう面白い人たちと一緒にキャンプに行きたいなと最近すごく思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。