Let's travel! Grab your music!
Theme is... SNEAKER
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「スニーカー」。
旅先ではとにかく「歩く」という訓市が愛用しているスニーカーとは?
「ビーサン・マスター」と呼ばれるニューヨークの友人、
イタリアの某ブランド製のスニーカーしか履かないという
オーストラリアの友人のエピソードなどについて語ります。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。
勿論、恋愛系も・・・
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお願いします。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Dirty Paws / Of Monsters And Men
アイスランド出身の5人組バンド、オブ・モンスターズ・アンド・メンが2011年にリリースしたデビュー・アルバム『My Head Is An Animal』に収録されている曲です。
To Be Happy / Joey Pecoraro
Waterfalls / TLC
R&B、ヒップホップ系の女性グループが台頭した1990年代に絶大な人気を誇った3人組TLCにとって最大のセールスを記録したセカンド・アルバム『Crazy Sexy Cool』から、全米チャートで7週連続NO.1に輝いた曲です。
Garota De Ipanema / 小野リサ
ブラジル生まれの日本人シンガー、小野リサによるアントニオ・カルロス・ジョビン作曲のボサ・ノヴァ名曲カバー。
いい時間 / Evisbeats
日本人のトラックメーカー、エビスビーツが2012年にリリースしたアルバム『ひとつになるとき』に収録されている曲。ヒップホップは苦手!という方にもぜひ、聴いていただきたいトラックです。
Human Nature / Michael Jackson
マイケル・ジャクソンの歴史的アルバム『Thriller』に収録されているミディアム名曲!本人作ではなく、作詞はジョン・ベティスで作曲はTOTOのスティーヴ・ポーカロ。マイルス・デイヴィスによるカバー・ヴァージョンもオススメです。
Anyone Can Fall In Love / Kindness
ロンドン出身のシンガー・ソングライター、カインドネス2012年にリリースしたデビュー・アルバム『World, You Need A Change Of Mind』に収録されている曲です。
Susan's House / Eeels
「うなぎ」という意味のバンド名、イールズによる1996年のデビュー・アルバム『Beautiful Freak』から。
Don't Let Me Down / Stereophonics
2001年に公開されたショーン・ペン主演による映画『I Am Sam』のサントラに収録されているビートルズのカバー・ヴァージョン。このアルバムは全編ビートルズ・カバーというおススメの作品です。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★
旅に出かけるとき、みなさんは何を履いて行きますか?たくさん歩くだろうからはき心地のいいものや防水のもの、トレッキングに行くからしっかりした革のブーツを履こうとか、それぞれいろんなこだわりがあると思います。女性の場合はオシャレもしたいでしょうから、ハイヒールも持っていかなきゃいけないし、あれもこれもなんてことになるんじゃないでしょうか?1週間の滞在で1回でもそういう機会があると、そのために持って行きたいというのがきっと女性だと思います。それに対して男なんて楽なもんで、大体においてスニーカー1足で十分です。僕も若い頃は、オシャレをしたいなぁと思って気取った靴を履いたりしました。10代の頃なんて、上下古着のリーバイスにエンジニアブーツを履いてアメリカに行ったりしましたが、重いわ疲れるわで、これを履いて歩くと思うと面倒くさいので、今は絶対そんなことはしません。履くのが面倒くさいといえば、バックパッカーの頃に一時期、靴を履かないことがありました。人間の体はすごく便利なもので、靴を履いていないと皮が厚くなります。きっかけは、ビーチかなんかにずっといたときに靴を履く必要がないと思って、そのうちそのままどんどん行動範囲が広くなってしまいました。熱い砂の上で歩いていても、道の上で歩いていても暑さを感じなくなっていったんです。すると古株のヒッピーが、『そうか、お前も足の裏の皮が厚くなったか。俺はタバコを踏んでも熱くないぞ。』と言うので、試しに僕も吸い殻に足を乗っけてみたら確かに熱くないし、消せるんです。こうなると自分の足が天然の靴と化してきまして無敵でした。例えば、道にちょっとしたガラスの破片が落ちていて踏んでも血が出ないんです。皮が厚すぎて血管まで届かないんですね。これは便利だなぁと、素足で生活してましたが、唯一問題があったのは空港です。『あなた、靴は?』『いや、履いてません。』『危ないので靴を履いてください。』『全然危なくないです。』『それじゃあ、あなたを乗せることはできません。危ないです。』『そんなのどこにも書いてないじゃないですか。』みたいな押し問答がありまして。どうも靴を履いてないとまともな人として見てもらえないんです。でも、靴を履いてしまうと皮はすぐに柔らかくなってきて退化しちゃうのでどうしても履きたくなくて。それで結構長い間、裸足で過ごしていました。今はもちろん履いていますが、旅に行くときはいつもビーサンかスニーカーですね。もちろんちゃんとしたお店でご飯を食べることも増えたので、そういうときにビーサンはまずいですからスニーカーを履きます。暑い時期はだいたいビーサンで過ごしていますね。飛行機に乗った後もビーサンだと楽なんです。何をするにもチョチョイのチョイ。ニューヨークにビーサンマスターと呼ぶべき友達がいます。彼は1年の2/3はビーサンで過ごしてるんじゃないかと思うんですが、それが熱帯の島とかじゃなくて、ニューヨークだってところがミソだと思うんですよ。かなり寒いときもビーサンだと思います。その彼のビーサンがすごいんです。一番安いどうでもいいやつなんですが、履きすぎてその薄さがラップトップでいえばMacBook Airくらい薄いんですよ。かかとの部分が特に当たるらしくて、1回見せてもらったんですが、コピー機の紙くらい薄くなってました。『すごいね、ここまで履くの。』って言ったら『いやー、素肌感覚だよ。』って笑っていました。
★★★★★★★
旅行中、僕はすごくよく歩きます。車や電車を使わずに歩くといろんなものが目に飛び込んできます。そういうものが刺激的にアイディアを考えさせてくれたりして、あれこれ考えながら、夢想しながら歩くのがすごく好きなわけです。なので、昔はちょっと長く旅に出ると1足その旅で履きつぶしていました。あっという間にかかとに穴が空いて雨が降ると浸水してくるようになっちゃうんです。新しいものに履き替えるたびに感傷的になったものです。『相棒よ、お前とは随分歩いたな。』みたいな。どうしてかというと、結局その旅の間じゅう毎日一緒にいて、ありとあらゆるところに一緒に行ったものって靴しかないわけです。毎日同じ服は着ないですから。だから『今回もいろんなことがあったな』と、毎回すごく思い入れがありました。履くスニーカーはだいたいバンズやコンバースみたいな、キャンパスでできたシンプルなもので。なぜかというと、これはなんでも合う、例え旅の途中で履きつぶしたとしてもどこでも必ず同じものが安く買えるからなんです。
昔オーストラリア人の友達で、スニーカーは某イタリアのブランドのものしか買わない、という奴がいました。実際、みんなでミラノにいてタクシーに乗った時、そこにいた某社長が『なんか変な匂いがする。ツナサンドの腐った匂いがする』って言った途端に、オーストラリア人の顔が青ざめたんです。そいつのスニーカーの匂いだったんですね。すごい古くて多分、履きっぱなしだったんです。タクシーを降りた途端にその彼が『今すぐにそのブランドのお店に行かなければならない。』と。ミラノにそのお店があって、ちょっと違うモデルのものしかなかったんですが、スニーカーがあったのでそれをくれと。そしたら『試着をしてください。我がブランドはサイズずれがあったらいけないので必ずお客様に試着をしてもらうことをお勧めしています。』『いや、試着なんかしなくていい。ずっと履いてるブランドだからこのサイズをくれ。』『試着をしないと売れません。』『頼むから売ってくれ!』『いや、売りません。』という押し問答がありました。安いスニーカーを履いていればこういうことはありません。特に、キャンバスのスニーカーはしまうときもペタンコにできるのですごく楽です。それでベーシックな色にしておけば短パンのときに履いてもジャケットを羽織らなきゃいけないときでもそれっぽく見えてしまうので便利だと思います。あとはこういうブランドに内側を改良して裸足でも履けるようにしてほしいですね。そしたら旅行中、靴下を持っていかなくてもいいですから。あれほど面倒くさいことはないです。気づいたら新しいソックスがないっていう。
とにかくこういうペタンコなスニーカーでその町の路面を自分の足で感じながらひたすら歩くというのは楽しいものです。1回の旅でソールがどのくらいすり減るのか。そのすり減る量というのはきっと、自分が目にする光景の量と反比例するんじゃないかなと思います。つまり、いろんなものをたくさん見れば見るほどすり減っていく。みなさんのスニーカーのソールがこの夏できるだけたくさんすり減りますように。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。