Let's travel! Grab your music!
Theme is... LIGHTHOUSE
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「灯台」。
訓市の心を踊らせた詩人ルイス・デ・カモンイスの一節がきっかけとなって
訪れたヨーロッパの彼の地、
アメリカ東海岸で特におススメのスポット、
さらに、訓市が日本で一番好きな灯台について語ります。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。
この夏の間に、「ドライブ・ミュージック」特集もお送りする予定です。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
I Want You Back / KT Tunstall
スコットランド出身の女性シンガー・ソングライター、KTタンストールによるジャクソン5のカバー・ヴァージョン。
Fence In Me / Erland Oye
ノルウェー出身の男性デュオ「キング・オブ・コンビニエンス」のメンバー、アーランド・オイエのソロ・アルバム『Legao』から。
I Got The Blues / The Rolling Stones
1971年リリースの名盤『Sticky Fingers』に収録されているスロー・ブルージー・トラックです。アルバム・ジャケットも秀逸!
Blue Cafe / Style Council
元ザ・ジャムのポール・ウェラーがミック・タルボットとともに結成したイギリスのバンド、スタイル・カウンシルのデビュー・アルバム『Café Blue』に収録されているジャジーなインストゥルメンタル・トラックです。
中央フリーウェイ / 荒井由実
独身時代最後となった1976年のアルバム『14番目の月』に収録されている曲で、当時の名義は「荒井」。
City And Sea (Lady Nameless) / New Buffalo
オーストラリアの女性シンガー・ソングライター、サリー・セルトマンの別名プロジェクト「ニュー・バッファロー」名義のアルバム『Somewhere, Anywhere』から。
Long Time No Sea / Ben Watt
イギリス人男性シンガー・ソングライターで、エブリシング・バット・ザ・ガールのメンバーでもあったベン・ワットのソロ・アルバム『North Marine Drive』に収録されている曲。夏ドライブのおともにおススメ!
Lost At Sea / The Egg
イギリスのエレクトロニック・ダンス・ミュージック系バンド、The Eggの2004年リリースのアルバム『Forwards』に収録されている曲です。
A Pearl For Iona / Jessica Lauren
2004年リリースのアルバム『Late Night Tales』から。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
夏の海というと、ビーチで昼間に寝っ転がるのが全てではありませんし、泳がなきゃいけないわけでもありません。海が見えるところに行くだけでも、海の日にふさわしいんじゃないでしょうか。僕は泳いだり遊んだりすること以外で考えますと、灯台を見るのがすごく好きでした。昼間に見るのもいいですけど、夜の灯台というのも雰囲気があってすごく素敵です。若い頃、夏の間はよくヨーロッパのほうにいました。夏にヨーロッパにいるというのはすごくブルジョアな感じがしますが、人の好意に甘え続ける旅でした。ヨーロッパの国や街にはいろんな海岸線がありますが、いたるところで灯台をみました。1番嬉しかったのは、ヨーロッパの最西端といわれるポルトガルのロカ岬の灯台に行った時のことです。景色ももちろん素晴らしいんですけど、それよりとうとう地の果てに来た、という。ポルトガルの有名な詩人でルイス・デ・カモンイスという人の詩の一節『ここに地終わり 海始まる』が書かれた石碑があるんですが、“この世の果て”という響きに酔いしれてしまって、とにかくそこに行きたかったというのがありました。ただ、なんでその詩を知ったかというと、実はたわいもないことで、なんのテレビコマーシャルか忘れてしまったんですけども、『ここに地終わり 海始まる』というセリフの一部を使ってまして、何て素敵な俳句のような詩だ、と思ったのがきっかけで。それを黙ってその石碑を見に行ったって言うと、みんな『野村さんはロマンチストね。』と思うかもしれませんが、きっかけはただのテレビのコマーシャルです。だいたい得てしてきっかけというのはそんなもんだと思うんですけど。
灯台というのは当然、海の難所というところにあるものですから、地の果てのような場所には必ずありますね。日差しに照らされてポツンと立つ、人気のない海岸というのは気持ちのいいものです。海の日に子供にせがまれてわざわざ人でごった返すビーチに行きたくないという人は、灯台を目指してドライブなんていうのもいいんじゃないでしょうか。
灯台といえば、もし夏にアメリカの東海岸に行く人がいれば、ケープコッドという有名な岬があるのでそこに行ってみるのもいいと思います。コッド=鱈という意味です。ここはボストンがあるマサチューセッツにあるんですが、たぶんアメリカで1番有名な避暑地であり、古い漁港もあり、そして大金持ちたちの別荘地でもあります。白い砂浜と渋い灯台もありまして、昔からいろんな映画のロケ地にもなっています。ちなみにそこから少し離れたところにマーサズ・ヴィニヤードという、すごく有名なお金持ちしかいない島があるらしいです。まだ行ったことこがないんですが、僕が1番最初にこの人みたいになりたい!と思った『ブルース・ブラザース』という映画のコメディアン、ジョン・ベルーシのお墓がここにあります。僕はいつかブルース・ブラザースと同じ格好、黒いハットにサングラス、そしてスーツを着て、このジョン・ベルーシのお墓を訪ねに行きたいなと思っています。
★★★★★★★★
灯台で1番好きだったのは、三浦半島のほうにある灯台でした。とはいえ最後に行ったのは20年くらい前なので、実際にそれがまだそこにあるのか、そして何て言う名前の灯台だったのか思い出せないんですけど。そもそも、なんでその灯台に行くようになったのかもおぼろげな記憶で、でも確実なのは、意味もなく夏の夜に暇な人たちが集まって『どこか行こうぜ』という一言に、誰かが『すごく綺麗な灯台があるから今から行けば夜明け前に着くんじゃない?だから行こうよ』みたいな話しでとつぜん三浦のほうに行った記憶があります。何人くらいで行ったのかな、10人以上いたので確か車を何台かに分けて第三京浜から横浜新道、そして横横。そこからどこで降りたか覚えてないんですが、着いた先は記憶の中ではすごく小さな漁港でした。外れにバス停があったのを覚えてるんですけど、その近くに車を停められるところがあって。『こっちこっち』と呼ばれて行くと漁港の外れにあるススキだらけの小道。あたりは街頭1つなく真っ暗だったので、『こんな漁港から離れたところに灯台なんてあるのか』ってみんなで文句言いながら歩いて行くと、ものすごく広い岩場が広がっていて、その上に白い灯台がぽつんと立っていました。それを見たときはもうその時点で絶景で。というのもその周りには何もなく、白い灯台だけが立っていて、光がくるくると回っている。だんだん空の端っこがすもも色に染まっていくのをみんなで眺めました。そのときの夜明けというのが本当に綺麗で、そのあと違う友達にも声をかけて、『すごくいい灯台を見つけたからみんなで見に行こう』と向かいましたが、確か2回くらいたどり着かなくて。僕はものすごく方向音痴なんです。例えば、近くにコンビニがあってそこを曲がれば着くはずだって言っても、どのコンビニか覚えてないんですよ。曲がっちゃうと全然違うところに行っちゃったりして。でもそのあと2回くらいはそこにたどり着いた記憶があります。その度に、ここはなんて綺麗なんだろうと。人の気配もなく、最初はゆっくり灯台の光を見ていて、その後すごく綺麗な朝焼けが見られる。もし、こんな拙い説明で、“あそこじゃないの?わかるわよ”っていう人がいましたら、ぜひお便りをいただければと思います。もしわかれば今年の夏はぜひ見に行きたいなと思います。
灯台フリークというのは実はたくさんいまして、海外にも灯台ばっかり見に行ってる人がいます。代表的なのは映画監督のウェス・アンダーソンさん。あの人は昔の灯台船、灯台が建てられないようなところには船の上に灯台を建てて、それを難所に停めていたらしいんですけど、本物の灯台船を2艘アイルランドから買って地中海に持ってきました。1つは映画用なんですけど、もう一つはイタリアに持って行ったと言ってすんごい嬉しそうに話してました。『あれは本物の灯台船で、俺はあれを改造したんだ!』みたいな。
みなさんもあした灯台を見たいなという人は、今から車に乗り込んで高速を走らせれば、きっと素敵な灯台の灯と夜明けを見られるんじゃないかなと思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。