Let's travel! Grab your music!
Theme is... TROUBLE
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
後半のテーマは、「旅でのトラブル」。
訓市がアムステルダムで実際に体験したユニークなエピソード、
そして、彼の親友が絶望の淵からから起死回生した「トイレ」にまつわる
行動から学ぶ、旅中ならではのアドバイスを語ります。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
I Won't Back Down / Tom Petty & The Heartbreakers
Summertime / Janis Joplin
Five Years / Seu Jorge
Once Upon A Time / Air
7月のクリスマス / Hi-Fi Set
I Love You Always Forever / Donna Lewis
Caravan Of Love / The Isley Brothers
River / Joni Mitchel
True / Spandau Ballet
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
いまはお盆休みでまさに旅行中という方もいれば、こんな一番旅費の高いときにどこかに行くなんてもったいないという方は、きっと週をずらしてこれから海外に向かうと思います。旅に出ればいろんなトラブルに巻き込まれる方も多いと思うのでそんなことについて話してみたいと思います。まずトラブルを防ぐには、新品のおしゃれな服を着ないことです。日本の方はついつい旅先で普段着ないような服を着てしまいがちで、同じ旅行客の僕が見ても“あぁ、あれ日本人だ。”ってすぐにわかります。なるたけ洗濯でくたくたになった、現地の人と同じような格好をして、首から大きめのかばんとかを背負わないというのが第一です。あと、ヨーロッパに多いのはスリや置き引き。これは僕がバックパックの旅をしていたときから一向に変わらないようです。僕らは乗り継ぎの時間がなかなか合わなくて、よく電車の駅やターミナルでそのまま寝て待ったりしたんですが、そういうときはリュックを背負ったまま寝たものでした。そうしないとすぐに持ってかれてしまいますし、時には背負ってるのに手を出してくる人もいるので、寝ぼけながらずっと相手を払いつつ寝るなんていうことも多かったです。そして結構いるのがニセ警官。これもぜひ気をつけてください。昔、仕事で友人とアムステルダムにいたんですが、道で友達が爺さんに声をかけられました。『駅の両替所でお金を両替したんじゃが、同額の紙幣なのにデザインが違う。これが偽札かどうか見てもらえないかのぉ。』みたいなことを、いかにも困った顔で話してくるわけです。“こいつは胡散臭いからスルーしよう。”と思ったところ、親切心を出した友達は『どれどれ、見てやるよ。あぁ、これは新札と旧札の違いじゃないかな。大丈夫だよ。』と言いました。そのときです。突然どこからともなくサングラスをした二人組の男が現れました。一人はのっぽ、もう一人はまるで映画『ビッグ・リボウスキ』に出てくるような巨漢の男でした。『警察だ。お前ら道端で金を出して何をしている。身分証明書を見せろ。』と言ってきました。『お前が警察?』と僕が言うと、サッと警察手帳を見せて続けました。『いいから見せろ。それから財布もだ。違法取引、もしくは違法両変は犯罪だ。さあ、見せろ。』僕は財布を持っていないのでむき出しの小銭とパスポートを見せました。一瞥しただけでおまわりさん達は僕の友達の方に集中しました。そして彼の財布とパスポートを見ました。『これはなんだ?』『それはお守りです。』一連のやりとりのあと、ビッグ・リボウスキたちは『問題はなさそうだ。お前ら、これから道端で紙幣なんか出してるんじゃないぞ。』そしてそそくさと現場を離れました。“なんだったんだ”と振り返ると、さっきまでそこでオロオロしていた爺さんがいません。“あれ?”突然、我に返った友達が急いで財布を見ると『やられた!』と叫びました。入っていた500ユーロ紙幣が1ユーロにすり替えられていました。お守りかどうかと聞かれ、一瞬視線を外したすきにやられたのです。すぐ警察に行きましたが、当時はやっていたニセ警官で、ヨーロッパの東のほうから大量に来ていると言われました。『こればっかりは騙された君たちはしょうがない。』と。あとでよく考えてみれば、彼らが見せた警察バッヂには、オランダのはずなのに保安官のようなバッヂに英語で“Special Police”と書いてありました。そんなポリス、いませんよね。必ずディテールをよく見ないといけません。親切心は大事ですが相手が2人組だったりするときは本当に気をつけてください。
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大きいトラブルだけじゃなくて小さいものが頻発するのも旅なのですが、一番困るのは実はトイレだったりしませんか?公衆便所がちゃんとあって、どこでも綺麗なトイレがある日本というのは、決して普通ではないです。インドにいた頃、突然訪ねてきた友達がトイレに行くと言って戻ってきません。30分くらいして観念したのか帰ってきて、『トイレが流れない。どうすればいいんだ。』流れるわけないですよね、レバーも何もないんですから。和式のようなトイレの横に置いてあるバケツから自分で水を汲んで、それを上からえいっと流し込むと水圧で流れるわけです。ヨーロッパなんかでもトイレに行って紙があるとは思わないほうがいいです。必ずティッシュは持ち歩きましょう。あとはその国の小銭。たまにトイレに行くとそこに人が立っています。トイレを綺麗にしてくれたり、紙をくれたり、手を洗ったあとにお手拭きをくれたりする仕事をする人たちで、1日何時間トイレにいるのかわからない、ハードな仕事です。小銭がないからと払わないのはルール違反なのでぜひ払ってください。トイレといえば友人の話でこんな話があります。それは彼が撮影で南米に行ったときのことでした。現地の屋台でご飯を食べ、それから機材を積んだ現地の人が運転するトラックに乗っていたときにおながか急にゴロゴロ鳴りだしたそうです。これはビッグウェーブの予感がする。『トイレに行きたい。』と運転手に言っても全く言葉が通じず“どうしよう”としているうちに、背筋には冷や汗。ふと窓の外を見るとデパートらしき建物が見えます。彼は無言でトラックを飛び降り、お尻を押さえながら中へ飛び込みました。ところが人でごった返す店内にはトイレが見当たらなかったそうです。右往左往するうちにビッグウェーブの波がひたひたと迫ってきました。階段を見つけてそこに飛び込んでもトイレは見当たりません。地下に行き、積み上がったものの壁で“ここならいいだろう”とズボンを下ろそうとしたときに、『何をしてる!』的なことをスペイン語で叫ばれました。見ればガードマンが立って睨んでいます。『ひー!すみません!』とそこから飛び出し、『もうだめだ、破裂する。』その瞬間、とうとう彼はトイレを見つけました。しかし、走りこもうとしたところ、そのトイレの前にはものすごく長い行列が。軽く絶望したそうですが『もう無理、ごめんなさい。』と、その現地の人たちを全員突き飛ばし、今まさに人が出てきたトイレに飛び込みました。彼は“試合に勝った。”と思ったそうです。まさに、ロスタイムの逆転ゴールみたいなところですね。ところが完全に用を足した後、紙を見ると、ない。そうです、記憶を辿ってみると確かに紙を持った男の人が列の前に立っていた。ここもお金を払ってティッシュを買うところだったんですね。『そうだ、靴下だ!』と思ったところ、その日に限ってサンダル。靴下というのもいざという時、大変役に立ちます。結局彼はどうしたのか。こういう時はホルダーに紙の芯が残ってないかどうか見ればいいそうです。それでは硬いんじゃないかという方は、まずはトイレのウォータータンクのふたを開けて、破って平たくした紙の芯を浸してください。十分浸した後に壁に叩きつけて水を切ればウェットティッシュの出来上がりです。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。