ON AIR DATE
2016.09.04
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

It reminds me something already I forgot.

TUDOR logo

Theme is... US Military Camp




『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!

後半のテーマは、「米軍キャンプ」。
訓市が生まれて初めて体験した海外=フェンスの向こうのアメリカ…
横須賀の米軍キャンプに足を踏み入れて目にしたもの、体験したこととは?
「いつかアメリカに行くぞ!」と心に決めた瞬間について語ります。



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。

旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.09.04

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

A Sky Full Of Stars / Coldplay

2

Will You Still Love Me Tomorrow / Amy Winehouse

3

Paper Boats / Nada Surf

4

As Time Goes By / Dooley Wilson

5

米軍キャンプ / 尾崎豊

6

Wake Me Up When September Ends / Green Day

7

Come September / Natalie Imbruglia

8

Summer Soft / Stevie Wonder

9

Stealing Home / David Foster

2016.09.04

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★
僕がはじめて行った外国は、横須賀にあるアメリカ海軍の基地でした。小さい頃はすごく典型的な男の子で、機械や乗り物が大好き。そのうちロケット・飛行機ときて、戦闘機とか軍艦なんていうものにはまる軍人オタクみたいになってしまって、プラモデルや模型を作ったりしてました。お絵描き帳を開いてみると、軍艦は全部火を吹いていたりそんな絵ばかりでした。小学校に入って最初に仲良くなった男の子の友達も同じような戦艦好きで、延々とヤマトがどうだという話をしていました。彼のお父さんが横須賀の基地でなにか仕事をしていたみたいで、ある時その大将のような偉い人と知り合いになって、招待状があれば平日でも家族で招待してくれると言う話がありました。それはまだ小学校1年生の終わりだったと思うんですけど、その日のことは今でもすごく覚えています。それまで外国に行ったことはもちろんないですし、どうしてもどこかに行きたいというのはなくて。そもそも興味を持つ以前の問題だったのかもしれませんが、友達のお母さんに連れられてゲートをくぐった瞬間から、これはなんだ!と仰天しました。なにしろ看板は突然ぜんぶ英語、道は見たこともないくらい広くて、走る車も違えば道を歩く軍服を着たおじさんは見上げるくらい大きく見えました。芝生というのがこんなに綺麗なんだというのもはじめて知りましたし、本当にゲートをくぐったらその向こう側は知らない国。何に近いかというと、ドラえもんのどこでもドアって本当にあったんだ!っていうくらいまるで違ったんです。そのあまりの違いと、はじめて外国人に囲まれる経験に僕はびっくりを通り越して口を開けっ放しだったと思います。その時いろんな軍艦に乗せてもらったり、スーパーに行ったり、もうひとつひとつが印象深い思い出です。生まれてはじめてドル札を見たのもこの時で、コーラを買うのに『これがお金よ。』と1ドル札を渡されたんですけども、紙幣に書いてある爺さんの顔が違う!って驚愕しまして。外国はお金も違うんだということをその時に知りました。またはじめてスケートボードを見たのもこの時で、そんなの全く知らなかったんですけど、上半身裸の水兵さんが手に大きなずた袋、いま思うと洗濯物をつめた白いランドリーバッグだったと思うんですが、それを肩にかけてヘッドホンもしながらスケートで道を滑って行ったんです。その瞬間に、今年のサンタに頼むものはこれだ!って悟りましたし、いつか絶対アメリカに行って住んでやろうと思いました。



★★★★★★★★
基地がある街というのは行政もそうですが、いろんな問題や地元の方の負担もあると思うので、それがいいとか簡単に話せるものではないです。でも申し訳ないことに、若い頃はそんなことは1ミリも考えてなくて、それよりも異国の母国情緒といいますか、のちに旅する様になった東南アジアの街の様な不思議な空気感にすごく惹かれたものでした。それはアジアとアメリカがごちゃまぜになったような雰囲気で、基地の近くならではのおもしろいお店というのもたくさんありました。もともと将校向けだった仕立て屋さんや映画でみたようなお店、それから払い下げの軍服・古着を売るようなところ。基地の中に入ればそこはそのままアメリカで、映画館があったり日本じゃ普段食べられないようなファストフードのお店があったりしたんですが、その街のまわりは日本とアメリカの境界線がぼやけている感じの雰囲気で、それにすごく惹かれました。最初のうちは電車で乗り継いでそのあたりまで行っていました。僕の友達にもスカジャン、今はスーベニアジャケットって言いますけどそれがすごく好きな人がいて。わざわざ自分のオリジナルをオーダーしたいと、横須賀にあるどぶ板通りなんかに行って、そこにある仕立て屋でスカジャンを作ったり、ブラックミュージック好きのダンサーの友達は、福生にあるクラブまで出かけてました。やっぱり軍人さんの中には本物のブラザーがおりまして、彼らの踊りを見たり、好みの曲がどんなものなのかというのをどうしても知りたかったんだと思います。そして自分の周りの友達が免許をとった頃には、よく基地の近くにドライブに行きました。それも何をするわけでもないんですが、なんとなくその街の空気感を求めて行ったに違いないと思います。僕が10代のころにはもう基地はなくなって、でも昔のその跡が残っていました。本牧とか葉山もそうですけど、とくにその辺には米軍ハウスという、かつての軍人の家族の方が住んだ古い住宅がたくさん残っていてすごく憧れました。平家の、どこかちょっと日本の木造とは違うアメリカの郊外にあるような家で、それに憧れて引っ越す友達もいました。僕も一度、引っ越そうと考えたことがありますし、今でも余裕があればそんな家を借りて自分でペンキを塗って週末ぼけっとしたいなって思います。
離れた場所に行かないと米軍ハウスを見ることができないかというと、そうでもありません。例えば、代々木公園。原宿の方から入ってすぐ右側に、一軒だけ管理事務所みたいになっている建物がありますが、それが米軍ハウスです。代々木公園というのは、戦後からオリンピック前まで『ワシントンハイツ』と呼ばれる、米軍が占拠して、その家族たちの家が建っていた場所らしいです。だから洋物、洋服とか音楽とかの発祥地になったなんて言われてます。僕の母親も若いころは、ワシントンハイツで仕事をする友達のお父さんがいて、そこに行くのを何よりも楽しみにしていたと言っていました。フェンスの向こうに突然、外国が見えるというのがすごく憧れだったみたいです。もし東京の方で、米軍ハウスってどんなだろうと思ったら、ぜひ代々木公園に行ってみてください。そして、基地というのはどこの基地もそうだと思いますが、年に1回は開放日というのがあって、一般の人がゲートをくぐって中を見てご飯を食べたりすることができるんです。なので、アメリカに行ったことがない人は、ちょっとどんなもんかしら、というときに見てみるのも面白いんじゃないのかなと思います。