Let's travel! Grab your music!
Them is ... Usefulness
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
後半のテーマは、「旅で役立つこと」。
長年にわたって世界各地を渡り歩いた経験をもつ訓市が思う、
ワザ、秘訣を語ります。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Sweet Disposition / The Temper Trap
豪メルボルン出身の4人組ロック・バンド、ザ・テンパー・トラップ。2009年にリリースされたデビュー・アルバム『Conditions』のリード・シングル曲です。
Space Oddity / David Bowie
今年1月に惜しくもこの世を去った永遠のロック・スター、デヴィッド・ボウイが1969年にリリースしたコンセプト・アルバム『Space Oddity』のタイトル・トラック。20世紀の音楽遺産の1枚です!
Songbird / Fleetwood Mac
1977年にリリースされ、全世界的に大ヒットを記録したアルバム『Rumours〜噂』から、スティーヴィー・ニックスのヴォーカルをフィーチャーしたチャーミングなトラックです。
Always Returning / Brian Eno
イギリス出身のミュージシャンで、コンポーザー、プロデューサーとしたも活躍するブライアン・イーノ。アメリカの「アポロ計画」を描いた映画『Apollo: Atmospheres and Soundtracks』のサウンド・トラック・アルバムに収録されている曲です。旅におススメの1枚!
タイトスカート/ 山口百恵
1970年代にアイドル歌手として絶大な人気を博した山口百恵。ロサンゼルスで現地のミュージシャンを迎えて制作されたアルバム『L.A. Blue』に収録されているブルージーなトラックです。
Sea Salt / Quadron
デンマーク出身の男女2人からなるクァドロンのセカンド・アルバム『Avalanche』(2014年日本リリース)から。
Steo / Vampire Weekend
米ニューヨークで結成されたインディ・ロック・バンド、ヴァンパイア・ウィークエンド。2008年リリースのデビュー・アルバム『Vampire Weekend』から。
If / Bread
米ウェスト・コースト出身のバンド、ブレッドの3枚目のアルバム『Manna』に収録されている曲で、彼らの代表作!
Veridic Quo / Daft Punk
フランスのエレクトロ・デュオ、ダフト・パンクが2001年にリリースしたアルバム『Discovery』に収録されている曲です。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
僕は趣味柄、そして仕事柄よく海外に行って仕事をします。その結果、仕事付き合いから友達になって、一生付き合いになる人もいます。そうするとよく聞かれるのが、『よくそんな雑多な人たちと仲良くなれるねぇ。それもバラバラな職種の人たち、国籍も違う。何か仲良くなる秘訣はあるのか。』ということ。自分としては、誰かと知り合いになろうと頑張ったり準備をしたりすることもありませんが、今思うと役に立ったなぁと思うことはいくつかあります。話のはずむ人が趣味や好みが共通する人というのは、どこの国の人でも同じだと思います。なので、自分が好きなこと、身近なことだと音楽とか映画とか、そういうもののタイトル、監督の名前を英語で憶えておくと、映画や音楽好きの人とは話が弾みます。ただし特に映画ですが、気をつけなればならないのは、タイトルをちゃんと英語で覚えるということです。この間仕事で、ものすごく映画好きな人に好きな映画のタイトルを全部書いてもらったんです。でも、のちのち英語で書かなきゃいけないのに、その人は英語のタイトルを全部日本語で憶えていました。実際のタイトルと日本語のタイトルが同じだったり近い時はいいですが、邦題というのは得てして全く違ったりします。友達とよく笑うのが、昔シガニー・ウィーバーという女優さんの映画で『ゴリラ・イン・ザ・ミスト』という映画がありました。これは“霧の中のゴリラ”という意味で、ゴリラの保護に一生を捧げた人の話なんですが、日本語のタイトルが『愛は霧のかなたに』。ゴリラはどこに行ったんだ、という話ですが、これを拙い英語で『私の好きな映画は“愛は霧の彼方に”。うーん、Love in there mist. Love over the mist.』なんて言ってると、一生話が噛み合わないことになります。なので、英語で覚えるということはすごく大事。それからスポーツの話もすごく盛り上がります。僕は痛いのとか汗とか根性とかいう言葉が大嫌いですが、実はアメリカにいたときにアメフトをしていました。なので、家に毎月届いていた“スポーツ・イラストレイテッド”という雑誌。日本でいうところの“ナンバー”ですが、それを毎号読んでいるうちに、アメフト・大リーグ・NBA・ホッケー。その全てのチームがどこの町にあるか、そして主要メンバーが誰だとかいうことをなんとなく覚えてしまいました。そうするとアメリカのどんな町のバーに行っても、話の合わなさそうなスーツのおじさんと会ったとしても、スポーツの話で盛り上がってしまいまして、『訓市、次のバーに行くか?』って朝まで飲む羽目になりますが、すごくおもしろい人なんだなっていうことを知ったりします。イギリスやヨーロッパの場合ですとサッカーがすごく盛んですので、自分のチームというものを持って、いろいろその歴史を知っていると、きっと今まで絶対仲良くならなかったような人たちとも近しい関係になることがあるんじゃないかなと思います。
★★★★★★★★
僕は元来オタク気質というやつで、今まで興味を持ったものを割と全て覚えているので、それがどこに行っても会話が成り立つということに役に立っていると思います。どのくらいランダムかと言いますと、熱帯魚の名前とか釣りのルアーのメーカー、軍事関係ですと船の幅とかミサイルの速さとか、今でも覚えています。オカルト話とかも好きですし、インディーロックとかディスコ音楽、クラシックもジャズも好き。スケートボードとかになると、何年に誰のスポンサーがどこだったとか、それから未解決の犯罪の話とか雑多なものが好きなんですが、そういう全く意味がないことが旅行中にはすごく役に立つわけです。わけのわからない話から、突然そういう話に着地したりするんです。『君は知らないだろうけど、50年代フィンランドにいたあのバンドが…。』『あれか!』となると、スポットライトが当たったような、今まで俺の人生の中でお前は一体どこにいたんだ?みたいな、抱き合いながらの乾杯となるわけです。ただ、そこですごく大事なのは自分の国のことをちゃんと知っているか、ということです。例えばインディーロックの話になれば、それに近い日本のシーンはどうかと必ず聞かれます。それが例えば釣りでもオカルトでもスケートボードでもなんでもそうです。海外のことだけやたら知っていて、自分の国のシーンについては全く知らないというと、とても不思議な顔をされると思います。というのも、彼らはまず自分の国のシーンを知ってから外のことを知るので、僕もそうですけど日本の方で多いのが、音楽の話になると『あぁ、日本の音楽シーンはコマーシャルでダメだ。』と一刀両断で終わらせようとする。そうすると、それはなぜだ、と質問攻めにあいます。それはなにも趣味に限ったことではなくて、政治でも歴史でもなんでもそうです。日本人は割と自分のことを話すのが苦手な人がとても多いというが、僕が今まで感じてきたことです。例えばアメリカのハーレーが好きで、そのことなら延々と話せるのに、国産バイクのことはなに一つ知らなかったり。それは旅行にも言えて、世界一周にでかけて、世界がいいよって散々話していた友達がいたんですが、国内は2・3県しか行ったことがない。そうすると、いく先々で僕らがその国に興味があるように、出会う人たちもこちらの国にすごく興味があるんですが、嘘を言ったり、ちゃんと答えることができないというのは、深い話ができない理由の一つになってしまいます。それからもう一つ大事なのは、もちろんどんな相手と話すか。旅行中は自分の気も上がってますからいろんな人と話すんですが、僕も全員と仲良くなろうとはもちろん思いません。自分が好きになった人と仲良くなれれば嬉しいし、いい付き合いができると思うのですが、そうやって仲良くなる人というのは日本でもアメリカでもヨーロッパでもアジアでも、必ず共通のものがあります。それはルーツがちゃんとある人。例えばニューヨーク。あの街に住んでる人というのは9割以上が州外、いわゆるニューヨークの外から来た人で、ニューヨーカーと呼ばれるには最低7年は住まないといけないらしいです。つまり僕もニューヨークの中での田舎者で、決してニューヨーカーにもなれません。ただおもしろいのは、様々な国や街、そして人種。いろんなルーツを持っている人がいますが、自分のルーツに誇りを持っている人とそうでない人がいます。僕が仲良くなる人は自分のルーツがある人たちです。例えば自分の故郷が嫌いな人でも、いいところもあるとかそこをどこか懐かしく話したり、嫌いでも僕の故郷に変わりはない、というのをはっきり出す人。あとは、ニューヨーカーのふりをして、『ニューヨークではああだよね、こうだよね。』と、自分のルーツを話さない人。そういう人というのは大抵、嘘をついたり人を騙す人だということがよくわかりました。それはきっと海外だけでなく、日本でもそうだと思うのですが、この人を信用できるかどうか、どうやったらわかるのか。それはその人が自分の過去やルーツに誇りを持って、それをちゃんとシェアしてくれる人だと、僕は思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。