Find new people, new words through TRAVELLING
Theme is... Lost Landscape of TOKYO
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
後半のテーマは「東京の失われた風景」。
多くの外国人旅行者が魅力を感じている新旧が混在している
東京のカオス感とは?
都市開発が急速に進み、古き懐かしき東京の風景が失われ続けていくことに、訓市は何を思うのか・・・。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
12月は今年一年間の感謝をこめて・・・
皆さんからのメッセージをバンバンご紹介します!
☆☆☆
特に募集するリクエスト曲のテーマは、
「冬のヘヴィメタル・バラード」
「冬のドライブ・ソング」
そして、「あの曲をもう一度」
日頃、一度オンエアした曲は2度と選ばない!という鉄のルールを
この時期だけ緩めて(笑)お届けします。
☆☆☆
リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Jesus Was A Cross Maker / Judee Sill
Shoot The Moon / Norah Jones
Days / Television
Prelude To 110 Or 220/Woman Of The World / Jim O'Rourke
サニーサイドメロディー / Ego-Wrappin'
This Used To Be My Playground / Madonna
Motion Picture Soundtrack / Radiohead
Autumn Leaves (Irresistible Force Remix) / Coldcut
The Way We Are / Barbra Streisand
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
僕は東京生まれの東京育ちです。東京生まれの人にとって故郷というのは、帰ったら必ずある場所というよりも、永遠に失い続ける場所なんじゃないでしょうか。なぜかというと、世界中どこも変わっては行きますが、東京ほど移り変わりが早い街というのはないと思います。もちろんロンドンもパリもニューヨークも変わりましたけど、建物を壊すわけではなくそのまま残しているところが多いです。まぁ、好きだったピザ屋がおしゃれなブティックになっちゃったりましたが。ただ、東京は違います。区画整理、再開発、オリンピックだといって、どんどん壊します。いま、クールジャパンと言われて観光客をたくさん呼び込んでいますし、外国の観光客は東京の魅力を『古いものと新しいものが混在したカオス感だ』と言います。でも、僕たちはその一番の観光資源である古いものを片っ端から壊してるんじゃないでしょうか。もちろん地震の多い国ですから耐震もしなければいけませんし、しょうがないところもあると思いますが、対策が取れるものもあるのに経済性ばかりを追求して、高いビルを建てた後には何が残るのかなと本当に思います。
僕は小さい頃、吉祥寺に住んでいました。今ではよく“おしゃれな住みたい街ベスト3”だかに入っていますが、昔は駅からちょっと歩けば空き地が野原になっていて、春にはレンゲをとって、秋にはトンボをとる。ユーミンの世界を地で行くような場所でしたし、駅の裏も本当にごちゃごちゃして、今もありますがハーモニカ横丁という、そんな可愛い名前がつくような感じじゃない町が広がっていました。それから、中学高校くらいの時は渋谷とか代官山や西麻布の辺をぶらぶらしていましたが、都心とはいえ一本入ると隠れ家的な空気。例えば、代官山にも同潤会というのがありまして、僕はそちらの方が好きでした。ちょっと丘になった同潤会は森のようになっていまして、木がたくさん生えていて方向音痴の僕はよく迷ったものです。その中に定食屋や銭湯、インポートのステキなお店があったかと思うと、隣にはもうそこに住んで何十年という老夫婦が住んでいたり。同潤会はパリのアパートをモデルにしたと言われていると思うんですが、初めてパリに行った時、“本当に似てるな”と思いました。それは建物が似ているというよりは、お店と住む人たちが一緒くたになった感じや街としての雰囲気。代官山の同潤会は自治会が解散させられ、老朽化したという理由で高層マンションになってしまいました。TSUTAYAができるまで、10年以上代官山というのは結構、商圏的にはダメだったんじゃないでしょうか。
★★★★★★★★
東京は、都心でも裏に入れば商店街があったりして、僕はそういう一本はいった路地とか横丁の風景が好きでした。そこにはその町のカラーがありましたし、名物オヤジとか面白い店主の人が必ずいました。いま、いろんなキーになるような駅のまわりは再開発されていますが、あれは東京に住んでる人たちのものではなくて、観光客のためのものだと思うんです。観光客が散歩がてら歩き回ってなんの交流もすることなく帰っていく。そしてまたどこかであたらしい再開発の街ができると、とっとと浮気をしてそっちに移っていきます。そういう街が古くなったりしても味が出るわけではなくて廃れるだけ。なので僕にとって懐かしく思う、かつてあった風景というのはやっぱり人なのかなと思います。ちょっと似たような雰囲気の横丁とか路地でも、そこにしかいないような人たちが暮らしていて、ちゃんとカラーが出てる場所。僕はいろんなところを旅をしましたが、ポルトガルでもニューヨークでも横丁に入った時や街の何気ない風景を見た時に“あぁ、これ知ってるぞ”と。見たことのある風景だなぁと懐かしくと思うことがたくさんあるんですが、それは自分が小さいとき東京で見ていた近所の八百屋での思い出だったり、通学の時に見た自転車の群れを思い出しているからでした。そんな風景というのが昔は原宿でも西麻布でも渋谷でも吉祥寺でも見れましたし、それこそが僕が懐かしいと思う失われた東京の風景です。新しいビルが建つたびになにかが失われていく。最近よく通りますけど、渋谷の駅も工事がおこなわれています。きっと便利になるんでしょうが、見るたびにかつて友達と何度も待ち合わせた改札口のことを思い出したりします。失われた風景というのは思い出の中にだけに存在するとても不確かな風景です。東京は特殊ですが、どの街でも同じようなことが起きてると思います。最近“レガシーを残す”なんていう言葉をよく聞きますけど、建物だけでレガシーが残ると思ったら大間違いなんじゃないでしょうか。それよりそこを人がどれだけ愛してどう使うかで、レガシーというのは残るのかなと思います。
明日から自分の周りの風景をよく見てみてください。いつかは必ずなくなるものです。そして、それを懐かしく思い出すのもTRAVELLING WITHOUT MOVINGM、動かない旅なのかもしれません。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。