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Why do you travel? Why you're not?
Theme is... The End of The Summer
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
▼▼▼▼▼プレゼントのお知らせ▼▼▼▼▼
この番組オリジナルのコンピレーションCD、
『Travelling Without Moving』のVol.1からVol.3まで
3枚をセットにして、抽選で<10名様>にプレゼントします。
これまで番組で実際にオンエアした曲を中心にセレクトした内容で、
パッケージに使用している写真は訓市が撮影したものです!
応募はこちらから https://goo.gl/8ZWidC
締め切りは8月31日到着分まで。
当選者の発表はCDの発送をもって代えさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしてま〜〜〜す!
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番組前半は番組リスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅にまつわるエピソードとリクエスト曲をオンエア!
後半のテーマは「夏の終わり」。
近年、頻繁に足を運んでいるロスで過ごしたこの夏の日々...
世界各地を旅してきた訓市がある場所で「夏の終わり」を感じた、
ある生き物とは?
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「夏の旅」「夏のドライブ」の思い出を曲とともに・・・ゼヒ!
リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
番組オリジナルの図書カード1,000円分をプレゼントします!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」
「旅で聴いた思い出の曲」「動かない旅ができる曲」などなど、
リクエストもお願いします!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Running On Empty / Jackson Browne
Fools Like Me / Lisa Loeb
Homesick / Kings Of Convenience
Grow Old With Me / Mary Chapin Carpenter
愛しい風 / 矢沢永吉
Run, Baby, Run / Sherly Crow
Butterfly / Lenny Kravitz
Across The Universe / The Beatles
Barcelona / Rufus Wainwright
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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昔に比べて残暑が長いといいますか、9月が本当の夏なのかなというくらい暑いです。でも、気温はそうだとしても、その空気にただよう夏の終わりの気配というのは拭えないと思います。
『秋の訪れに毎日怯えながら過ごす…こんばんは。野村訓市です。』なんていう感じです。夏の終わりは今の時期にすごく感じるんですが、正式に僕の夏はいつ始まったのかは、記憶が定かではなないんですよね。ただ、振り返れば“あぁ、今年もたくさんビールとつまみを食べたなぁ”とか“いったい、何本のウィスキーを飲んだのかなぁ”と考えると、呆然としてしまいます。夏の終わりの気配というのは雲が入道雲から横に薄くのびて、空高くただよう時。そして、トンボが飛んで、夏の記憶のような湿気が日差しに照らされていつの間にか乾いてくる頃に感じます。あとはセミ。セミが鳴き始める頃に“あぁ、鬱陶しい。暑い。けど大好きな夏が本当にやってきたんだなぁ”と実感しますし、その鳴き声が変化して、ツクツクボウシなんかが鳴き始めると“あぁ、もう夏が去ってしまうんだ”と実感するわけです。セミの声を聞くとイライラするとか、気持ち悪くて見るのも聞くのも嫌だっていう人もいますが、僕はすごく好きです。種類によって違うらしいですけが、だいたい2年とか5年くらいを幼虫のまま過ごして、夏の1ヶ月ほどの間を必死に鳴いて死んでしまうセミ。それを知っているとセミの声がなぜか過去からのタイムカプセルのような気がして、ついつい昔を考えてしまいます。例えば、今日どこかで鳴いているセミというのは、いまから4年前に生まれたセミかもしれないわけです。4年前の今、自分が何をしていたかを考えると、なんだか感慨深い気分になったりします。その感じ方も毎年違って、“全く変わらないなぁ4年前と”と思う時もあれば、その間に大きな変化があって、思わずぼんやりと考えてしまうこともあります。考え込んだり、少しメランコリックな気持ちにさせるセミといえば、ヒグラシ。夕方にヒグラシがカナカナカナ・・・とあちらこちらで鳴き出すとなんとも言えない気分になってきます。ちょうどこの間、友達とセミの話をして、『ヒグラシがいいなぁ』と言ったときに、急にあのカナカナカナ・・・と鳴くセミが本当にヒグラシなのかどうか自信が持てなくなりまして、慌ててYouTubeで調べてみようと思いました。“ヒグラシ 声”と入れてみたら、“仕事用”といって『ヒグラシの声3時間ループ』とか『8時間ループ』というファイルがありまして、『癒し系BGM』と書いてありました。これを聞きながら仕事ができるほど、自分は心が強くないなぁと思いました。
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先日も行っていたカリフォルニア。ここはいつも夏のイメージなんですけど、ロスにいたときに、“なんでこう日の光や青空は完全に夏という雰囲気なのに、ジリジリするような夏らしさを感じないのかなぁ”と思ったときに、“そういえばセミがいないんだ”ということに気がつきました。空気が乾燥しているからカラッとしていて暑苦しくないのかなと思ったんですが、理由はセミがいないということだったんです。これだけ言ってたのに気がつかなかったのもなんですが。
アメリカには17年周期と13年周期のセミがいるらしくて、一度に大量発生するらしいですが、どうもその声を聞いた記憶がないんですよね。ヨーロッパでもあまり聞いたことがありません。調べたらセミがいるのはイタリアやスペインの南部だけで、ドイツとかフランス、イギリスとかにはいないようです。
セミといえば、まだバックパッカーをしていた最後の頃なんですけど、ヨーロッパを夏の間中うろうろしていて、夏の終わり近くにスペインにいたことがありました。もう北のほう、ロンドンでもパリでもオランダでもドイツでも少し肌寒くなって、夏は完全に終わる頃だったんですが、僕は夏を終わらせたくなくてどんどん南に下りて行きました。夏が終わったら、その年の終わりにはいよいよ日本に帰って何かを始める時期が来たんじゃないか、ということを肌では感じていたんですが、それがなんなのか全く分からなくて、どこか夏を終わらすということがとても怖かったんだと思います。バルセロナで知り合った男の子の家に居候していたんですが、ある日、家主がどこからかオンボロのバンを借りてきまして、海に行こうと言われました。彼の小さな娘を連れて、大きな声でみんなで歌いながら海岸線にでて、そのオンボロのバンで海まで走りました。窓を全開にしてほぼ裸で楽しく走っているときに、窓から聞こえてくる音にふと耳を傾けると、セミが合唱する声が聞こえてきました。スペインにセミがいることにもすごく驚きましたが、その声が日本の夏を、そして夏の終わりを僕に思い起こさせました。どんなに楽しくても、どんなに南に逃げても、いつか夏は終わるぞ。そんな声が聞こえてきました。それを聞いてすぐに帰ったのか。もちろん“うるさい!”と思って帰らず、さらに南にトンズラしたんですが、結局、そのときのセミの声が耳に残って最後は日本に帰りました。もし、あのときセミの声を聞いていなかったら、僕は日本に帰らず、夏を終わらせないぞ、と叫びながら、今とは違う人生を送っていたのかなぁと、今もたまに思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。