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訓市がantenna*からセレクトした記事は・・・
ブルームーンが2回に、スーパーマーズも! 2018年注目の天体イベントまとめ
Theme is... MOON
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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番組前半はリスナーの皆さんから送られた手紙、ハガキ、メールを
まとめてご紹介!
旅のエピソードと、その旅に紐づいた曲をシェアします。
テーマは「月」。
明後日、5月29日は「満月」・・・
2018年の上半期に日本だけでなく海外でも
「満月」を眺める機会が多かった訓市・・・
ふと空を見上げて「満月」を見つけた時に感じたこととは?
世界各地を旅した訓市が感じる「一番キレイだった月」、
世界の何処にいても「同じ月」を眺めているというロマンについて語ります。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」にまつわる
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト、大募集!!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
There She Goes / The Boo Radleys
My Life / Billy Joel
Your Song / Elton John
April In Paris / Charlie Parker
Summer Situations / STUTS?SHIKK-O?鈴木真海海
The Moon Is Mine / Fairground Attraction
Blue Moon / Beck
Lazy Moon / Groove Armada
Clouds Across The Moon / RAH Band
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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不思議ですが、今年はとてもよく満月を見ているような気がします。1月は確か、何年かぶりのスーパーブルームーンスペシャルみたいなすごい長い名前の貴重な満月で、3月も確かブラッド何とかスペシャルみたいな貴重な満月だったかと思います。でも、そんな枕詞がつかなくても、満月の夜に晴れていたことが多いような気がして、夜空を見上げると、丸いお月様がぽっかりと浮かんでいて、それを見て僕も口をぽっかり開けているような、そんなシーンがたくさんありました。日本が満月の日の翌日にアメリカに行って、再び満月を見て、「2回見た!」なんて喜んだりしたものですが、今年は満月あたりに海外に行く機会も多くて、それを数回経験したような気がします。僕は寒いのがすごく嫌いで、どちらかといえば太陽が好きで、夏がとにかく大好きです。ただ、それはあくまで季節の話で、よくよく考えてみると、夜の方が僕ははるかに活動的で、つまり、お月さんとのお付き合いの方がずっと長いような気がします。要は、酒を飲んでいるってことなんですけど。月というのはどこにいても何を語るわけでもなく、ただ静かに夜の空に浮かんでいて、静かに浮かんでいるからこそ、とても美しくて、そして、同時に何かそわそわする気分にさせるような気もします。英語で“ルナティック”という言葉があります。“クレイジーな人”とか“正気ではない”という意味で、ピンク・フロイドの有名な曲でもこの言葉がたくさん出てきますが、ルナティックのルナとは、月の意味です。つまり、精神と月というのは密接な関係があって、昔から月のせいで人が正気を失ったりすると考えられていたらしいです。殺人事件が一番多いのも、満月の夜だと言いますし、あながちそれが間違っているわけではないのではと思います。それでもやっぱり、満月というのは眺めずにはいられないと思います。夜遅くまで仕事をして、疲れたなぁとか愚痴を言いたいときというのは、だいたい背中を丸めて足元を見がちですが、そういうときはぜひ頭を上げてみてください。ビルの間に満月を見たときなんか、なんとなくいいもの見たぞ!っていう、ラッキーな気がすると思います。僕の場合、時計を見て「やばい!もう夜が開けてしまったんじゃないか!」と、酔っ払って千鳥足で慌てて外に出たときに、まだ空が暗くて、月が光っていたりすると、『間に合った!』って。なにが間に合ったのかよくわからないんですが、まだ朝じゃないぞ!と、お月さんの下、安心して帰ったりします。
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いろんな所に行ったと言うと、「どこの景色がよかった?」とか、もちろん、月が好きな人もいて、「どこで見たお月様が一番綺麗だった?」なんて聞かれたりします。どこが一番綺麗だったかって考えるととても難しくて、都会で見かける月というのも、その人工物のシルエットと月というのがものすごくいいコントラストで綺麗だと思いますし、もちろん周りに人気のない自然の中で見る月というのも、完全に調和がとれているようで美しいです。それでも、やっぱり一番印象的だったのは、サハラ砂漠で見た月だったんじゃないでしょうか。もちろん、地中海の島のビーチの浦の藪で勝手にキャンプをしていたときに見た月も、ものすごく印象的です。本当にあたりに全く何もないビーチで、しかも、ランタンをつける油さえケチっていたくらいお金がなかったので、夜になると明かりがゼロなんです。そこには何度かキャンプに行ったことがありますが、月が出ていて満月が近いときは、明かりなんていらないです。周りの景色がポーっと照らされて、海の水面には月の道ができている。本当に綺麗で、「あれ、お迎えがきちゃったのかな?」みたいな。さっきウトウトしている間に、僕は死んじゃったんじゃないのかって思うくらい、とても素晴らしい景色でした。
どこの月が一番綺麗かを答えるのが難しい理由の一つは、どこにいても同じ月を見ているわけで、万能役者といいますか、ありとあらゆる環境に合ってしまうからなのかなとも思います。よくリスナーさんから、“日曜の夜は明日のことを思うと憂鬱”とか“遠距離恋愛で寂しい”というようなお便りをたくさんもらいますが、ここは一つ、月でも眺めて、世界に1個しかない月を、世界で誰かが同じ時間に眺めていると思って、見てみてください。そして、嫌な上司がいるとか、いま休職中ですという方。きっと理不尽な扱いを受けたりしてる人もいると思うんですが、誰も気づいてくれないと嘆くより、お月さんはちゃんと見ているぞ、と。そう思って、バルコニーに出てみたり、夜にちょっと散歩してみたりしてみてください。もちろん、1人で見るのは寂しいなぁと思う人もいると思います。そんなときは、例えば日本だけの話ですが、日本中どこにいても、いま見上げるてる月は同じ月です。電話で話をしながら、同じ月を見上げたりするのもいいんじゃないでしょうか。僕は今年こそいろんなところに旅行に行きたいと言いながら、もう半年近くたってしまいましたが、後半の半年で、今まで行ったことのない場所から月を眺めたいなと思っています。例えば、何もない真っ白な雪原から真っ白な満月を見たり、昔、ヒマラヤとかヨセミテみたいな山の上から満月を見たことがありますが、山の上から眺める満月っていうのも本当に素晴らしいです。気のせいかもしれないですが、いつもより少しだけ近い場所から月を見られてるんじゃないのかっていう、距離の近さを勝手に感じたり。そんな満月をゆっくりたばこでもふかしながら見られたら、今年は良い年だったと思える気がするんですけど。ねぇ?
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。