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番組オリジナルCD Vol.4プレゼント!
応募は8月20日到着分まで有効です。
Theme is... タバコ
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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番組発のオリジナル・コンピレーションCDの第4弾が完成!
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前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅にまつわるエピソード、そして、その旅にひも付いた曲をオンエア!
後半のテーマは「タバコ」。
愛煙家の訓市が「タバコ愛」について語る。
バックパッカー時代、インドで購入して1箱を吸いきれなかった
強烈なタバコの思い出とは?
電子タバコ派に物申す!
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
White Flag / Dido
A New Life / Pet Shop Boys
To Live And Die In L.A. / 2Pac
Like A Star / Corinne Bailey Rae
大人の夏景色 / 稲垣潤一
Native Birds / Pascal Babare
Where I'm From / Digable Planets
Nothing Even Matters / Lauryn Hill feat. D'Anjero
Smoke Gets In Your Eyes / J.D.Souther
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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タバコ。世の中、嫌煙ブームで、もちろんその流れも知っていますが、僕は愛煙家という人間で、いまだにタバコとコーヒーを主食に仕事をするような、古臭い編集人です。ここまで来てしまうとなかなか本数を減らそうと思っても減らなくて、原稿とか内装の仕事の書類を見て根詰めていると、気づくと目の前の灰皿がいっぱいになってしまっている。どのぐらい吸うかというと、何年間か禁煙してた人が1日僕と一緒にいると、だいたい吸い出します。無意識のうちに火をつけてうまそうに吸うらしく、気づくと吸っちゃってるみたいで、あんまり良くない影響だと思います。『仕事で海外に行くときに忘れず持って行く物は何ですか?』ということよく聞かれますが、本当に絶対忘れないのは、タバコのカートンです。アメリカやヨーロッパはどこもタバコがすごく高いんです。もう今は一箱1,000円とか、それ以上のところも出てきました。昔は一度日本を出ると最低でもひと月以上出てましたので、当時はどこに行くにも持ち歩いていた日本のタバコがとても貴重で、食後だけは日本のタバコを吸って、あとは現地のタバコを吸ったりしていました。今、アメリカやヨーロッパに行ってタバコを買うと、“喫煙はあなたを殺します”なんていう言葉と一緒に肺がんの人の写真が貼り付けられていて、見るたびに落ちるんですけど。昔の海外たばこというのはパッケージがとにかくかっこよくて、あれを見ると“俺、外国にいるんだ”と興奮したものでした。僕の周りはマルボロが人気だったんですけれど、日本で売ってないマルボロが出るたびに大騒ぎになりました。例えば、ミディアムっていうのが出て、赤いパッケージに縁取りで金が入っている。それをお土産でもらったりすると、ちょっとかっこつけて夜出かける時にわざわざそのミディアムも持っていったりとか、そんなことをしていました。それ以外にもマルボロはショート丈のものとかいろんなものがありまして、自分も海外に行って持って帰ってきては、ずらっと机の上に並べて、『パッケージがかっこいいからこれはこのままとっとくぞ』と思うんです。でも、だいたい手持ちのタバコを切らして吸ってしまうので、ほとんど残っていません。日本からどっかに行って手持ちのがなくなると、一番安い現地のタバコを吸っていたんですが、今までトライして一番安かったのがきっとインドの「ビディ」というタバコかもしれません。これはタバコの葉っぱがたぶん刻まれて、木の葉っぱで巻かれたすごく細い葉巻みたいなものです。これを例えば、人力車を引いてる針金のように細くてどこにそんな力があるんだっていオジサンたちが、休憩の間にうまそうに吸うんです。パッケージも紙にただぐるっと巻かれただけで渋くて、ちょっと真似しようかなと思って買って吸いましたけど、味がきつい。よくあんなタバコ吸えるなと、買っただけで全部吸いきれませんでした。
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インドにはずいぶん長くいたんですが、「ビディ」っていう葉巻のようなタバコは吸えなくて、お金がないときは「ウィリス」や「ゴールドフレーク」なんていう、どこにでも売っている現地のタバコを吸っていました。そんな時、他の愛煙家のバックパッカーに『お前は現地のタバコを吸わなきゃいけないほど、お金がないのか?』と聞かれました。ないと言えば完全にないんですけど、買おうと思えば「ロスマンズ」というイギリスのタバコもありまして、『ロスマンズくらいなら買えるかな』と言うと、『じゃあ、そうしなさいよ』と強く言われました。当時のインドのフィルター付きタバコにはいろんな噂があって、例えば“フィルターが石綿でできてるらしい”とか、“とにかく、発がん物質でできているんだから気をつけなきゃだめだ”と。タバコ自体が発がん性なんで、フィルターが発がん性だからと変えるのもおかしな話なんですけど、そこからもちろん変えました。よく若い時にやりがちだったのが、ちょっと旅慣れた人が羨ましくて、旅先では現地人らしく振舞って、なにかと現地のものを使うっていうのがかっこいいんじゃないのかなんて思ったこともあります。でも、それが良いっていうわけじゃなくて、ちゃんとお金使うものは使ったり、気をつけなきゃいけないものは気をつけなきゃいけないんだなっていうのを、その人に教わりました。例えば、ミネラルウォーターとかもちゃんとしたものを飲まないと、当時のミネラルウォーターはキャップがずれてたり、中の水が腐っててお腹を壊したりっていうのがいろいろありました。ただ、どこの国に行ってもタバコのお土産というのはみんなにすごく喜ばれたりするもので、よく買っていました。何しろその国の言葉とか、代表的な絵が書いてあるものが割と安く手に入って、しかもそれがポケットサイズ。僕は普通の紙巻タバコ、英語で言うとシガレットが好きで、もう何十年かわかりませんが「マルボロゴールド」、昔で言うマルボロライトを吸っています。禁煙もちろん理解できるし、煙が嫌いな人もたくさんいますので、気にして吸うようにしてるんですが、気に食わないのが最近の「電子タバコ」というやつです。吸い方もなんかみんな手で隠すように電子タバコを持って、下向きながらやたら回数吸うんですよ。あれがヤクルトをストローで飲んでる大人みたいな、フーっていう仕事の一息感が全くないっていうか。なんと言われようと、僕はタバコは煙が出ないと嫌な派です。なんてったって、働くおじさんが、休憩中に美味そうにタバコを吸ってほっとした顔を見るのがとても好きです。昔行ったキューバで葉巻工場があったんですけど、ちょうど昼過ぎの休憩時間かな。キューバシャツにスラックスにサンダルっていう、そのまま、「ブエナビスタソーシャルクラブ」に入れそうな渋いオジサンたち。そんなオジサンたちが葉巻をポケットから取り出して階段に座って、美味そうにふかすんです。これぞ大人の嗜みというか、休憩の仕方だと再認識した瞬間でした。葉巻自体が僕は大げさでどうも苦手なんですけど、仕事明けの一服ぐらいできるところがずっと残るといいなと思ってます。ちなみに、一番最初に吸ったタバコはヘビースモーカーだった親父からくすねた「マイルドセブン」でした。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。