ON AIR DATE
2018.08.26
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


★★★★★★★★★★

訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・

【もう一度フジロック】出演アーティストらのインタビュー動画が公開!



TUDOR logo

Theme is... 夏の思い出


『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅にまつわるエピソード、そして、その旅にひも付いた曲をオンエア!

後半のテーマは「夏の思い出」。
フジロック・ロスの訓市が久しぶりに見入ってしまった昔の写真...
その時に何を感じたのか?
ロンドンで暮らしていた頃を必ず思い出す
「夏の終わりの曲」もオンエアします。


★★★★★★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。

リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2018.08.26

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

You Can Get It If You Really Want / Jimmy Cliff

2

Chico (Avalanches' Warnham Hogg Remix) / The Concretes

3

To Know Him Is To Love Him (Acoustic Session) / Amy Winehouse

4

R U Still In 2 It / Mogwai

5

棕櫚の影 / 矢沢永吉

6

The Air That I Breathe / The Hollies

7

The Last Day Of Summer / The Cure

8

Honolulu / Michael Martin Murphey

9

Memory Of A Free Festival (Live at the Beeb) / David Bowie

2018.08.26

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



Kunichi was talking …


★★★★★★★★★★

夏の終わり。毎年8月末になると、“夏が終わった”と1人で嘆き悲しんでいます。今年は本当に暑くて猛暑でしたし、きっと残暑もこれから続くのかなと思うんですが、僕は割と古風で暦を大事にしている男なので、そうすると本当に8月いっぱいで夏は終わりということになります。そして、段々また空が高くなって、空気が乾いていって悲しい秋がやってきます。もう異常気象というのがデフォルトになってしまって、一体どこからどこまでが夏で、どこからが秋なのかっていうのがわかりませんが、今年の夏は去年と同じで、たくさんビールを飲みました。そして今年の方が多分、より多くのハイボールを飲んだ気がします。言い訳はありますよ。それは、暑いからです。暑いと昼ぐらいには“仕事が終わったら一杯ビールを飲みたいな”と思って軽い気持ちでいるんですが、夕方になるとそれは切実な願いとなり、水を飲むのもやめて“まずは一口ハイボールを飲みたい”と、そんな感じの夏になっていました。夜になっても全然下がらない気温の中、汗まみれになりながら千鳥足で歩き、ヘッドフォンのボリュームを上げて家に帰るということを何度したことでしょうか。この夏、僕は映画のプロモーションの仕事が4ヶ月ぐらいあって、結局、その間ほとんど会社の仕事を放置してしまいました。今年はこの20年ぐらいで初めて7月8月に海外へはどこにも行かず、東京でコツコツと仕事をしていて、それはそれで楽しかったんですが、ニューヨークやヨーロッパの友達も「夏だから来ないのか?」というメールをくれていました。それは、どこもかしこも異常気象だったようで、ヨーロッパでも日中40度ぐらいあったりして皆んなだれて、ひたすら酒に逃げているという連絡でした。暑いとどんな人もお酒に逃げてしまうのは世界共通だと思うんですが、今年は特にフジロック・ロス、僕らの間では“フジロス”と言ってるんですけど、それが例年よりさらに激しくて、淋しくて淋しくて飲んでしまうという現象が同時多発的に起きていました。楽しかったということで、たくさんの友達がフジの写真を送ってくれたんですが、それが呼び水となって過去のフジロックの写真も見てみようと思ってMacの写真のアプリを開いたんですが、びっくりしました。なぜかというと、20年分の写真があるんですけど、どの写真を見ても一緒にいる人もほぼ同じで、金太郎飴状態。みんな同じような服を着て同じような格好で踊って、同じように笑ってるんです。違いは、腹が出たか、顔がむくんでしわが増えたかくらい。人間、学ばないとこんなにも愚かに同じことを長い間してしまうのかと思いました。



★★★★★★★★★★

その古いフジロックの写真を見ているうちに、Macの中にあるずいぶん長い間開いていない古いフォルダ分けした写真を見だしてしまいました。そこには2000年ぐらいからのデジカメで撮った写真があったんですけど、夏の写真が圧倒的に多くて、夏の間ずっとやっていた海の家の写真や、その後にしたロンドンバスを買って日本を縦断したときの写真。それなんてほぼ全員、上半身裸で短パン、ビーサンにシルクハット。怪しいったらないんですけれども、ずいぶんいろんな所で人に声をかけられた理由が今になってわかった気がしました。その時は完全にサーカスと間違えられてましたから。
2000年以降の写真なので、ニューヨークの夏の写真もたくさん出てきました。911前、そしてその直後。ダウンタウンがまだ若いアーティストやミュージシャンであふれていて、とても賑やかな写真です。例えば、モリッシーの曲ばかりをかける「モリッシー・ナイト」の写真や歩道で大騒ぎしているスケーターの写真。どの知り合いも今見ると“こんなに若かったっけ?”っていう顔で写っていて、どれもこれもみんなTシャツが汗で体に張り付き、目だけギラギラしていて、とても汚いスニーカーを履いているというのが共通項。そして、いろんな所に行ってキャンプをして、海で泳いだり川に飛び込んだり、山の上で夜明けを見たりと、そんな自然の中での夏をたくさん過ごしました。そして、路上や街灯の下、熱気で天井から水滴が落ちてくるような、そんな都会にも夏の景色がたくさんあるんだなと思いました。都会の夏という季節は、本当に若い人たちのものなのかなと思います。そう言うと、若い一定の期間のことを「青春」、「青い春」と言いますが、実は「青い夏」の方がしっくりくるんじゃないのかなとも思いました。その短い暑い季節を蝉のようにギャーギャー騒ぎながら毎日を生きる。僕は40歳を過ぎましたけど、いまだにそんな夏を細々と続けていて、夏はずっとそうやって過ごせていけたらなと本当に思います。そして、金太郎飴みたいな代わり映えのない写真を一生、撮り続けていきたいなと思います。