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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
ロビン・ウィリアムズが熱望した男の物語… ガス・ヴァン・サントが映画化
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Theme is... Gus Van Sant
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 映画『ドラッグストア・カウボーイ』に魅せられて ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードと、その旅にまつわる思い出の曲をオンエア!
後半のテーマは「ガス・ヴァン・サント」。
訓市がガスに魅力されるきっかけとなった作品、
そして、誰もが不思議に思う知り合った「きっかけ」について語る。
歳が離れた仲良しの友達・・・
先日もロサンゼルスで一緒に時間を過ごした二人は
一体どのような会話をしているのでしょう?
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Change / T-Pain feat. Akon, Diddy & Mary J.Blige
Leaving New York / R.E.M.
Last Picture Show / Heavyshift
There Must Be More To Life Than This / Freddie Mercury
真夜中のドア 〜Stay With Me〜 / 松原みき
Desecration Smile / Red Hot Chili Peppers
The Last Song / Elton John
I Know It's Over / The Smiths
For All We Know / Roberta Flack & Donny Hathaway
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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先日、ロサンゼルスにガス・ヴァン・サントに会いに行ったのですが、「その話をぜひ」というのがあったので、今日はガスについてお話しします。ガス・ヴァン・サントは映画監督なんですが、僕が彼を知ったのはちょうど高校生の頃、テキサスに住んでいる時でした。『ドラッグストア・カウボーイ』という映画が公開されて、ビデオがリリースされたのを知って、隣町にある、日本で言えばTSUTAYAみたいな大手のチェーン店「ブロックバスター」で借りて観たのが最初でした。観たきっかけは『ランブル・フィッシュ』や『アウトサイダー』に出ていた青春映画のスター、マット・ディロンが出ていたから。あと、その頃僕はビート文学にやられていまして、バロウズがカメオ出演しているというのを聞いて、これはぜひ観るしかないなと思っていました。当時、たくさんあったインディー映画の中でもサブカル色が強い作風に一発でやられてしまいまして、とにかくキャスティングが素晴らしい。ちょい役にレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが出ていたり、服装も渋い。すっかりはまってしまって、次に出た『カウガール・ブルース』、そして、リバー・フェニックスとキアヌ・リーヴスが出ていた『マイ・プライベート・アイダホ』と、ガスはすっかり僕のお気に入り監督になってしまいました。彼の作品はとてもインディー色が強いんですけど、そうかと思うと『グッド・ウィル・ハンティング』を撮ってアカデミー賞を受賞したり。そして、またお金ができるとすぐ自分の趣味のような映画を撮るというとても自由な人です。僕がガスと知り合ったのはハーモニー・コリンという映画監督がいまして、彼に紹介してもらったのがきっかけでした。ハーモニーの家で彼の短編映画のまだ編集前の作品を観ていた時に、「同時にあと2作リリースしようと思ってるんだ。ガスにも撮ってもらった」と言って未公開の短編も観せてもらったんです。「へー、ハーモニーはガスも知り合いなんだ」と言うと、帰った後にハーモニーがメールをくれました。CCにはガスも入っていて、「東京の仲良しなんだけど、今度会いないよ」みたいなラフなメールで、それにすぐ「いいよ!」ってガスが返事をしてくれたんです。ガスの初期の作品はだいたい舞台がポートランドなんですが、実際にガスはそこに住んでいまして、紹介された当時、僕は仕事でよくポートランドに行くことがあったので、連絡を取っているうちに必ずカフェに一緒に行ったり、会って話をするようになりました。ちょうどそのポートランドに行きだした頃は、ポートランドがおっしゃれだ!と流行るちょっと前。ポートランドといえばデザインホテルで有名な『エース・ホテル』というのがありますが、あのホテルはエースになる前、『クライド・ホテル』というものすごい安い宿、いろんな人が住むところで、映画『ドラッグストア・カウボーイ』の舞台となったホテルです。
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ありきたりに会うようになってしまったので、有り難みがなくなってるのかもしれません。インディー映画好きの人からはよく、『お前はガスと仲が良いのか。会っていつも何をしてるんだ?』って聞かれますが、何をしているかというと、昔のカウンターカルチャーについてよく話しています。彼は本当に詳しい人で、出身はケンタッキーのルイビルという、ハンター・トンプソンやボクサーのモハメド・アリ、あとジョニー・デップなんかも生まれた南部の出身で、それから、シスコやロス、あとはニューヨークに住んでいたこともありますし、各地を転々とした人です。そして面白いのが、もともとはグレイトフル・デッドのファンである「デッド・ヘッズ」とつるんでいて、そんな格好をしていたりとか、カウンターカルチャーの元祖といわれる『カッコーの巣の上で』を書いたケン・キージーとその一派ともすごく仲良くしていて、「最近、ガルシアの前の奥さんのマウンテン・ガールと会ったよ」とか、そういう話をポンポンしてくれるので、だいたい、「あの人って最近どうしてるの?」って聞くとすぐ答えが返ってきます。そんな話をしているうちに、ガスにとって僕はアメリカにやけに詳しい日本の若者の兄ちゃん、実際は若くないんですけど、そういう存在のようです。しばらく連絡を取ってないなと思うと、ある日突然、「京都のゲイリー・スナイダーが修行した禅寺ってどこだっけ?」とか、パソコンで調べればすぐわかるようなことをいきなり聞いてきたりして、詳しく返事をするとすぐ盛り上がって次の話になったり、突然、チャット状態になることもよくあります。
僕はもちろん、ガスの映画が好きですが、それ以上に“ガスっていいな”と思うのが、アメリカの深さというか、リベラルさというものをすごく持っている人です。ゲイの活動家ハーヴェイ・ミルクの映画を撮ったとおり、ガスは初期に自分がゲイだということをカミングアウトした1人ですが、出で立ちも振る舞いも本当に普通で、目立つような格好もしない。でも、あらゆることに本当にリベラルで人を簡単にジャッジしないし、人の悪口を言うのも聞いたことがないです。「きっと、その人にはこういう事情があるんじゃないか」とか、「こういう見方もできるんじゃないか」みたいな、本当にバランス感覚の良い人です。きっとそういうところがメジャーなものを作ったり、インディーなものをフラっと作ったりということをさらりとできるところに繋がっているんじゃないのかなと思います。そして、そんなリベラルさというのはガス自身がいろんな所を移動しながら、あらゆる種類の人や年代の人と付き合ってきたからこそ培われたものなのかなと思います。とある街の話をすると「あの頃はこうだったよ」とか、「あの人がいたよ」という話しがポロって出てきて、「え?ガスはそんな時にそんな所にいたの?」とか、ウォーホールの写真を撮ってたとか、表に出ていないことがいくつも出てきます。いきなり連絡して「ちょっと、雑誌の取材をしたいんだけどいい?」と聞くと、「もちろん好きにしていいよ。すぐおいで」と返してくれるこの歳上の友達がいることを、僕はとても感謝しています。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。