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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
自分の本当の状態に気付く呼吸レッスン vol.2
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Theme is... 屋久島
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 思いの外、癒やされてしまった屋久島体験談 ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードと、その旅にまつわる思い出の曲をオンエア!
後半のテーマは「屋久島」。
久しぶりに訪れた屋久島の空港に降り立って感じたこと、
樹齢1,000年を超える屋久杉を眺めて思ったことについて語。
同行したフランス人脳科学者から教わった「瞑想」を実践した訓市...
その効果は?
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Wonderwall / Ryan Adams
Lay It Down Slow / Spiritualized
Brighter Day / Yung Bae
Lillte Love / Gabriel Kahane
坂道 / 折坂悠太
Sunflower / Rex Orange County
Abusey Junction / Kokoroko
Overnight / Chilly Gonzales
O /Coldplay
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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先日、久しぶりに鹿児島の「屋久島」に行ってきました。遊びではなく、仕事というかご招待というもので、自分で最後にプライベートで行った屋久島から10年以上が経っていました。今回はその時の印象とは大分違うものになりましたが、とても楽しい滞在でした。僕が初めて屋久島に行ったのは、まだ世界遺産に登録される前だったと思います。もしかしたらすごく変わってしまったかもしれないと思っていたんですが、屋久島の空港に到着すると、以前と変わらない、“ひなびた”と言ったら失礼ですが、小さな空港のままでした。平成最後の冬ですけど、平成というか、バリバリ昭和の香りのする空港。何も変わってない空港というのは逆に旅情を増すというか、僕の大好物の一つです。反対に嫌なのは国の威信をかけたとかいう有名建築家の手による、訳の分からないモダン建築。ああいうのは本当に疲れるなと思ってしまって、こういう小さな空港の方がはるかに“遠くに来たなぁ”という気持ちを倍増させてくれます。今回の旅はエルメスとApple Watchのコラボの成功を記念して開催されたもので、世界中の編集者とか、本社のデザイナーとか30人程と一緒に招待されて行ったんですが、最初、羽田で彼らと集合して会った時はみんな疲労困憊という感じで、『屋久島って本当に素敵なところなのかな?』という表情が見てとれました。なにしろ、皆さん10時間以上かけて羽田や成田に着いて、すぐ午後便の鹿児島行きに乗り込んだわけです。しかも、屋久島のことを詳しく知る人なんていうのは海外の人であまりいなくて、古い杉=屋久杉があるっていうのは知っていても、『屋久杉以外に何があるんだろう?』そんな話ばかりしていました。僕が以前、行ったことがあると知るとみんな一様に、『どんな場所だ? 東京や京都ではなく、わざわざそんな島に行くっていうんだから、いろんなものがあるんだろう?』と矢継ぎ早に質問をしてきました。でも、僕は『素敵な場所としか言えないよ、まぁ行けば分かるさ』と返すしかありません。それは南の島といっても、今も泳げるトロピカルな島なわけではないし、古いお寺や神社があるわけでも、直島みたいな美術館があるわけでも、星付きのレストランがあるわけでもないので、何が気持ちいい場所なのかっていうのを、言葉でうまく説明するのがすごく難しいことに気づきました。『世界最古の杉、屋久杉があるんだよ』と言っても、『ふーん、古いんだね』で終わってしまうんです。
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ブランドさんたちが仕込んだいろんなアーティストのパフォーマンスを見ながら島を回ったんですが、回るうちに皆さん説明抜きにその素晴らしさに気づいたようでした。2,000メートルの山並みから17キロほどで一気に海に注ぎ込む川の水は日本一綺麗と言われるほど澄んでいて、どこでもすくって飲めますし、森から降りてくる空気も澄んでもいて、森のいろんな匂いを含んでいてとても豊かです。なにより、忙しい中で無理やり作った2泊・・・行ったことあるし、とりあえず行くかみたいな軽い気持ちで行った僕自身が、日々の飲酒で疲れていたのか、はたまたただの老化で気付かないうちにえらく疲れていたのか分かりませんが、思った以上に癒されてしまいました。もちろん皆さん、屋久杉を見て無言で感動してました。1,000年以上生きた杉のみが「屋久杉」と言われるんですが、これは行って見て触れてみるしか分からないと思うんです。屋久島に行ったことのない方は、行きにくいですけど、日本人としてぜひ行ってみてください。
そんな中、僕にとって一番印象深かったのは「瞑想」=「メディテーション」を科学的に検証するフランスの脳科学者が来ていて、僕らに瞑想の仕方を教え、5分ほど実際に瞑想したあと、それがどんなふうに頭に作用するかを科学的に説明をしてくれたんですが、それがすごく素敵な説明だったんです。まず力を抜いて背筋を伸ばして座り、ストンと重心を真ん中に落とすことに集中しながら、何も考えないようにする。5分後に脳科学者が皆に聞きました。『何も考えないように、と言いましたが、逆に何かを考え出してしまったり、思考が止まらなくなった人はいますか?』と。実際、ほぼ全員が手を挙げていたんですが、彼が言うには、それこそが自分の思考の癖だったり、日ごろ執着してるものが出てくるんだと。これを1回でも無に出来ることができるようになると、例えば、前日のことを引きずらなくなったり、客観的に物事を新たに見ることができるようになることに繋がるのだと言いました。『5分でも10分でもいいから毎日どこかでやると効果的ですよ』と。これはとても理にかなってるなと感じました。僕らは知らず知らずにいろんな記憶や知識やクセや執着に縛られていて、そこから逃れる術っていうのは中々無いのかなと思うからです。僕自身は瞑想とか、じっとしているのが大の苦手で嫌いだったんですけども、晴れた日の浜辺で、しかも河口近くで体験した5分間の瞑想っていうのは、瞼に日差しを感じて風の匂いや鳥の声を聞きながら、一瞬かもしれませんが本当に頭が真空となっていました。そして、それはとてもとても気持ちのよいものでした。新しい年がもうすぐやって来ます。皆さんも毎日1分でも5分でも頭を無にして、普段の思考から遮断された自分を持つっていうのはいかがでしょうか。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。