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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
南米ティエラ・デル・フエゴ、虚しくも美しい「世界の果ての景色」
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Theme is... 空想の旅
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 新年を迎えて、「抱負」ではなく「空想」---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードと、その旅にまつわる思い出の曲をオンエア!
後半のテーマは「空想の旅」。
昨年の前半は映画のPRで世界を回り、
それ以降は仕事での弾丸旅行に明け暮れた訓市が
2019年に訪れたい所とは?
なぜかタイミングが合わずに行ったことが無かった国、
リスペクトしている先祖ゆかりの地。
そして、新しい元号に変わる前に目に焼き付けておくべき
東京の風景についても語ります。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Give Me Something / Joey Pecotaro
Impeach The President / The Honey Drippers
Range Life / Pavement
Sweet / Cigarettes After Sex
忘れないように / くるり
Take Me Home / Phil Collins
If You Leave Me Now / Chicago
You're The Best Thing / The Style Council
The Mercury Girl / Cleaners From Venus
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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新年となりましたが、今年の抱負はなんでしょう?なんていうことを話してもしょうがないので、今年こそは行きたいなと思う空想、または妄想の旅の話でもしようかと思います。昨年も同じようなことを言ってた気がしますが、毎年、「今年こそは行ったことのない場所に行きたい」と思っています。でも、昨年の前半は、映画『犬ヶ島』のプロモーションツアーでほぼ丸つぶれとなりまして、後半は、弾丸旅行を知った場所ばかりに行くというのを繰り返してしまいました。2019年こそはぜひとも新しい場所へ向かったり、ちょっとは体を休められるような所に行きたいなと心の底から思っています。まずは行ったことのない場所ですが、今年こそは“地の果て”と呼ばれる所へ行きたいです。地の果てというのは心を荒涼とした風景で満たしながらも、乾いた心をさらに乾かしながら、なにも無い。例えば、アルゼンチンの先端のフエゴ島とかがそうだと思うんですが、地の果てってつくだけで惹かれてしまうところが僕にはあります。格好つけてるつもりはないですが、行ってなにもすることがないのも事実で、だいたい“地の果て”という所には本当になにもありません。それから、行ってみたいなと思っているのがレバノンのベイルートです。昔は“中東のパリ”と呼ばれ、ヒッピーが集まったとてもリベラルな街だったらしいです。80年代の戦争で破壊されて、再建された街。なぜベイルートに行きたいかというと、去年はなぜかやたらとレバノン出身の人たちに出会う機会が多くて、話しているうちに自分の中のレバノン熱が高まってきました。「レバノンの料理はね」とか、「レバノンはいいところだよ」とか、「うちの親戚がレバノンにいて」とか、それだけレバノン、レバノンと言われたら行きたくなるものです。それから音楽を聴きに行く旅でいうと、ロマ。昔で言うジプシーさんのことですが、彼らが奏でるジプシージャズなんていうのはぜひ聴きに行きたいなと思っています。ロマの音楽は哀愁漂いながらもメロディーがちょっと違うというか、どこか不思議な鳴り方をするんです。ロマの方は東ヨーロッパに住んでる方が多いですが、ぜひ本場に聴きに行きたいと思います。それから、そろそろ海外のフェスにもまた戻りたい。もうこれ以上年を重ねてしまうと、徹夜で酒を飲んで、雨でぐちゃぐちゃな地面に立って過ごすなんていうのが無理になりそうです。フェスも今では「クロアチアのフェスがいい」とか聞いて、「クロアチア??」みたいな。でも、やっぱり僕は『グラストンベリー』に戻りたいです。あそこにいるちょっと小汚いイギリス人たちとビールでも飲みながら、肩を組んで合唱したい。あれに勝るストレス発散の方法はないと思うんです。でも、そう言うと、「お前ストレスないだろう?」って突っ込まれてしまいます。あとは今年こそジャマイカは行きたいです。ジャマイカは行こう行こうと思ってるうちに、なんとなく機会を逃してしまった国の一つ。「なんでジャマイカ??野村君はそんなレゲエ好きな感じでも格好でもないじゃないか」と思われるかもしれません。もちろん音楽は聴きたいですが、それ以上に、僕は機械が大好きなのでジャマイカにあるサウンドシステムをぜひ見たいです。レゲエの人たちは結構、手作りで巨大なスピーカーを作るんですけど、だいたい、見栄の張り合いなのか、ばかばかしく大きくてとにかくうるさいんです。ただ、僕が好きなものってだいたいそういうもので、要は形が単純で、それが何のために作られたのかが一目瞭然というものに惹かれてしまいます。ジャマイカのサウンドシステムっていうのはたぶん、3歳の子どもが見てもすぐ、「音が出る大きな箱だ」って理解すると思います。
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今年どうしても行ってみたいなと思っているのが、幕末の時代に僕の曾々おじいさんが住んでいたというスコットランドのアバディーンにある、彼の住んでいた古い家です。袴にちょんまげで、グラバー商会。よく坂本龍馬の話を読むと出てくるスコットランドの商人の会社ですけども、その船に密航してヨーロッパに渡ったという曾々じいさん。当然、会ったことはないんですが、僕が旅を始めてフラフラして行方不明のときに、僕の両親はその先祖の遺伝のせいだとして自分を納得させていたらしいです。ということは、僕はこのご先祖様に借りがある。行ってビールのお供え物でもしなければいけないなぁとずっと思っています。そして、長い電車の旅も今年はしたいです。特に去年の半分は2泊の旅とか、移動は最短距離で最短時間というのが鉄則だったので、今年は時速100キロに満たないような電車で長い距離を移動したいです。ただ、歳を重ねるごとにせっかちになるのが江戸っ子。しばらくこういう旅をしてないので、実際、時速100キロに満たない電車に毎日8時間とか乗っていられないかもしれませんが、ぜひやりたいです。そのためにメーテルは必要ありませんが、車掌さんのお供はぜひほしいところです。長距離といえば車の長距離旅もぜひやりたい。定期的にアメリカを走ったりしてアメリカン・ニューシネマに出てくるような景色を見ないと、心のガソリンが枯れてしまいそうです。サイモン&ガーファンクルの名曲『アメリカ』をかけながら、3時間ぐらい一言も口をきかなくても気まずい雰囲気にならない友達と一緒に走りたいなと。クルマ旅の相棒というのはすごく大事で、実際にこういうことをやったことがある人は分かると思いますが、訳の分かんないことをずうっと話しかけてくる人とか、言葉が詰まると微妙な空気が流れてしまう友達とは絶対に行かない方がいいです。もちろん運転が下手で気が気じゃなくなる人。あと、疲れやすくて、すぐ交代してくれという人もだめです。大事な旅がただの修行になってしまいます。とにかくシンプルに一緒に長距離を走って、移動することが目的だと思える人と出かけてください。あと、もう一つ嫌な相棒というのは、妙に下調べをしていて現地に着く前から、「あそこではあれが美味しいらしいよ。ここが良いらしいよ。見どころはここだよ」っていうのをマシンガントークで言ってくる人がいましたが、途中で降ろそうかと思ったことがあります。
あなたの理想の旅先というのはどこでしょうか? 今のうちに考え始めてプランを立てれば、どこかきっと一つぐらいは行ける機会が持てるんじゃないでしょうか。どう考えても遠出する時間もなければ予算もない。そんな人は身近なところで東京を今のうちに回ってみるっていうのもいいかもしれません。急いで新しいビルが建ちまくって、その姿を変えている東京。悲しいですが、最近昔から通っていた定食屋さんとか小さいお店が急に廃業のお知らせを貼っています。耐震のためビルが建て壊しになって、「移転せずにそのまま廃業します」というのを何軒も見ました。無くなっていくのはなにも築地のような大きなランドマークばかりじゃありません。オリンピックはいよいよ来年です。大号令のもと消えていく僕らの勝手知ったる街を、今年こそはくまなく見て記憶にとどめるのもいいんじゃないんでしょうか。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。