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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
『ファイン・ライン』ハリー・スタイルズ(Album Review)
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Theme is... HARRY STYLES
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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番組前半はリスナーの皆さんから手紙、はがき、メールで寄せられた
旅のエピソードと、その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
さらに、お悩み相談や選曲のオーダーにもお答えします。
訓市の“質問返し”にもご期待を!
後半のテーマは「ハリー・スタイルズ」。
2019年を振り返った時、年始に東京で一緒に時間を過ごして遊んだのが
元ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズ…
訓市が親子ほど歳の離れたハリーと出会って親しくなった経緯、
そして彼の魅力について語る。
長期にわたって滞在した東京で書いた断片も含まれているであろう
ニューアルバム『Fine Line』に収められている新曲もお送りします。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてま〜す!!
なお、番組オリジナル図書カードのプレゼントは終了しました。
現在、次のプレゼントを製作中です。そちらもご期待下さい!
完成次第、番組内でお知らせします。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Santa Baby / Vulfpeck
The Ghetto / Donny Hathaway
Be Be Your Love / Rachel Yamagata
Out Of Control (The Avalanches Surrender To Love Mix) / The Chemical Brothers
悲しみを、そのまゝ / 小田和正
A Sunday Kind Of Love / Etta James
Hopelessly Hoping / Crosby Stills Nash
Landslide / Fleetwood Mac
Falling / Harry Styles
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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今年最後の放送ということで、もう本当に早かったなぁ〜とびっくりという感じなのですが… そもそも、この2019年の年明けから僕は何をしていたっけと思うと、ちょうど今月アルバムを発売したハリー・スタイルズといたなぁということを思い出しまして、今日はハリーについて話したいと思います。なんでそもそも僕が彼と知り合いなのかと言いますと共通の友達がいたからなのですが、歳が20歳も違いますし、彼がいたワン・ダイレクションというバンドも僕は知らなかったんですよね。なんとなく聞いたことあるなぁっていうぐらいで、曲も知らなかったですし、どのくらい人気がある人たちなのかも知らなくって、誘われて彼のソロのコンサートに行ったことがあるんですけども、まぁその時のファンの絶叫で曲が一切聞こえないぐらいだったので、随分人気のあるあんちゃんだなぁと思ったくらいでした。そこではもちろん挨拶もしましたし、その後にちょっとお酒を飲んだりもしたんですけど、どんな人かもよく分からないし、僕とは関係ないだろうと思っていたんですが、ひょんなことから突然連絡がきまして… 知らない番号で。「僕だよ、ハリーだけど」「どこのハリーだ?」っていうところから「あの時のハリーだよ!」っていう。それでなんとなく会って飲んだり話したりしているうちに仲良くなりまして、そうしたら「今度、年末に休みが取れたら東京に行くから、1週間ぐらいいられるし一緒に色んな所に行こうよ」と言われて、「まあ、じゃあいいよ」って言ったら本当に来たわけです。ハリーっていうのは本当に紳士というかジェントルマンで、例えばコンビニに入るときに後ろに人がいたらドアを開けてその人が中に入るまでちゃんとドアを押さえて待っているような人で、レジの人にも必ず「ありがとうございます」と日本語で言いますし、タクシーの運転手にも必ず「ありがとうございました」と言う。“ございます”っていうのが丁寧な言い方だっていうのもちゃんと知ってて言うんですね。だからほとんどの人はそれがハリー・スタイルズという人だと気づいていなくても、「この子は親切な人だねぇ、気持ちのいい人だねぇ」とみんなニコニコしていました。俗にいうイケメンで、人見知りっぽいのに人懐っこいという最強の性格でして、まぁ僕の周りの年配の人たちはみんなイチコロでしたね、年上殺しと言っていましたけれども。僕のところには海外から色んな友達が来ては一緒にご飯を食べたり、酒を飲んだりするんですけど、大体がちょっとひねくれた感じのアーティストだったり、インディーの映画を作るような人だったり、昔のバックパッカーの頃の友達が訪ねてきたりで、僕の家族も大体どういう感じの人間が僕の友達だっていうのを理解しているのですが、年末に現れたハリーに対しては、「どうしてあなたと接点のない関係のない人が友達で、毎晩一緒にご飯食べなきゃ行けないのだ」と謎だったみたいでした。
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僕が「ハリーと友達なんだ」と言うと、「なんで?」と言っていたうちの家族も家に遊びに来て挨拶された瞬間に「あらいい子!」と気に入ってしまって、「東京にいるだけじゃなくて、京都とか連れて行ってあげなさいよ」みたいな。完全に向こうの肩を持つようになってしまいましたし、慣れて随分一緒にキッチンでギターを弾いたり料理をしたり。会う人会う人みんな気に入ってしまいまして、それはハリーもそうだったと思うんですが、1週間のはずの滞在がどんどん延びていきまして、僕が「仕事で3泊でパリに行くから、その間に君は帰るだろうから今日でお別れだね」と言うと、「帰るまで延ばそうかな」。そのうちに「アルバムの作曲を東京でするから1週間延ばすよ」。そのうちに「これだけいたんだからプロモーション用の写真も撮らなきゃいけないから、撮影の手配をしてよ」。そのうちに「僕もうすぐ誕生日だからみんなに誕生日を祝ってもらってから帰ろうかな」と、気づいたら5週間いました。ちょっとしたホームステイの子を預かっているようなと言いますか、帰る時はものすごい喪失感があったんですけども。デビューしてからずっと忙しくって初めての休暇と言っていましたけどほぼ誰も知らない、文化も大きく違う街にいながら少しずつ慣れていく。そしてそこは自分の新しい故郷になったような、街に迎えられたような、そんな高揚感をハリーが感じているのを僕も気づきました。いつもAirPodsをつけて音楽を聴いてるんですけども、本を読んで、詩を書いて、ギターで作曲してはそれのデモをまた自分のAirPodsで聴いて。そうやって出来たのが今月発売されたアルバム『Fine Line』です。彼が東京で書いていた曲がその中に入っているのかどうか分かりませんけど、そのアルバムの中には必ず彼の日本での滞在の断片が入っているはずです。本当によく出来たアルバムで、是非聴いてもらいたいです。僕は本当に彼に感謝しているのは、彼は“Treat People with Kindess”=“人には親切に”というスローガンで色んなツアーのパーカーやTシャツを作っているんですけど、有名な人とかミュージシャンでよく聞こえのいいことをやるじゃないですか、Loveとか。だけど私生活を見たらどこがLoveなんだっていう人とかめちゃくちゃなことが多いんですけど、彼は本当にそのスローガンと全くずれてなくって、それを25歳でやっているというのは割と自分をすごく恥じましたし、いかんなあと、随分言ってることと行動が伴わないこともあるなぁと思うことも多々ありました。この番組のリスナーの皆さんっていうのは多分すごく音楽に詳しかったりコアな音楽を聴く人も多いと思うんですけど、そういう人たちにとって肩書きというかなんて言いますかね、例えば元アイドルだとか世界のスーパースターだみたいな一言で「自分の音楽じゃないだろう」とか、「売れ線なんじゃないか」とかって言って避けることがきっとあると思うんですね。僕も若い頃っていうのはそんな人間でしたし、好きな曲は分からないけども嫌いなアーティストならすぐ言えるっていうタイプでした。売れ線は嫌だとか。けれども、このハリーのアルバムは是非先入観なく、一度聴いてみてください。音楽というのはルックスや知名度で判断するものではなく、結局その音なのですから。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。