ON AIR DATE
2020.01.26
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・

青荷温泉でランプの宿の滞在を楽しもう!?青森県?

★★★★★★★★★★

TUDOR logo

Theme is... ランプの宿

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


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--- 片道7時間の国内旅で、君市が感じたこと ---

番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。

後半のテーマは「ランプの宿」。
忙しい時間を縫って訪れた青森の温泉宿・・・
そこを薦めてくれたのは意外にもアメリカ人の友達。
新幹線、ローカル線、路線バスを乗り継いで7時間かけて
足を運んだ先に待っていたのは訓市が大好物の昭和レトロな雰囲気!
そこで訓市が感じたこととは?


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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト… お待ちしてます!!

現在、次のプレゼントを製作中です。そちらもご期待下さい!
完成次第、番組内でお知らせします。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2020.01.26

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Willin' / Little Feat

2

This Night / Billy Joel

3

Time After Time / Iron & Wine

4

Creep / The Pretenders

5

Haze / 上原ひろみ

6

Something About Us / Pomplamoose

7

Texas Sun / Khruangbin & Leon Bridges

8

Dark & Handsome / Blood Orange feat. Toro Y Moi

9

Side Show / Barry Biggs

2020.01.26

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


Kunichi was talking …


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年の瀬になりますが、久しぶりに新幹線に乗って温泉に行ってきました。近場の温泉にはちょいちょいフラッと行くものの、遠出しての1泊というのは久しぶりです。どこに行こうかなぁと思っている時に、ちょっと前に聞いた友達のおすすめを思い出しました。薦めてくれたのはマーク・ニューソンという、もう家具から車、飛行機までデザインするデザイナースターと言われるデザイナーの友達で、昨年まではアップルのデザインチームの顧問としても働いていた世界的なデザイナーで、しかもかっこいいんですけれど、彼はもともとそのキャリアを90年代の東京でスタートした人で、超がつくほどの温泉マニア。サーフィンやスノーボードも大好きでよく冬になると日本中の雪がある秘湯みたいな場所にせっせと通っていたので、そんじょそこらの日本人よりはるかに温泉に詳しいのですが、昨年久しぶりにそのマークとサンフランシスコで会った時に、日本の話になりました。「最近会ってないけど、俺の愛したホテルオークラはリニューアルしてどうなった?」という話からホテルのデザインとかの話をしているうちに結局、最後は温泉の話になりました。「僕もどっか行きたいと思ってるんだよねぇ。人里離れたところがいいな」と話していると、片言の日本語で「アオモリニイケ」と言われました。「遠いが価値がある温泉があるぞ」と。温泉マニアのマークが言うなら外すことはないだろうということで調べて行くことに決めました。そこは「青荷温泉」といい、電気もなければ携帯の電波も届かないところ。電気がない代わりに200個近くある昔ながらの灯油ランプが至る所に吊るされていて、「ランプの宿」と呼ばれているという話でした。写真で見るとひなびたと言っては失礼ですが、僕の嫌いなギラギラした宿より昭和から時が止まった湯治場のような雰囲気。これは良いと予約したんですけど、ホームページを見ると東京駅から片道7時間。もう、それって羽田からバンコクに行けるぐらいの時間なんですけど、まず朝7時の東北新幹線に乗って新青森まで3時間。そこから在来線で弘前駅に。そして、そこからさらに1時間に1本走っているかいないかの電車に乗って黒石に。そこから今度はローカルバスに乗って30分。バスを待つ間、時間が空いたので、ご当地飯だという「つゆ焼きそば」なるものを食べてみました。これが変わった焼きそばで、濃い甘口のソース焼きそばにその上からそばのダシ汁をぶっかけたもので、地元の人には「あんなもの食べたの?僕は嫌いです」って言われましたけど、なかなかジャンクな味で僕は大好きでした。何に似てるかっていうとほぼ駄菓子ですね。そこからローカルバスで「虹の湖」というダム湖のあるバス停まで行き、そこでやっと宿の送迎バスが迎えに来てようやく宿へ。携帯の時間を見ると確かに7時間かかっていました。



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着いて思った宿の印象ですけど予想通りというか、予想以上に昭和な雰囲気でした。宿の中にある明かりも全て薄暗い灯油ランプ。それは小学校の時に理科の実験でフラスコを温めるのに使ったようなランプの大きい版という感じです。時間がもったいないのですぐに露天風呂でまず一風呂。当然、お風呂にはシャワーも座椅子も置いてない。いわゆる湯治場スタイルのお風呂で置いてあるのは桶のみ。内風呂は加水無しで死ぬほど熱く、逆に露天風呂は外気に触れて死ぬほどぬるいという“ツンデレ風呂”といいますか、えらいメリハリのある風呂でしたが、その間を忙しく移動を繰り返していると灯油ランプの薄暗い湯気だらけの風呂は無音であることもあって、とてもゆっくりした気分になるものでした。夕飯は全宿泊者が同じ食堂と呼ばれる畳部屋のちゃぶ台でいただくのですが、言われた時間に行ってみたらこんなに人がいるのか?というぐらいパンパンに人がいました。中にはマークと同じようにどこでここを知ったのか、外人観光客の姿も浴衣姿でちらほら。このまた薄暗い大勢飯っていうのが修学旅行を思い出させるというか、なんとも郷愁を誘う食べ方で。ご飯と味噌汁は自分でよそって、横に置いてある塩焼きのイワナは「1人1本まで」と書いてありました。お酒だけはカウンターに好きなものを頼みに行くのですが、そこで目についたのがイワナの骨酒。これは普通に大きい鍋にイワナがどんって入って割と波々に日本酒が入ってまして、それを子爵ですくってかなり飲めるんですが、おかわり自由だったので完全に飲みすぎてしまいました。そこからメインの内湯に入ったんですけど、茹でダコになる寸前でした。灯油ヒーターを消すと見事に寒い部屋の中で布団に入った途端に、天国に召されるのかというぐらいの勢いで久しぶりに深い深い眠りに着きました。ご飯も本当に美味しかったですし、風呂も4つあって素敵ですし静かですし、7時間かけてよかったと思ったのですが、何より良かったのが電気と電波の無い生活。なんだかんだと忙しい時でも常にチラチラ見てしまう携帯。それが無いだけで時間の流れの速さがびっくりするほど緩やかになることを久しぶりに実感しました。今ではどんな国に行っても携帯が繋がりますし、ネットも見れてしまうので情報を遮断するっていうのがすごく難しいんですけど、ここは完全に隔離されてますから携帯見ても意味がない。景色もお湯も最高でしたが、7時間かけて行って一番良かったのが携帯が無いことっていうのがすごく寂しい話なんですけども、それが現実ということで。皆さんも今年、是非一回は「デジタルデトックス」って言葉にもなっていますけど、電気と携帯と無縁の時間というのを一度過ごしてみてはいかがでしょうか。きっと、こんなに時間が進むのって遅かったっけっていうことに気づくと思います。