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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
「連絡先を知っている3人に連絡をしてみて」米アーティストが自殺予防啓発週間に呼びかけ
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Theme is... TELEPHONE
『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。
後半のテーマは「電話」。
車社会のロサンゼルスでは当たり前となっている
電話によるコミュニーケーション法。
声を聞くことの大切さんについて語る。
ロスの大親友が訓市に送りつけてくる画像とは?
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Lovely Day / Sybil
Summer Girl / Haim
Bongo Man / Jimmy Cliff
Angeles / Elliot Smith
パラダイスの夕暮れ / 行方知レズ
I Just Called To Say I Love You / Stevie Wonder
I Don't Want To Be A Lone Ranger / Johnny "Guitar" Watson
14 Till / Anti Lilly & Phoniks
Everybody Hurts / Patti Smith
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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以前も番組で話したことがあると思うんですけど、ロサンゼルスにいていいな〜と思ったことがあります。それはいつも僕が泊まる仲良しの男友達の車で毎日色んな所へとだらだらドライブしていた時に気づいたのですが、みんな本当によく電話をするということです。どこへ出かけるにも車が無いと行けないロスです。当然、車の中で過ごす時間っていうのがみんな多いからだと思うんですけど、よく電話をかけますし、よくかかってきます。スピーカーフォンで話していますから僕が助手席に座ってぼけっと景色を眺めていても、彼らの会話が耳に入ってきます。仕事の電話ももちろんありますけど、ほとんどが他愛もない会話です。ただ「元気か?」とかっかてくるもの、「昨日、友達とご飯を食べてその時に聞いた新しいジョークを聞いてくれ」、ちょっとした訪ねごと、それぞれがほんの数分の短いものです。運転しながらテキストが打てないのでみんな電話で話すのでしょうが、そんな中でも「ちょっと声を聞きたかった」とか、「会ってないから、もうすぐ会おうよ」とか、互いの調子を確かめて切るというのがなんだかとても素敵だなと思ったのです。携帯電話と僕らが今持っているスマートフォンを呼びますけど、一体どのくらいの人が実際に通話に使っているのかなと感じます。ほとんどの人がテキストを打つことがメインで、あとはソーシャルメディアを使ったりゲームをしたり。会話するという機能はまるでたまにしか使わないアプリの1つになってしまったかのように感じます。僕はテキストを打つのが嫌いで、常に繋がっているっていうのも嫌いで、LINEも海外でよく使われている似たアプリのWhatsAppも使っていません。テキストっていうのはすごく便利なんですけど、言葉って時にとても難しいとは感じませんか? 感情が分かりにくく、短く返したら冷たく取られたり、逆にそういう返事が来て冷たくされていると感じたり…。絵文字が無ければとてもフラットに見える通信方法なんじゃないのかなと思います。連絡はちゃんと取れていても、どこか繋がっているようで繋がっていないような。声を聞く時に感じる感情の抑揚や表情の変化のようなものを、テキストってどうしても僕は感じられないから、あんまり好きじゃないんです。
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コロナになって人に会いづらくなったという人がたくさんいます。普段から忙しくしていたりしても、人とあまり会えていなかったとしても、その会えるという可能性が最初から無いのと、会おうと思えば会えるというのでは気持ちも全然違います。さらに最近は色々なところで自ら命を絶つ人の話を耳にします。ニュースで見ましたけど、10代から30代で日本人の1番の死因っていうのは自ら命を絶つということです。僕はバックパッカーの頃から周りにそういうことがたくさんありました。もっと話を聞いてあげれば良かったとか後悔もたくさんありましたし、そのたびに1週間、1ヶ月と落ち込んだものです。元気になった友達と会って話し込んで、もう彼は大丈夫と思ったらその数日後に亡くなってしまったり…。一度そういう決断をした人っていうのは、その後に逆にとても元気になったり、アクティブになったりします。予定もばんばん入れていたりするので、いざそういうことが起きた時には気付かなかった自分の無力さっていうのを本当に嘆きました。「一体何が出来たんだろう?」そう思うと、もしかしたら答えはないというかですね、何も出来ないのかもしれませんし、じゃあ落ち込んでいる人を24時間ずっと一緒にいて見てあげられるのかっていうと物理的にできない自分もいます。そういう時に、今よく悩みがあったらここに電話をしてくださいとか、相談をとにかくしなさいっていうのがたくさん出てますけど、実際に辛い思いをしている人たちが自ら電話できる勇気があるとか、そういうことって中々難しいんじゃないのかって思うんですよ。例えば今こうやって僕が話していますけど、すごく落ち込んでいる人がラジオを真剣に聞いてくれているかどうかも分からないですし。そういう時に何が出来るんだろうっていうと、思いついた時に大した理由が無くても自分の知り合いに電話をしてあげることっていうのが1番なのかなと思います。電話って結構邪魔だったりもするじゃないですか。なので例えば誰かに電話しようと思って仕事中かなとか、忙しいかなと思うとついついテキストとか、皆さん普通の人だとLINEなのかな? そういうので連絡を取るんだと思うんですけど、もしかしたら忙しくてすぐ切られてしまうかもしれませんし、もしくは出てくれないかもしれません。けれど着信があったり、少しでも声を聞いたという事実は残ります。大した意味の無い他愛もない会話、それが時には大きな意味を持つんじゃないのかなって思います。先ほど話した僕のロスの友達っていうのはFaceTimeを使ってよく電話をかけてきますし、意味の分からない変なセルフィーの写真を解説無しで送ってきます。50歳近くのハゲたおじさんなんですけど、突然訳の分からない格好で海辺でただぼーっと立っている写真とか、家族4人がソファーに座ってニッコリしている写真とか。そして、よく一言だけ「調子はどうだいブラザー?」みたいなことが書いてあります。1週間前に話したばかりで何も変わってないのにって一瞬思うんですけど、でもその1週間っていうのが実は色んなことがあったりですね、どういう変化があるっていうのは結局は分からないことですし…。「俺はお前を気にかけているよ」「いつもお前をちゃんと思い出しているよ」と知らせてくれるそんなやり取りっていうのが、よく考えてみると僕の大事な支えになっているなと思います。男同士なんですけど普通に「会えなくてさみしいよ、miss you」とか書いてあるのは傍から見れば随分ディープな世界に行ってしまってるんじゃないのか?と思われるかもしれませんが、でもそうやって感情を伝えたり、たまに声を聞いて僕らはこの広い世界に1人じゃないぞっていうサインを貰うっていうのは本当に素敵なことだと思います。これから冬、さらに家に籠もりがちになったり、なんとなく寂しさを感じる季節になりますが、こういう時こそ、皆さん無駄な電話をたくさんしましょう。ふと思いついたらパッと電話をかけて、「急に思い出したから電話してみたよ」と、それで考えが変わったり、なぜかとても救われた気持ちになる人っていうのは絶対たくさんいると思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。