ON AIR DATE
2020.11.22
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・

<ahref="https://antenna.jp/articles/6170038">ディープな横丁探検をしよう 餃子にパスタにお寿司…吉祥寺【ハーモニカ横丁】はグルメタウンの象徴!

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TUDOR logo

Theme is... 横丁



『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


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番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。

後半のテーマは「横丁」。
バックパッカー時代に吸い寄せられるように訪れた
世界各国の各都市にあった横丁の魅力。
子供のころ、ドキドキしながら遠巻きに、
恐る恐る様子を伺った横丁とは?
訓市が「横丁好き」になるきっかけとなった場所に
改めて足を運んで感じたことについて語る。


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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2020.11.22

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Be Strong Now / James Iha

2

AUATC / Bon Iver

3

When October Goes / Barry Manilow

4

The Star-Crossed Lovers / Pepper Adams

5

500マイル / RCサクセション

6

Tomorrow's Gone / Charlie Megira

7

Natural Beauty / Neil Young

8

Still In Love With You / Thin Lizzy

9

Summer Madness / Khruangbin

2020.11.22

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



Kunichi was talking …


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最近といっても今年の夏なんですけど、渋谷の宮下公園が再開発されてできたモール。屋上が公園となり新名所だなんて言われているようですが、僕はその横を自転車で通り過ぎたりするだけであまり興味がなく、知り合いが店を出していたので、そのお披露目会というのに行って以来1度も中に入っていないんですけども。きっと良い店もたくさんあるのかもしれませんが、どうも大きな箱物ビルというか、ああいう商業ビルというのがとても苦手で、特にオープンしたてで人が多いうちっていうのはさらに足が遠のいてしまいます。渋谷横丁という、恵比寿とかにある恵比寿横丁というビル内にある飲み屋さん的なビルがあるんですけど、そこをプロデュースした会社が作ったという横丁に人だかりができているのを見ました。今の営業時間がどうなっているのかは分かりませんけど、もともとは24時間営業というのが売りらしく、若者たちで賑わっているとかで。興味本位で近くまで行きましたが緊密すぎる椅子と大声をあげる人達でとても行く気にはなりませんでしたが、新しい商業施設に横丁があるということは素直に嬉しいなと思いました。道に座りこんだり、ワイワイガヤガヤというのが美味しい食事の一番の環境じゃないですか。袖触れ合うも他生の縁、隣りの席の人と突然仲良くなったり、一緒に飲んだり、そんなことが起こるのが横丁の特徴だと思います。僕もそういう経験たくさんあります。まあ今は袖が触れ合っちゃダメなんですけど、でもあのガヤガヤとして、全く静かじゃない、ゴミゴミとしたところにいると逆に妙にくつろいだ気になったりしませんか? 小洒落て気張る必要もなく、若い女性を連れてうんちく垂れながらワインをすするような、ワイシャツのボタンが空きすぎてヘソが見えるみたいな男が隣にいるようなこともないですし。1日働いて、飯食って酒飲んで、さぁまた家帰って寝て次の日働くぞ。そんな気分にさせてくれるのが横丁だと思います。僕は自分がなんで横丁みたいな狭くてガヤガヤして、袖看板がギラギラ輝いたりしている場所が好きなのか、自分でもよく分かっていませんでした。昔アジアをブラブラしていると、そんな横丁みたいなところがどんな国にもあって、それを見ると心が惹かれるというか、安心するというか、懐かしい気持ちがしてよく寄ったものでした。その時も自問自答して、なんでこういう場所が好きなんだろうって思っていたんですが、先日ようやく理解しました。それは吉祥寺に行ったからでした。


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僕は小さい頃、吉祥寺に住んでいました。地元の学校には通ったことがないのですが、近所には年の近い友達もいましたし自転車で色んなところを走り回ったものです。商店街があって、デパートがいくつもあり、井の頭公園があり…。いつも間にか若者に人気の街という触れ込みの有名な街になってしまいましたが、僕が小学校に入っても1、2年生の頃っていうのは駅前もまだごちゃごちゃしたなんてことのない街でした。昔は近鉄デパートっていうのがあって、その裏は怪しい飲み屋街でキャバレーもありましたし、日活ロマンポルノの映画館もあって自転車でよく怖いもの見たさにその道を行ったり来たりしたものです。駅前のロータリーが整備される前は立ち食いのバラックのようなホープ軒が駅のホームからも見えましたし、その横にハーモニカ横丁がありました。戦後の闇市がルーツと言われていますが、駅前のいわば一等地に横丁があったのです。今のハーモニカ横丁は代替わりをしてオシャレなカフェやバーがいくつもありますが、昔は本当にただの市場のようでそこには淡水魚屋なんかもあって、僕はゲンゴロウや水カマキリが欲しくてよく通ったものでした。ちょっと汚くて怪しくて、でも話すと結構優しいおじさんやおばさんがいて…。親はあまり連れて行ってはくれませんでしたが、僕は友達と一緒にこっそり通ったものでした。随分と行ってなかったんですけど、先日吉祥寺に寄って、急に昔よく食べた餃子を食べたくなってハーモニカ横丁に行きました。狭い店内のカウンターに座り、小さい頃に食べたものと同じ餃子やバターラーメンを食べているうちに、「あぁ横丁が好きなのは、ここからきたんだ」とようやく気付いたのです。餃子と麺を堪能して路地に出ると、周りは無国籍なバーなどに変わってはいましたが、道の細さも雰囲気も変わってはいません。これがまだ駅前に残っているのはとても素敵なことだと思いました。色んな年齢層のお客さんがいました。それこそ小さな子供からお年寄りまで楽しめる横丁。横丁っていうのは日本だけの文化ではなくてきっとアジアの文化のような気がします。細かくて、うるさくて、迷路みたいでちょっと怪しい。ラジオを聴いているリスナーの皆さんにだってきっと1つや2つ横丁での思い出があると思います。コロナ禍の中でさらに小さな店なんで大変だとは思うんですけど、日本中にある横丁が生き延び、そしてさらに増えますように。そう願わずにはいられません。