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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
牛のメタンげっぷで地球が滅びそう。海藻で減るってホント?
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#350 -- 環境月間につき、訓市的サスティナブル考 ---
前半はリスナーの皆さんからのメッセージをご紹介!
曲のリクエストや選曲のオーダーにもお答えします。
旅をするのが難しい昨今、
恋愛、進路、人生、仕事などテーマはさまざま。
訓市が誠心誠意、語ります。
後半のテーマは「サスティナブル」。
世の中で定着してきた「サスティナブル」について、
今、訓市が考えている持論を語り尽くす。
牛のゲップに関するエピソードから導き出される
食生活のあり方について賛同、異論、反論などなど。
サスティナブルなライフスタイルを実践するに当たって、
ファッションや車などはどのように付き合っていくべきなのか?
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
メッセージをお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエストをお待ちしています!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Lisztomania / Phoenix
Los Angeles / Haim
Witchcraft / Frank Sinatra
Rivers / Allman Brown
Speculation / Ego-Wrappin'
Seaside Week End / Antena
I'll Still Love You / King James Version
Sprout And The Bean / Joanna Newsom
Losing Time / Josh Fudge
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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この間、選挙の話をして、今夜はサスティナブルか。訓市、お前どうしたんだ?ってお思いの方もいるかと思いますが、僕もぶっちゃけサスティナブルという言葉とか、その後ろにうごめくものっていうのがすごく苦手だったこともあります。とはいえ、この言葉自体は随分と普通に定着してきたと思います。持続可能というのが語源ですが、持続可能な社会やライフスタイルを作ることで、そこには今まで使われていたエコであるとかスローライフとかリサイクルとかオーガニックとかバラバラなものが集約されてきたような気がします。ステイホームが長引く中で自分の生活や環境を見直した時に、もっと大きな視点で物事を見る人も増えてきたのか、サスティナブルって言葉が一般化してきたのは良いことだと思っています。ただこういう時にでも言い争いみたいなのがすぐに始まって嫌だなとも思いますが。自然がどうだとかオーガニックがどうだという話になると、反対の人たちっていうのは「やれ意識高い系だ」とか、「金があるゆとりのあるものの戯言だ」とか。そのうち「実は石油は枯渇しないからそんなのはまやかしだ」とか。もうどれが正しいのか分かりませんが、粗を見つけて攻撃しようとすることが沢山あります。逆に自然保護を詠う人たちも「そもそも飛行機で飛び回っててどうするんだ」とか。もちろんそういう突っ込まれどころもあったりもしますし、知り合いの中で省エネを謳う人が2階行くのにも必ずエレベーターで行くのを見て、つっこまれるだろうなぁと思いながら眺めていたこともあります。「海外の方が意識が高い、日本は遅れている」、「いやそもそも自然を破壊したのは海外が先だ」、「日本が嫌なら海外に行け」とか。こういう話になると特にYahooのコメントとかそうですけど、落とし所が無くてもはや議論でもなくただの言い合いだと思います。何が正しいのか分かりませんが、理由はどうあれ今までのようなイケイケどんどんで物を作っていく、大量に作って捨てるとか、そういう社会はもう無理だろうというのはどんな人の意識の中にも出てきたんじゃないかと思います。気候の話もそうですし、待ったなしの問題っていうのはたくさんあります。その中で自分がどうするか? なにをやっていくかというのを調べて行動に起こすというのは、その中でもなかなか難しいことです。コンビニのビニール袋が無くなってエコバックを持つのが初めての行動という人もいるかと思います。袋が無くなったとしてなんの意味があるのか? エネルギー的には余計に消費してしまっているのでは?っていう人もいますが、きっかけとしては良いんじゃないんでしょうかね。そうやって少しずつやれることを増やしていけばいいんじゃないでしょうか。僕はちなみにコンビニで、常にほぼ手ぶらで行って「ビニール袋買いますか?」って言われて「いりません」って言うので、いつも怪訝な顔をされるんですけど、むき出しで物をたくさん手に持って歩いて帰ります。たまに通行人に、この人なんでこんなおじさんがうまい棒をたくさん持っているんだ?みたいな顔で見られることがあります。
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温暖化の話で牛のゲップの話があります。彼らや羊など反芻動物っていうのは胃が4つあって、食べた植物を消化する過程でメタンガスが発生するらしいんですが、それがゲップとして排出される。ゲップなんてするんだと、世界中にいる牛がゲップする姿を想像するとちょっと笑ってしまったのですが、大気中のメタンガスの20〜30%がそのゲップからくるといわれると全然笑えません。活動家の人たちの中には「だから肉を食うな、ヴィーガンになれ」と言う人もいます。僕はですね、さすがに牛肉を毎日食べたいと思うほど若くないんですけど、たま〜には食べたいなと思いますが、ただ今みたいにたくさん作る必要もないとは思います。昔サンフランシスコに住むヴィーガンの家に居候していた時、そこの冷蔵庫に「世界中の牛の牧場を潰してアルファルファを栽培したら世界中で飢える人がいなくなる」と書いてありました。アルファルファが嫌いだったので、そんな世の中は嫌だと思ってしまったんですけど、そのぐらい実際に牛を育てる牧場っていうのはものすごく土地を使うし環境破壊をしているらしいんですよね。じゃあヴィーガンになるかっていうと、ヴィーガンというのも健康に良さそうですがわりと大変らしいんですよ。僕にはヴィーガンの友達っていうのが海外にたくさんいて、「訓、お前も肉を食うな」「ヴィーガンこそ正しい生き方だ」ってずーっと言われ続けていましたが、もう90年代からヴィーガンをやってたっていう人たちが最近ひっそりと肉食を再開してる人が実はいます。「あれ、肉食べてるじゃん!」って怒ったんですけど、「今までよくもよくも」って言ったら、要は歳をとって代謝が落ちていく中で必要な栄養を菜食だけで足りなくなってしまう方とか多いらしいんですね。特に女性の方とか更年期が始まるくらいの時に鉄分とかがどうしても追いつかない。それで赤肉を食べたら一発で体調が戻ったりして、要は肉を食べないと自分は調子が悪いと。何でも無理なく続けられるようにする、それこそがサステイナブルなんじゃないのかなと僕は思います。極端じゃなくって持続可能なもの。そうやって考えていくとですね、一番簡単で手っ取り早いサステイナブルな生き方っていうのは環境っていうのも大事ですけど、好きなものを買うことなんじゃないのかと思います。本当に欲しいものっていうのは長く使うし大事にします。それこそ無駄が減るサステイナブルなんじゃないかと。服だったら古着を買うのも良いと思います。もう随分前に作られていて、作るためのエネルギーも無い。そしてこれからもきっと大事に着られる物です。ファストファッションの服は安いからといってすぐ処分したりするなら買わない方が良いと僕は思っています。よく「お金が無いから服が買えない。だからファストファッションを買うんだ」と言う若い子に会ったことがありますが、ファストファッションで使う金額で古着屋を回れば同じ金額で買えるものはたくさんあります。どうせなら他の人と同じものを着る金太郎飴みたいな格好をするより、自分だけの古着を見つけて着る方が面白いと思います。車もバイクも何でもです。僕の車はポンコツのガソリン車ですが古い物で、そして多分僕が運転免許を返納するまで乗り続けるって思っています。そうやって好きな物を長く使うっていうのがサスティナブルな暮らしなんじゃないのかなと思ってます。なので最初にも言いましたけど、「サスティナブル、ほれ意識高い」とか思わずにですね、自分物を振り返ってみたりするとそういうものを嫌っていた人こそ実は「俺ってすごくサスティナブルな人間じゃないか。高校の時に買ったものを大事にまだ使ってるぞ」とかそういう物が1つずつ身の回りに増えていけば良いんじゃないのかなって思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。