ON AIR DATE
2022.06.19
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54


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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・

いまや日本は中国より安い国! アベノミクスの期間に貧しくなった

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TUDOR logo


『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


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#403 --- 2019年6月以来!の3年ぶり!---

前半はリスナーの皆さんからお寄せいただいた
“お便り”の中から訓市がセレクトして紹介。
リクエスト曲もオンエア!

後半のテーマは「ニューヨーク」。

現地の知人からの誘いを受けて、
久しぶりに訪れたニューヨーク。
以前は1年間に3?4回は足を運んでいた
訓市にとって“第二の故郷”である街に行って
感じた第一印象とは?

ロックフェラーセンターの敷地内にある
ビルの屋上で開催されたパーティーに顔を出して
驚いたこと、嬉しかったこと・・・。

数年前とは一変して物価が高騰している
ニューヨークで数日間を過ごして痛感した
“危機感”について語る。

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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
メッセージをお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからの“お便り”をお待ちしています!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2022.06.19

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Fast Car / Jonas Blue

2

Never Give Your Heart Away / Carlton and The Shoes

3

Norwegian Wood / Milton Nascimento

4

Gente Que Aun Duerme / Mono Fontana

5

光の中に / 踊ってばかりの国

6

I Want You (Underboss Remix) / Lord Finesse

7

Magnificent / Oh Wonder

8

Young Love / Cleo Sol

9

Sun's Coming Up / Tame Impala

2022.06.19

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



Kunichi was talking about NEW YORK

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先日お話ししたニューヨークの空港に着いた先の話を今日はしたいと思います。実際に街に着いてびっくりしたのは、本当に誰もマスクをほぼしていないこと。顔が見える人たちが道を歩いているのに最初はとても違和感を感じてしまいました。ずっと顔を隠していますからね。知り合いの誰と話してもコロナに2回から3回罹っているそうで、ちょっと喉が痛いかなとなったら家で1日2日大人しくするくらいでもう誰も気にしていないという人がほとんどでした。「1回目はきつかったよ〜、死にかけたな〜」とか笑って話す人ばかり。最初にコロナがニューヨークで蔓延した時、たくさんの人が亡くなり街角には収容しきれなくなった遺体を冷凍保存するトラックが至るところに停まっている写真を友達が送ってくれていたのを僕は観ていたので、2年が経って本当に生活がほぼ普通に戻ったんだな〜と心の底からびっくりしました。とにかく、どこもかしこも人、人、人。ホテルも取ろうと思ってもどこも満員でした。街に着いて他に気付いたことといえば、とにかく物価が高いということ。僕が最後にニューヨークを訪れたのは2019年の6月。ちょうど3年位前なのですが、体感でいうと全て倍になっていました。インフレのせいであらゆる物価が上がっているところに日本人的には円安が直撃しているので、とてつもなく高い。ビール1杯飲んだらチップ入れると余裕で2,000円を超えてしまったり、タクシー・ウーバーはすぐに5,000円越え。これはガソリンが特に上がってるので初乗りの距離が短くなってるっていうか、ものすごい勢いで高くなっているんですよ。3年前の同じ時期に泊まったホテルも宿泊費は倍になっていました。日本はデフレで長らく物は安く、賃金は上がらないっていうのが続いて、そこに最近はロシアとウクライナ情勢などの影響で物価が高くなり始めていますが、まだまだ安いと思います。それに対して全てが上がっているアメリカ。日本っていうのはこの先大丈夫なんでしょうか? 今月から来日観光客の数が増えたりとか観光業をこれからもっとプッシュしていくと思うんですけども、ニューヨークで会った人たちはみんな、「早く日本に行って買い物をしたり、美味しいものを食べたい」と言っていました。彼らにとって今、日本はとんでもなく安い国なわけです。約70ドルで1万円の物が買えたり食べられたりする、しかもチップ無しで。ちっちゃい話をしますけども、世界的に流行っている日本のシティポップと呼ばれるレコードも、日本人のバイヤーが見つけ価値を見出してきた古着も、ビンテージの楽器も何もかも買い叩かれて国外に流れるはずです。そしていくら値段を上げても買う人がいますから、一部の金持ちにしか買えない、物が無いというマーケットになっていくと思います。そんなことをニューヨークで考えていると、なんだか悲しい気持ちになりました。


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もしこのまま円安が続いて原油高も続いて戦争もなかなか終わらなかったとしたら、海外旅行というものがおいそれと行けるようなものではなくなる気がします。今月パリコレが久しぶりにあって、日本のファッション系の友達がみんなパリに行くっていう時にエコノミーのチケットが往復で50万円するっていって大騒ぎしていましたけども、50万ですよ!コロナ前は10万ですよ! 僕が乗ったニューヨーク行きの飛行機は多分新型の飛行機だったんですけども、機体の半分以上がファーストクラスとビジネスクラスで、その席のほぼ全てが満席でした。それに対してエコノミーの方がガラガラでした。エコノミー席で1人約30万、ビジネスクラスですと100万円越えです。昔のファーストクラスのようなチケットを買う人たちの方がエコノミークラスに乗る人よりもはるかに多い。コロナの影響が収まりつつあり、さぁ海外旅行だといって気分が盛り上がってる人も多いかと思いますが、定期的に行ける人たちっていうのはこれから限られてくるような気がします。円安だと輸入する物がすべて割高になり、もう輸出大国でもなんでもない日本にとってどうなんでしょうね、この円安という傾向は。本当に日本はどういう国づくりをしていくのか、ちゃんと指針を作っていくべきだと思います。過去の栄光にすがるものは国でも会社でも衰退します。参院選だなんだって言ってますけど、制度自体を変えないとダメなんじゃないのかと、時差ぼけの中で僕はずっと考えていました。とは言えそんなことだけでもなく、向こうでは久しぶりの再会ばかりで、とにかく人に沢山会って楽しい時を過ごすことが出来ました。実際にニューヨークに行く前には、あのアートショーに行こうとか、建築を見に行こうと予定は立てていたのですが、結局ほぼ一つも行けませんでした。勝手知った街をひたすら歩きながら友達の家やスタジオを訪ね歩き、夜な夜な酒を飲みました。馴染みの店は確かにいくつも無くなっていましたが、それでもグラフィティだらけになった街には活気があって、夜は路上に客席を広げることを許可された飲食店に、まるでパリのカフェのように人が集まっていて、本当に大声をあげながら笑って酒を飲んでいます。着いた初日にはエイミー・ワインハウスやブルーノ・マーズの曲で日本でもお馴染みのマーク・ロンソンが友達のプライベートパーティーでDJをするからクンもおいでよと言われてお邪魔したのですが、その場所っていうのがロックフェラーセンターの敷地内にあるビルの屋上で。こんな所でこんな音を出していいの?っていう感じにガンガン音を鳴らしていて、60代から20代までの着飾った金持ってそうな人たちがグラス片手に密集して踊っているんですよ。“コロナってあったんだっけ?それとも僕は竜宮城にでも来ていたのか?”・・・そんな気分になるニューヨークでした。