Why do you travel! Why you're not?
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#475 --- リーダーは大事です。---
テーマは「戦争」
今、日本から遥か離れた彼の地で
実際に起きているいくつかの戦争・・・
刻々と伝えられる被害についての
ニュースに心を痛める日々
いつも犠牲になるのは若者や子供たち。
その事実に直面して訓市が感じていることを語る。
次の世界を生きる世代の人たちの為に今、
私たちができることとは?
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
I'm Free / The Soup Dragons
Won't Talk About It / Beats International
Your Favorite Place / Joey Pecoraro
Somewhere Out There / James Ingram & Linda Ronstadt
たとえば / さだまさし 小田和正
Sesame Syrup / Cigarettes After Sex
Kidd / Se So Neon
In Your Own Home / Cleo Sol
Night Crusing / Pine Barons
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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ロシアとウクライナが戦争状態になってもう随分と時間が経ちました。毎日ニュースで流れているものを見ているうちに、それが当たり前のことになってくるのが戦争の恐ろしいところだと思います。毎日何十人、時に何百人の人が亡くなるのに、それが数字だけで表されて、心がどこか麻痺していくような。僕たちの国内ニュースに出てくるっていうのは人が殺されたという事件や事故で、その人たちの詳細や人生が語られ、僕らはそれを読んで憤ったり、悲しんだりするわけですが、時に良いニュースもあります。難病を抱えた人への募金が集まり助かったとか。ところが戦争は違います。その日に亡くなった人たちが数字だけで語られる。本当はそれぞれにそれぞれの人生があり、それが本人たちの意思に関わらず奪われていくわけです。ニュースにしたら一日中、一人一人を取り上げても足らないぐらいの人たちが亡くなっていくという、滅茶苦茶な話です。僕はヨーロッパをフラフラとしていた時に各地で戦争の跡を見ました。バルセロナにいた頃の話ですが、僕はスペイン語が全く話せないのですが、全く英語を話さないスペイン人の友達ができまして。しばらくその子の家で居候していたことがあります。夏の終わりの頃ですが、彼の家の近くのスクエア、広場に夜中連れて行かれました。その前にバールで安いビールをしこたま飲み、酔っ払って行った時のことです。三方を壁に囲まれ入口が1つしかない、文字通り袋小路のようなスクエアで、そこで壁を見ろと言って奥の壁まで連れて行かれました。でもそこには何もなくて、ハテナと思っているとカタコトの英語で「よく見ろ、ここがぼこぼこしているだろう」と。言われてみれば確かに壁の一面がぼこぼこになっていました、それも横1列に。そして鉄砲を撃つ素振りをその友達がするのを見て、ここで何が行われたのかを理解しました。「フランコ、フランコ」・・・スペイン内戦を経てスペインの独裁者となったフランコ大統領がここでカタルーニャの人たちを処刑をしたのだと。ぼこぼこの場所は自分たちの頭の位置にありました。横一列に人を並べて、そこで撃ったそうです。もちろん裁判もありません。以前にも番組で話しましたが戦争が終わってすぐのサラエボにも行ったことがあります。僕が小学生の時に冬季オリンピックが行われていて覚えていたサラエボ。元は同じユーゴスラビアという国が崩壊して、セルビア、クロアチア、ボスニアヘルツェゴビナという3つの国に別れ、血みどろの戦争となり、その中でもサラエボは激戦区となりました。1万人以上の人が亡くなったと言われていますが、そのほとんどが市民でした。
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サラエボの川沿いの土手を散歩したいなと思うと止められました。「まだ地雷が残っているからやめたほうがいい」。街のあちこちは銃弾の後で蜂の巣ようになっていたり、崩れたりしていました。国立競技場のようなスタジアムは十字架が立ち並ぶ墓地となっていました。墓を作る場所が足りなかったからです。宗教の違いが生み出した戦争ですが、人種的にルーツをたどると元は同じ民族だったと地元の人が言っていました。東京と埼玉と神奈川が違う宗教だと言って殺し合いの戦争をするところを僕は思い浮かべました。ロシアとウクライナだけではなくて、今ではイスラエルとパレスチナ人が住むガザが戦争状態になっています。先に攻撃したハマスの行為には断固反対ですが、今、ガザに住むパレスチナの一般市民が毎日大勢亡くなっています。水も電気もほぼ無くて、逃げようにも隔離されているため逃げ場が無いのがガザです。日本では学校でも、そして社会に出てからもこのパレスチナ問題というものをちゃんと教えていないような気がします。難しく、話しづらいトピックだからかもしれません。僕も随分と本を読んだりしましたけど、本当に理解しているかどうかといえば自信が無いです。2000年以上前から続く、宗教が絡んだ話です。日本だけじゃなくて世界でも言えるのかもしれませんが、ハマスとパレスチナをごっちゃにしていたり、ユダヤとイスラエルという国をごっちゃにしていたりする人がとても多いです。パレスチナの市民が可哀想だと言うと反ユダヤと言われてしまったり、ハマスの攻撃で亡くなったイスラエルの人に哀悼の意を表せば反パレスチナだと言われたり。それでも僕たちはちゃんと知って、どう動くのか考えていかなければならないと思います。僕にはパレスチナ系の友達もたくさんいれば、ユダヤ系の友達ももちろんたくさんいます。皆が平和に、特に子供たちが巻き込まれないようには絶対してほしいですし、今、困っている子供たちの募金っていうのはたくさんあるので是非皆さんにも見てもらいたいです。僕が無宗教だからこんなことを言うのかもしれませんけども、生まれた時の子供っていうのは何人でも同じで、色がついていないと思うんですけどね。「戦争とは年寄りが始めて、若者が死ぬこと」。逆だったらいいのにと思うのに、残念ながら勇ましいことを言って戦争を起こすリーダー達は最前線にはいなくて、ご飯を3食食べて、お風呂に入って寝ています。リーダーは大事です。これから日本はいつ大きい選挙があるのか分かりませんけども、必ず選挙に行きましょう。そして、たくさんの小さい子が亡くなっていると思うので、ユニセフとか赤十字とか、別に金額は小さくてもいいと思うんですけども募金をしましょう。って言うのも偽善臭くて嫌なんですが、年をとって学んだことの一つが、どうせ偽善ならばやらない偽善よりやった偽善の方がはるかに良いということです。皆さんもちょっと考えてみてください。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。