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Let's travel! Grab your music!
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#479 --- 神宮外苑再開発 ---
今、訓市がその動向に熱い視線を送っている
「神宮外苑」の再開発問題について、
年内のうちに現在の心境を語り尽くす。
時間稼ぎとも思えるペースで
粛々と進められているかに見える再開発事業・・・
大きな関心事となっているのが
「神宮の杜」の伐採にあるが、その実態は?
具体的な計画内容は?
2024年も継続して眼が離せない問題について、
これまでの状況を総括します。
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冬の限定選曲企画、
「パワー・バラード」のリクエストにもお応えします。
ハードロックやヘヴィーメタルのバラード名曲の
リクエストも募集中です。
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
American Tune / Paul Simon
If You Wanna Go / Joy Williams
Free Fallin' / Stevie Nicks
Will You Still Love Me Tomorrow? / Carole King & James Taylor
コンパス / Soul Scream
Waiting / The Style Council
Water / Tyla
Aftertones / Janis Ian
Within (Drumless Edition) / Daft Punk
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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神宮外苑再開発。坂本龍一さんが亡くなってから、この問題がよりニュースとして取り上げられるようになって、デモがあったり、様々な人が反対意見を述べて、それがまたニュースになったり、工事が来年に延期になったりと色々な動きがありました。様々な人が色々なことを言っていて、一体何が問題なのか?何が正しい情報なのか?逆にどんどん見えにくくもなっている、ある意味とても今らしい問題だなって思っています。ニュースになることはすごく良いんですけども、マスメディアが捉える全体じゃなくて1面しか出さないので、どういう問題なのかっていうのがより分かりづらくなっているような気がします。今年の秋、サザンオールスターズが再開発に対して異議を唱える曲というのをリリースして、一時期とても話題になりました。「美しい杜が消える 麗しいオアシスがアスファルトジャングルに変わっちゃうの?」という歌詞の「Relay~杜の詩」という曲ですが、僕的には「あれま〜またまた本当の問題が見えづらくなっちゃうぞ」という気持ちを抱いてしまいました。再開発に反対の人たちは「そうだサザンも歌ってるぞ、杜を守れ!」となりますが、開発賛成派というか反対派を胡散臭く見ている人には「ちゃんとニュースも見ていないくせに。伐採だけでなく植樹もするのだから実際には緑は増えるのだ!」とか、「杜を全部切る訳じゃないのに、すぐアスファルトジャングルに変えるとか事実じゃないことを歌いやがって」「明治神宮が土地を管理していて、それはタダではないんだ。文句を言うなら誰が今後管理をするんだ!金を誰が出すのか言ってみろ!」という議論になるわけです。今はポロポロと1つの話題が出ると、それに対しての反論みたいなものが出て、結局どこにも進まない。時間稼ぎの時間だけが経っていく…そんな気がしています。そこでまず、神宮外苑の森がどういうきっかけでできて、今何が問題で、そして自分はどう思っているか?それについて話したいと思います。そもそも神宮外苑というのは約100年前、何も無かった場所に明治天皇と后を祀る「鎮守の森」を作ろうというところが出発点です。そこで当時考えられたのが自然林で、かつ永久に継続できる森を作るという計画です。出発点はもちろん人の手による人口の林ですが、そこからその場所で生まれた種から自然に木々たちが育って再生して行く森を作ろう!という150年先まで見越した計画だったらしいです。
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外苑のその森の計画っていうのは150年後まで見越した計画で、まだ生まれてから100年。よくニュースとそれに対する意見で「100年ちょっとの樹齢の木なんてたくさんあるし、大体そんなに古くない人工の木を切って、なんの問題なんだ!」という意見をたくさん見ました。そういうことを言う人たちはこういう経緯を知っているのかな?って思います。街の中で100年の寿齢の木って大変貴重だということも。そしてですね、神宮外苑といえばランドマークとなっているイチョウ並木。僕ぐらいの歳だと「東京ラブストーリーごっこ」をした人たちは必ず行ったと思うんですが、切られてしまうって勘違いする人とか、切られない・保護されるのに文句言ってる奴らはなんなんだっていう話もあるんですけども、実際のところはですね、銀杏並木は残すっていうことなんですが、並木の高さは約20メートルです。その真横に高さが50、60メートルになる神宮の野球場が8メートルくらいの近さで建設されます。そしてその奥には30何階建てでしたっけ?タワーのビルが2棟建つのです。普通に考えてこんなものが横にあったら日が当たらないな、枯れるかもね、と考えると思います。根っこが死ぬという問題もあります。こういうことはすごく問題だと思うんですが、皆さんどう思いますか?僕個人の考えを言いますと、再開発そのものに反対しているわけではありません。なんでもかんでも古いままにしろと言いたいわけでもありません。ただ、再開発の「方向がおかしい」、それは強く思います。神宮外苑は元々、開発に制限があり、なおかつ高さ制限がある地区だったんですよ。制限の高さは15メートルです。国立競技場を新しく作る時にその高さが引き上げられて、どさくさに紛れて新宿区が商業開発可能な地区に変えているのがおかしいと僕は思うのです。今ある新国立競技場というのは、もともとザハさんという国際的に著名な建築家のデザインがコンペで勝って建てられるはずだったんですが、建築費が異常に高かったのと、その建築物の巨大さ・高さというのが神宮外苑の理念・外観にそぐわないというのが寸前での計画撤回の理由でした。それがザハさんが考えていた国立競技場より高い商業ビルを建てるっておかしくないですか?もし再開発するのであれば、もともとの15メートルの規制内で、景色と調和する建物にすれば良いと思うわけです。そうすると外苑の管理費は誰が払うんだ?高層ビルを建てて、そのテナント料で賄おうとしているんだ。そういう方達もいますが、都心の公園として都や国で整備できるようにはできないのかな?って思います。代々木公園も遊具があったりする公園ではありません。緑とひらけた公園があるだけです。でも人が思い思いに過ごしたり、ゆっくりと歩いて時間を過ごすことができる。それって素晴らしいとは思いませんか?世界の大都市と言われる場所には大きな公園があります。ニューヨークにもパリにもロンドンにもあります。ただその公園内に色んな物があるのかって言うと有りません。都会のオアシスとして100年以上前に人工的に作った自然の林や森を必死になって守っています。神宮外苑もそうあるべきなんじゃないかと僕は強く思います。「セントラルパークに高層ビルを建てるようなもの」とニューヨークタイムスが書いた記事のことを、皆さんもよく考えてみてください。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。