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Let's travel! Grab your music!
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#503 --- 大親友のノーマンについて語る ---
ニューヨークのバーで意気投合して以来、
20年以上の付き合いになる大親友
【ノーマン・リーダス】との出会い、二人の関係、
そして現在の関係について。
ノーマンの相談を受けて東京で実現した
「写真展」を開催するまでの経緯。
無事に会期を終えて訓市が感じたこととは?
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Crush / Blush
Don't Disturb This Groove (Dub Version) / The System
With Every Light / Smashing Pumpkins
Grace / Lizz Wright
Faure / haruka nakamura feat. Uyama Hiroto
A Walk Across The Rooftops / Blue Nile
Nothing Can Stop Us / Saint Etienne
Stable Song / Death Cab For Cutie
The Mighty Rio Grande / This Will Destroy You
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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今日でちょうど終了してしまったのですが、渋谷のギャラリー「SAI」でノーマン・リーダスの写真展を初めて日本でやっていました。僕はこの開催っていうのを手伝っていたのですが、本人が「日本で写真展をやりたいんだけど…」って言ってきたのが今年に入ってからで、まあ時間が無い、場所が無いと焦りまくっていたのですが、無事開催することができました。ノーマンというと一般的には俳優さんでしょ?と思う方が多いと思います。ゾンビドラマの世界的代表作『ウォーキング・デッド』のダリル役として世界中で大人気となっています。ですが、僕が出会ったのは、ちょうど彼が映画の仕事をせずアートを作って暮らしていた頃のことですから、僕にとってはアートを作る人っていう印象の方が強いです。僕とノーマンは付き合いを遡ればもう20年以上で、ニューヨーク1、2というか人生の中でもかなりの仲良しです。彼は『処刑人』という作品を始め数々のインディ映画で、カルト映画という感じですけど出演していたイケメン俳優というやつで、一般的には当時はそこまで知られてはいなかったです。一番最初に何を話したとか覚えてないんですけど、とにかく最初にちゃんと話して一緒に時間を過ごしたのはニューヨークのダウンタウンにあるバーでした。汚いデニムにカットオフのネルシャツ、髪はボサボサでベタベタ。顔がハンサムな色男がカウンターにいるなというだけの印象でしたが話し出したらとてもウマが合って、そこから友達になったという、僕にはあるあるの話です。でも、その時のことでよく覚えているのがバーには僕らしかいなかったんですよ。それでちょっとトイレに行ってくるって言って僕がトイレに行って用を足して手を洗い、カウンターに戻ると、もういつのまにか綺麗な女の子が2人、両側からノーマンに群がっていたのです。目がトロンとしてしまって。「一体全体、数分の間に、俺がトイレに行っている間に何が起こったんだ?」。ノーマンはただ肩をすくめて、「俺にもよく分からない」という顔をするのでした。僕の人生、色んな野郎と付き合ってきまして、中にはとんでもない格好いい人たちっていうのが何人もいましたけど、その中でもノーマンは3本の指に入る本当にモテる男です。かなりの夜を一緒に飲んできましたが、そのモテ方っていうのがほぼ磁石みたいなんですよね。ある程度の距離に近づいて女の子がノーマンの顔を見ると、無意識に寄ってきちゃうんですよね。それが道で歩いてようが、バーにいようが、昼間のカフェだろうが。凛々しい体と顔をしていますし、なのに目はすっごい綺麗なんですよ。それだけだったら基本、“全人類の男の敵”と言えるようなキャラなんですけど、性格自体はバイクとかそういうのが大好きな兄ちゃんキャラで、しかも人には親切で、見なりも気にしないという訳で男受けもいい。つまり、すごい奴なんですよ。
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僕が出会ってからずっと彫刻のようなオブジェを作ったり、モノクロの写真を撮ったりとほぼ好きなことだけをしてきたようなノーマンが、ある日「これからしばらく、ニューヨークを離れるから会えなくなるな」と言いました。もう15年とか、下手したら16年ぐらい前のことだと思いますが、当時僕は2ヶ月に1度はニューヨークに仕事がなぜかあって行っていて、その都度ノーマンと会って飲んでいました。「え、どっか行っちゃうの?」「そろそろ、ちゃんとした仕事しないと。ジョージアでドラマの撮影があるから、そっちに長く滞在するんだ」「え、お前がテレビドラマ!?そんなのすごく嫌ってたじゃないか」「まあでも、俺ももう40代だ。ちょっと違うことしてみるわ」。そんな感じだったんですよ。そうして1年ほどノーマンと会うことはありませんでしたが、ある時友達に「アメリカですごく面白い“ゾンビドラマ”が始まったからクンも観るべきだ」と勧められました。普段はそういうもの一切観ないんですけども、ある時、気まぐれでちょっくら観てみるかとTSUTAYAでDVDを借りまして観始めたんですよ。そしたら、「あ!ノーマン」…。なんと、そのジョージアに行ってしばらく帰らないって言っていたドラマが『ウォーキング・デッド』で、それが彼の当たり役としてもう15年ほどやっているダリルでした。それからは全てが変わってしまいました。例えば2人でバーで飲んでいても、外に出てみたらTwitterで彼がどこにいるとファンが書き込んでいて、すでに100人くらいに取り囲まれていたり、どこへ行っても人だかり。けれど本人自体は全く変わらず、写真を一緒に撮ってあげてサインをしたり・・・ちょっと移動するのに1時間かかったこともあります。ですが本人曰く、「ファンのお陰で俺がいるんだから、できる時はできる限りのことをするさ。みんな喜んでくれるなら」って感じで飄々とやるんですよね。本当に変わらなくって、僕が以前、雑誌の特集を作っていてモデルがいない時は「俺がタダでやってやるよ」と引き受けてくれたり、『犬が島』という映画を作った時にニューヨークでプレミアをやると伝えたところ、「クンの一生にきっと何度もない晴れ舞台だぞ」と言って撮影先の海外からわざわざ当日、飛行機で帰って来てくれて、タキシードを着て記者たちの対応までずっとしてくれました。あれもこれもバーで出会って意気投合したからです。しかも互いに何をやってるか分かってないっていう感じですからね。皆さん、“夜の出会い”って大事ですよ。だから、家飲みも良いですが外に出ましょう。いつもそうやって色んなことを引き受けてくれたノーマンですから、彼が何かを頼んできた時はもちろん僕もタダでやります。金勘定抜きの付き合いが持てる友達というのは本当に最高だし、ありがたいなと思ってます。「今回、写真展をここまで手伝ってくれから、次は俺の番だな」。そう言って帰って行きました。写真自体は彼が世界中の街で撮った彼なりの風景写真で、とても彼らしくもあり、知らない人が見たら、「あぁ素敵な面白い街の風景だな」ときっと思うと思います。もう個展は終わってしまいましたけども、本も出版されていますし、是非、ググって観てみてください。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。