コルシカ島、カリフォルニア、ブルゴーニュ……ワインと人生を巡る旅。

山梨県甲州市のワイナリー“Kisvin Winery（キスヴィンワイナリー）”で醸造責任者を務める斎藤まゆさんに、ワインを学んだカリフォルニア、伝統に触れたフランス・シャブリ、さらに山梨・甲州から世界に羽ばたくワイン造りにかける想いなど伺います。

MEMORIES

: 斎藤さんとワインの運命の出会いは、大学2年の時。フランス語の先生が企画した研修旅行で、40人ほどの学生たちとボルドーやブルゴーニュなど数々の有名シャトーを巡り、最後はコルシカ島でブドウの収穫をするツアー。その収穫体験をした醸造所ドメーヌ・ペトラ・ビアンカで、雷に打たれたようにワインに恋をしたのだとか。

: ワイン造りを学ぶため斎藤さんがまず向かったのは、カリフォルニア州立大学のワイン醸造学科。日本で新たにワイナリーを始めるにあたり、フランスなどもともと伝統あるワインの産地よりも、当時ワイン産地としてもビジネスとしても急成長していたカリフォルニアでの修行を選択。必死に学んだ結果、大学で醸造アシスタントのポジションを勝ち取り、学生に指導する側も経験出来たことで、より深く学べたのだそう。

: カリフォルニアの次にワイン造りを学んだ、フランス・ブルゴーニュ地方はヨンヌ県にあるシャブリ。老舗のドメーヌ・ジャン・コレで働かせてもらいながら、赤ちゃんが産まれればシャンパーニュの香りを嗅がせ、村で育った若者達は20代で皆ブラインド・テイスティングを難なく当てるという現実を目の当たりにし、その伝統の強さを感じたそう。

: 斎藤まゆ
ワイン醸造家。早稲田大学在学中の2000年、コルシカ島でブドウを収穫したことからワインに目覚める。2008年カリフォルニア州立大学農学部醸造学科を卒業、同大学の醸造家に抜擢され学生の指導にあたる。その後フランス、ブルゴーニュ地方に渡りシャブリのドメーヌ・ジャンコレで研鑽を積み、2011年日本に帰国。2013年山梨県にKisvin Winery(キスヴィンワイナリー)を栽培家と共に立ち上げた。独自の感性を反映したワインは発売開始から瞬く間に星付きレストランや高級ホテルがこぞって採用。2017年には「ワインの神様」と呼ばれる世界最優秀ソムリエ、ジェラールバッセ氏に見出され、「ユニークでセンセーショナル、才能ある醸造家」とSNSで世界に発信されたことで話題となった。2019年にはANA国際線ファーストクラス搭載ワインに採用された。研究と進化を止めない、注目のワイナリーを牽引する斎藤だが、写真や文章、音楽などワインにとどまらずその才能を発揮しており、当面の夢は「ワインの歌を作ること！」目標を語り、次々に実現するその生き方に、幅広い世代からさらなる共感と期待が集まっている。


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: ライター・エッセイスト。北欧の暮らしやインテリア、旅をテーマに執筆。主な著書に『3日でまわる北欧』シリーズ（トゥーヴァージンズ）、『北欧のおもてなし』（主婦の友社）、『日本で楽しむわたしの北欧365日』（パイインターナショナル）など。近刊『探しものは北欧で』（大和書房）では、20年近く通う北欧の町や旅の様子をエッセイで綴っている。北欧食器とテキスタイルの店『Sticka　スティッカ』も運営。インスタグラム　 HP：北欧BOOK