ANA WORLD AIR CURRENT

世界の各地で体験した思い出を語り合う60分。
EVERY SATURDAY 19:00-19:54 on J-WAVE

NAVIGATOR : 葉加瀬太郎
ON AIR
2022/08/27
GUEST
杉本博司
DESTINATION
New York

杉本博司の人生を巡る旅〈前編〉〜その創作の原点とは?

写真、建築、造園、彫刻、執筆、古美術蒐集、舞台芸術、書など、世界のアートシーンを舞台に活動する現代美術作家の杉本博司さん。今週は、杉本さんの表現の原点である写真との出会い、70年代に渡米した伝説のNYアートシーンや、中でも別格だったというオノ・ヨーコさんとの交流など、杉本さんのライフストーリーを〈旅〉と共に振り返ります。

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MEMORIES

LA留学の後、74年にNYへ。そこで現代美術に出会ったことが人生の転機に。ドナルド・ジャッドやダン・フレイヴィンの作品に衝撃を受けつつ、自分と似た思考を感じた杉本さん。ひねくれ者が堂々とアートとして扱われるのを目の当たりにし、既に身に付けていた技術を用いて、当時「アート界の二流市民」と言われていた写真というメディアを一流にしてみせようと思ったのが原点だったそう。
現代美術に着目した杉本さんの最初の作品が、自然史博物館で剥製のシロクマを大型カメラで撮影した「ジオラマ」シリーズの「シロクマ」。事前に博物館の広報に電話して「観光客が写真を撮ってもいいか?」と問い合わせ、OKをもらったのを言質にゲリラ撮影を敢行したのだとか。
当時のNYのアートシーンには、篠原有司男を中心とするネオダダグループ、荒川修作、河原温、さらに、当時ジョン・レノンと別居中だったオノ・ヨーコなど、100人を超える日本人がいたそうです。ある日、麻雀の面子が足りないと呼ばれたダコタ・ハウスで、一人勝ちしたことも。
現在、姫路が市を挙げての企画を開催中。その一つが、西の比叡山といわれる圓教寺で8月末まで開かれている展覧会「圓教寺×杉本博司 五輪塔―地 水 火 風 空」。さらに9月17日からは姫路市立美術館にて「杉本博司展 本歌取り ?日本文化の伝承と飛翔」が開催される。和歌でいうところの「本歌取り」を、写真、書、茶道具など、様々な分野の作品を現代の美術にアレンジした作品群を展示。また姫路城では、自然光の中で舞われていた前近代の能に近づけた「能クライマックスー翁 神 男 女 狂 鬼」も予定。

PLAYLIST

  • 4Runner / Rostam
  • Lost and Found / Orchestre Tout Puissant Marcel Duchamp
  • Stephanie Says / The Velvet Underground
  • Mozart: Symphony No. 40 in G Minor, K. 550, I. Molto Allegro / Karajan(Herbert Von)/Berliner Philharmoniker
  • BEAUTIFUL WORLD / 葉加瀬太郎
  • O’Oh / Yoko Ono & Shitake Monkey

GUEST

杉本博司

1948年東京生まれ。1970年に渡米、1974年よりニューヨーク在住。活動分野は写真、建築、造園、彫刻、執筆、古美術蒐集、舞台芸術、書、作陶、料理と多岐にわたり、世界のアートシーンにおいて地位を確立してきた。杉本のアートは歴史と存在の一過性をテーマとし、そこには経験主義と形而上学の知見をもって西洋と東洋との狭間に観念の橋渡しをしようとする意図があり、時間の性質、人間の知覚、意識の起源、といったテーマを探求している。作品は、メトロポリタン美術館(NY)やポンピドゥセンター(パリ)など世界有数の美術館に収蔵。代表作に『海景』、『劇場』、『建築』シリーズなど。2008年に建築設計事務所「新素材研究所」を設立、MOA美術館改装(2017)、清春芸術村ゲストハウス「和心」(2019)などを手掛ける。2009年に公益財団法人小田原文化財団を設立。2017年10月には構想から20年の歳月をかけ建設された文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」をオープン。伝統芸能に対する造詣も深く、演出を手掛けた『杉本文楽 曾根崎心中』公演は海外でも高い評価を受ける。2019年秋には演出を手掛けた『At the Hawk’s Well(鷹の井戸)』をパリ・オペラ座にて上演。主な著書に『苔のむすまで』、『現な像』、『アートの起源』、『空間感』、『趣味と芸術?謎の割烹味占郷』、『江之浦奇譚』、最新刊に『杉本博司自伝 影老日記』。1988年毎日芸術賞、2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞。2010年秋の紫綬褒章受章。2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ受勲。2017年文化功労者。

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ON AIR
2024.12.28
GUEST
角幡唯介
DESTINATION
Philadelphia
1976年北海道生まれ。探検家・作家。チベットのヤル・ツアンポー峡谷の単独探検や、極夜の北極探検など独創的な活動で知られる。近年はグリーンランドとカナダ・エルズミア島の地球最北部で狩りをしながら犬橇で旅をするエスキモースタイルの長期旅行を実践する。『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で開高健ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞など、『雪男は向こうからやってきた』で新田次郎文学賞、『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で講談社ノンフィクション賞、『極夜行』で大佛次郎賞などを受賞。近著に『裸の大地』第一部・第二部、『書くことの不純』。