ANA WORLD AIR CURRENT

世界の各地で体験した思い出を語り合う60分。
EVERY SATURDAY 19:00-19:54 on J-WAVE

NAVIGATOR : 葉加瀬太郎
ON AIR
2022/09/03
GUEST
杉本博司
DESTINATION
Ireland

杉本博司の人生を巡る旅〈後編〉〜U2ボノと交わした契約とは?

先週に続き、現代美術作家の杉本博司さんの人生を辿る旅。U2ボノとのとっておきのエピソードや、初の自叙伝となる『影老日記』のお話、さらに、杉本さんがいま思う人生の旅についてなど伺います。

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MEMORIES

U2のアルバム「NO LINE ON THE HORIZON」のジャケットに『海景』シリーズの一作が使われたきっかけは、アイルランド人の友人。彼がプライベートジェットで送ってくれた帰り道、昼食を友達と食べるからと寄り道した先はニース。その海岸沿いに建つ別荘の前で出迎えた男が、ボノだった。『海景』が大好きという彼に「ここの海を撮って欲しい」と頼まれた杉本さんの答えは「残念でしたね。人に頼まれたら撮らないんだ。頼まなければ撮ったかもしれないのに」だったそう。
そんな出会いからボノと友達になった杉本さん。「海景から触発された曲だから一緒に作ろう」とアイルランドの自宅に呼ばれ、ギタリストのエッジに「こんな感じかな?」など尋ねられたりしつつ、さながら一泊二日の合宿。そんな経緯で、新作ではないものの既に撮っていた写真の提供を決めたのだそう。
作品の提供にあたり、弁護士や会計士などがNYのスタジオに集合ましたが、当人たちは「面倒くさいな…」。そこで二人だけの相談で取り決めたのは“ストーンエイジディール“、つまり物々交換。「僕は君の音楽を、君は僕の写真を使える権利を交換しよう、現金は無し!」ドアを開けその旨を伝えると、弁護士たち皆が腰を抜かしたそう。
JAXA、東大、SONYがタッグを組み、アーティストが自由に使えるカメラを搭載した衛星を打ち上げるプロジェクトの第一弾が10月に行われます。実は最初、杉本さんが被写体に提案したのは「月の海」。残念ながら今回は予算オーバーとのことで、まずは地球を周回するコースで進行中なのだとか。

PLAYLIST

  • Happiness (Dance Floor Edit) / The 1975
  • No Line on the Horizon / U2
  • Breathe / U2
  • Fly Me to the Moon / Julie London
  • スターライト / 葉加瀬太郎
  • Across The Universe / Jim Sturgess

GUEST

杉本博司

1948年東京生まれ。1970年に渡米、1974年よりニューヨーク在住。活動分野は写真、建築、造園、彫刻、執筆、古美術蒐集、舞台芸術、書、作陶、料理と多岐にわたり、世界のアートシーンにおいて地位を確立してきた。杉本のアートは歴史と存在の一過性をテーマとし、そこには経験主義と形而上学の知見をもって西洋と東洋との狭間に観念の橋渡しをしようとする意図があり、時間の性質、人間の知覚、意識の起源、といったテーマを探求している。作品は、メトロポリタン美術館(NY)やポンピドゥセンター(パリ)など世界有数の美術館に収蔵。代表作に『海景』、『劇場』、『建築』シリーズなど。2008年に建築設計事務所「新素材研究所」を設立、MOA美術館改装(2017)、清春芸術村ゲストハウス「和心」(2019)などを手掛ける。2009年に公益財団法人小田原文化財団を設立。2017年10月には構想から20年の歳月をかけ建設された文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」をオープン。伝統芸能に対する造詣も深く、演出を手掛けた『杉本文楽 曾根崎心中』公演は海外でも高い評価を受ける。2019年秋には演出を手掛けた『At the Hawk’s Well(鷹の井戸)』をパリ・オペラ座にて上演。主な著書に『苔のむすまで』、『現な像』、『アートの起源』、『空間感』、『趣味と芸術?謎の割烹味占郷』、『江之浦奇譚』、最新刊に『杉本博司自伝 影老日記』。1988年毎日芸術賞、2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞。2010年秋の紫綬褒章受章。2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ受勲。2017年文化功労者。

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NEXT FLIGHT

ON AIR
2024.12.28
GUEST
角幡唯介
DESTINATION
Philadelphia
1976年北海道生まれ。探検家・作家。チベットのヤル・ツアンポー峡谷の単独探検や、極夜の北極探検など独創的な活動で知られる。近年はグリーンランドとカナダ・エルズミア島の地球最北部で狩りをしながら犬橇で旅をするエスキモースタイルの長期旅行を実践する。『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で開高健ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞など、『雪男は向こうからやってきた』で新田次郎文学賞、『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で講談社ノンフィクション賞、『極夜行』で大佛次郎賞などを受賞。近著に『裸の大地』第一部・第二部、『書くことの不純』。