ANA WORLD AIR CURRENT

世界の各地で体験した思い出を語り合う60分。
EVERY SATURDAY 19:00-19:54 on J-WAVE

NAVIGATOR : 葉加瀬太郎
ON AIR
2023/01/07
GUEST
大石始
DESTINATION
Seoul

ソウルの街の蠢きと、ハレの日/祭りのエネルギーを感じる旅。

世界の音楽・地域文化を追いかける文筆家で、旅と祭りの編集プロダクション「B.O.N」主宰の大石始さん。初海外の旅から長年通ってきた韓国ソウル、地域に密着したハレの場を求めて国内外で訪れた“祭り”を巡る旅、さらに屋久島に古くから伝わる幻の民謡のお話など伺います。

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MEMORIES

2007〜08年にかけての約10ヶ月間、夫婦で20ヶ国以上を旅した大石さん。フィンランドのヘルシンキからスタートし、地中海周辺や北アフリカ、南米、カリブ、中米と様々な国を訪れた中で、強烈な音楽体験の1つがモロッコはエッサウィラのグナワフェスティバル。グナワとは、カルカベという金属製のカスタネットを鳴らすトランス的な呪術音楽で、寝ていても頭の中でカルカベが鳴っている気がする程、祭りの間は街中で聞こえるのだそう。
90年代から訪れているソウルの街並みは変化が速く、静かだった学生街のホンデにはクラブが沢山でき、初DJをした10年前からクラブシーンも拡大、成熟を感じるそう。音楽シーンにはパンソリをフィーチャーしたレゲエバンドがいたり、現代型の面白い混ざり合いがある。お客さんは、お酒を飲むと尋常ではないほど盛り上がる一方、朝方にはブルージーに酒に浸ってみたりと、ラテン気質と泣きの部分の両極端があるところがなんとも好きなのだとか。
コロナ以前に訪れていたレコードバー「コプチャンチョンゴル」では、山積みの70年代の韓国のレコードを聴きながらお酒を飲み、夜が深くなると皆で合唱したりと大騒ぎに。思い出の味は「乙密台(ウルミルデ」という平壌式冷麺の店。うすく繊細な出汁のさっぱりとした味がたまらないそうで、韓国に行くと先ず冷麺を食べて自分をチューニングするそうです。
奄美大島の秋名集落の祭り「ショチョガマ」は深夜から山の中腹の小屋の上で男達が太鼓を叩き豊稔の歌を歌う。太陽が覗く瞬間に小屋を倒し、その上で歌い踊る様は、一晩で壮大なコンサートを見るかのごとく圧巻。岐阜県郡上市白鳥町の「白鳥おどり」。最後にかかるキラーチューン「世栄」がテンポを上げ、夜明けに向かってクライマックスを迎える徹夜おどりの感動は言葉にできなかったそう。そんな大石さんの著書「南洋のソングライン ―幻の屋久島古謡を追って」は、古の民謡「まつばんだ」のルーツを探る屋久島の旅が収められたノンフィクションです。

PLAYLIST

  • Bon Dance / millennium parade
  • Kouyou Kouyou / Moktar Gania & Gnawa Soul
  • Sing a Song & Dance / NST & The Soul Sauce
  • 万讃歌 meets 北斎 / 葉加瀬太郎
  • 世栄 / 白鳥おどり

GUEST

大石始

1975年、東京都出身。世界の音楽・地域文化を追いかける文筆家。旅と祭りの編集プロダクション「B.O.N」主宰。著書・編著書に『盆踊りの戦後史』『奥東京人に会いに行く』『ニッポンのマツリズム』『ニッポン大音頭時代』『大韓ロック探訪記』など。

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ON AIR
2024.12.28
GUEST
角幡唯介
DESTINATION
Philadelphia
1976年北海道生まれ。探検家・作家。チベットのヤル・ツアンポー峡谷の単独探検や、極夜の北極探検など独創的な活動で知られる。近年はグリーンランドとカナダ・エルズミア島の地球最北部で狩りをしながら犬橇で旅をするエスキモースタイルの長期旅行を実践する。『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で開高健ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞など、『雪男は向こうからやってきた』で新田次郎文学賞、『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で講談社ノンフィクション賞、『極夜行』で大佛次郎賞などを受賞。近著に『裸の大地』第一部・第二部、『書くことの不純』。