ANA WORLD AIR CURRENT

世界の各地で体験した思い出を語り合う60分。
EVERY SATURDAY 19:00-19:54 on J-WAVE

NAVIGATOR : 葉加瀬太郎
ON AIR
2023/04/22
GUEST
内田也哉子
DESTINATION
London

ホームステイ、留学、家族の思い出…内田也哉子さんが旅から見つけたものとは?

子どもの頃から海外で様々な文化や社会に触れた経験を持つ、文筆家の内田也哉子さん。夏休みの度に海外にホームステイに出されたという幼少期、高校生になって自分で決めたスイス・ジュネーブでの寮生活。さらに大人になり一家団欒の時間を持てたロンドンでの生活など、旅をしながら成長し、学んできた也哉子さんのお話、たっぷり伺います。

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MEMORIES

希林さんの「私一人で人間を育てられるわけがないんだから、世間に揉まれて育って欲しい」というポリシーのもと、小学3年生から休みの度に海外のホームステイに“放り出され”ていたという也哉子さん。9才で初めてアジア人が一人もいないNY郊外に1年間行かされたときは「本当に捨てられたのかな?」と思うくらい、滞在中1回も手紙も電話も来ず…帰る頃には日本語が話せない状態で、帰国後しばらく親とコミュニケーションがとれない日々。幼い也哉子さんにとっての旅は“神経がすり減る作業”だったそう。
その後もアトランタ、アラバマ、バーモント、さらにオーストラリアのシドニー、ブリスベン、フランスのトゥール、ラ・ロシェル、モンペリエ、ニース、パリなどに旅に出された也哉子さんが、初めて自分から「日本ではないどこかに行きたい」と思ったのはインターナショナルスクールから地元の都立の高校に移った頃。思春期のモヤモヤもあって「フランス語の学べる国に行きたい」と思い、フランス、カナダ、スイスの大使館を自転車で巡った也哉子さん。一番親切だったスイス大使館で「一番色んな種類の子供が来るのはどこですか?」と聞いて学校を決め、自分で書類も送り、その数週間後にはスイスに飛んでいたそう。
現場マネージャーをつけなかった希林さんは、通訳の代わりといって度々也哉子さんを海外ロケに連れて行ったそう。中でも初めての中東文化と出会ったエジプトでのドキュメンタリー撮影は印象的で、ピラミッドに登ったり色んな家庭に招かれ、貧しいお家からゴージャスな暮らしまで、普通の旅ではできない経験を沢山したのが10才の頃。「あなた見たわね。同じ国や街で、一本道を隔てるとこれだけ生活の水準が変わる。これが人間界の現状ということをよく覚えておきなさい」という母の言葉が今となっては財産に。
長女がイギリスの女子校に行ったことをきっかけに、2012年から5年間ロンドンで暮らした也哉子さん一家。東京ではなかなか出来なかった夫婦の時間、子ども達との時間を持てたのが、なによりのギフトに。公園が身近で、雨が降れば美術館へ。夏にはヴィクトリア&アルバート博物館の中庭の池で子どもたちが自由に遊んでも誰も咎めず、アートの前に座り込んで絵を描いても怒られない。あらゆるジャンルの文化や世代に寛容なロンドンの風通しの良さが心地良かったそう。

PLAYLIST

  • Panic Cord / Gabrielle Aplin
  • 1234 / Feist
  • The Psychiatrist Is In / God Help The Girl
  • 少女がみたもの / NH&K TRIO
  • London / Mokita

GUEST

内田也哉子

1976年東京生まれ。エッセイ執筆を中心に、翻訳、作詞、音楽ユニットsighboat、ナレーションなど、言葉と音の世界に携わる。幼少のころより日本、米国、スイス、フランスで学ぶ。三児の母。著書に『新装版ペーパームービー』(朝日出版社)、『会見記』『BROOCH』(ともにリトルモア)、樹木希林との共著に『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)など。絵本の翻訳作品に『たいせつなこと』(フレーベル館)、『岸辺のふたり』(くもん出版)、『ママン-世界中の母のきもち-』(パイインターナショナル)、『点 きみとぼくはここにいる』(講談社)、『うみ』(岩波書店)などがある。季刊誌『週刊文春WOMAN』にてエッセイ「BLANK PAGE」、月刊誌『家庭画報』にて季節連載「衣だより」を連載中。Eテレ『no art, no life』(毎日曜 8:55〜)では語りを担当。

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ON AIR
2024.12.28
GUEST
角幡唯介
DESTINATION
Philadelphia
1976年北海道生まれ。探検家・作家。チベットのヤル・ツアンポー峡谷の単独探検や、極夜の北極探検など独創的な活動で知られる。近年はグリーンランドとカナダ・エルズミア島の地球最北部で狩りをしながら犬橇で旅をするエスキモースタイルの長期旅行を実践する。『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で開高健ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞など、『雪男は向こうからやってきた』で新田次郎文学賞、『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で講談社ノンフィクション賞、『極夜行』で大佛次郎賞などを受賞。近著に『裸の大地』第一部・第二部、『書くことの不純』。