2020年12月17日

各地の様々な「しめかざり」と輪かざりのススメ、というお話です。

グラフィックデザイナー・森須磨子さんをお迎えしています。

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小黒「同じ地域で、しめ飾りの形状が変わる
境界線など発見したことなどはありますか?」

森さん「今の都道府県の行政区分としめ飾りの
区分とはそんなに分かれているわけではないですね。
四国なんかでお正月に電車に乗って車窓を見ていると、
この辺りは丸いしめ飾りがあるな〜と思ってみていたら、
川を跨いだ途端、ゴボウになった!となったり、
やっぱり昔は山とか川とかそういうもので
形状が変わっていたと思います。
後、もっと小さい集落単位で
変わってたのではないか、
など…そういうことを考えさせられますね」

ーー今回の展覧会には、輪飾りと呼ばれるしめ飾りが…!


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森さん「今回の展覧会は輪飾りを紹介したくて、
開いたのではというほと、思い入れがあります。
輪飾りという言葉自体は、地方によって違うのですが、
いわゆる、玄関や神棚に飾る大きなしめ飾りではなく、
大体細い縄をくるっと巻いた、小さなものです。
これはどこに飾るとかというと、
その一年を振り返って、自分が一番よく使ったものや
場所に一つ一つ感謝を込めて付けるんです。
例えば昔だったら、クワとかの農機具や、
米倉の入り口やかまどにつけたんです。
そういう風に、付ける場所を自分で考えなきゃいけないのが、
素晴らしいなと思って、結局自分の一年を
振り返らざるを得ないんです。
どこに付けようかな、どれに感謝しなきゃなと、
考える時間を与えてくれるのが輪飾りで、
それはすごく今の時代に使えるんじゃないかなと思うんです。
都内だと2個セットくらいでしか売ってないんですが、
地方では大量にセットで売られている…それは
それだけ飾るところがあるでしょ?ということなんです。
つけ終わった頃には、私こんなにいろんなものに生かされてるんだ、
ということに気づくし、それが一年の終わりの切り替えになるので、
輪飾りは本当にいいと思います。」

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2020年12月16日

現在開催中の展覧会「渦巻く知恵 未来の民具 しめかざり」のお話を中心に伺います。

グラフィックデザイナー・森須磨子さんをお迎えしています。

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小黒「しめかざりの本って、今日お持ちいただいた
森さんの著書『しめ飾り』。
この本の前にはこういったまとまった本というのは
ないんですか?」
森さん「研究書のようなものはあるんですけど、
それも全国のものを網羅したわけではないのと、
視点にしても造形だけを追っていたりしていたので、
こういった本はあんまりなかったと思います。」

小黒「今まで、しめかざりをご自宅に
保存していたらしくて、虫がわいたりネズミが
食べちゃったりしたらしいですけど…
何点くらいあったんですか?」
森さん「300、400はあったと思います。
家中の納戸やベットの下の隙間などに
段ボールを押し込んで生活していました。
今、展示会で展示しているものは全部で
120点くらいありますね。」
小黒「あそこで展示されている中には、
大きいものもありますよね?
あれを地方からどうやって担いできたの?」
森さん「よく人に言うんですが、
サンタさんの袋みたいなものを持ち歩いていて、
そこに購入したり、もらったりした
しめかざりを入れて持ち帰っています。
電車に乗ると周りの人の視線が痛いので、
私の方から目線を合わせないようにしています。」

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2020年12月15日

デザインとしての「しめかざり」とその作り手のお話です。

グラフィックデザイナー・森須磨子さんをお迎えしています。

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森さん曰く、しめ飾りは
作る人の数だけ種類があるといいます。
ざっくり、種類を分けると5、6種類。
玉飾りや牛蒡じめ…など形によって大雑把には分けられます。
また、動物を形象したものもあり、
縁起のいいエビや鶴、鳩を象ったものも。
土地によってそこにしかない形があるとのことです。
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ーー今現在しめ飾りの作り手の方とは?

森さん「専業で一年中作っていらっしゃるところも
いっぱいありますし、普段は農業をしている人とか、
他の仕事をしている多種多様な人が作っていますね。
最近は、藁が手に入れにくくなっているので、
素材は多様になりました。
すげ、まこも、い草…あとは水草と
一言でまとめているものもあるんです。
コンバインで稲を収穫すると、
稲藁を細かく裁断してしまうんです。
バインダーという器具を使って、
長い稲藁をとることもできるんですが、
すごい手間がかかります。
それで、どんどんどんどん”藁離れ”も
してしまうというところもありますね。
今は海外製が多いので、海外でしめ飾り用の
田んぼを作ってもらって、現地の人が
しめ飾りを作る…そういうことが
今、行われています。」

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2020年12月14日

日本全国に伝わる「しめかざり」の研究と収集、展覧会のお話など…たっぷりと伺います。

グラフィックデザイナー・森須磨子さんをお迎えしています。

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ーー森さんが企画制作された展覧会「渦巻く智恵 未来の民具 しめかざり展」が 
三軒茶屋キャロットタワーの生活工房ギャラリーにて開催中です。

森さん「最初は、お正月っていつくるんだろう、
という疑問があって、元旦の朝を開けたらなのかな
と思っていたら、大晦日の日が暮れてからなんですね。
そこから、歳神様が降りてくるということで、
その歳神様は玄関先のしめ飾りを、夜の月明かりで
見ているんだろうなと。
そんな、イメージを展覧会で再現できないかと思い、
今回、暗い部屋でしめ飾りを展示して。
尚且つ、キャプションも説明もなく、ただしめ飾りが
月明かりで照らされているような感覚を体験して
いただきたくてそのような部屋にしてみました。」

――そもそも。しめ飾りの由来とは?
森さん「元々は、年男と呼ばれる家の家長が作るもの
だったんです。職人さんや神主さんが作るのではなく、
家で、自分のために…特に昔は農家が多かったから、
自分の田んぼでとれた藁を使って、歳神様をお迎え
するために作るものなんです。」

今週の選曲… WALKING VIBRATION / 細野晴臣

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2020年12月09日

りんご“と”フクロウ“と”ねずみ“…意外な関係性とは?

作家・谷村志穂さんをお迎えしています。

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ーー青森のリンゴ園にはフクロウがいます。

かつては、世界のリンゴ園で見られていた光景だそうです。

谷村さん「リンゴの樹の樹洞にフクロウが営巣して
いたんですけど、人間が排除していったんです。
それから、リンゴの植え方が”ワイ化栽培”と言って、
細い木で早く育つようにした所、フクロウが入って
これなくなった。
逆に、ネズミは樹をかじりやすくなったんです。
フクロウが食べてくれていたネズミが増えていったので、
ある時、フクロウをもう一回戻そうという話になったんです。
青森が先駆けでそれを始めまして、
今ずいぶん戻ってくるようになったと、
聞いています。」

ーー谷村さんは、北海道大学農学部で、
応用動物学を専攻されていました。

谷村さん「主に進化論の中で、動物の行動が
どういう風に位置付けされるのかというのを
やっていました。
私はたまたまフクロウの餌になるノネズミを
研究していました。冬眠するのではないか…
ということだったのを調べていたんですが、
なかなか寝てくれなくて…。
でもその後、後輩たちが次々と他のことを
見つけてくれて。動物ってすごく寒かったり、
暑かったりすると、代謝を下げてやりすごそう
とするんでしょうね。」

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2020年12月08日

著書「ききりんご紀行」と「りん語録」…2冊のりんご本について伺います。

作家・谷村志穂さんをお迎えしています。

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ーー最新作の「りん語録」、そして、2016年にも
「ききりんご紀行」というりんごにまつわる本を
出版されています。

谷村さん「いろんな品種があることに気付いて、
1万5千種も品種があって、日本だけでも2千種あると
言われています。それが『ききりんご紀行』を
書いている時なんですけど、食べて調べて書いて…
としている内に一冊が終わってしまいました。
取材を、青森から飛び出してりんご県と呼ばれる県は
全て回る内に、りんごのいろんな言葉に
出会って行ったんです。
栽培家の言葉や、いろんな文学表現や、
音楽に出てくるりんごって何りんごなんだろう…
というのを探っていく旅も続けて、
この度、新作の『りん語録』という本を
出させていただきました。」

谷村さんが教えるりんごの保存方法で大事なことは、
『一つ一つ保湿してあげること』
一つずつラップで包むことでりんごのガスが
他の食品を攻撃するのを防ぐそうです。

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2020年12月07日

リンゴに魅せられて、「ききりんご紀行」と「りん語録」…2冊のりんご本を書き上げたお話、たっぷりと伺います。

作家・谷村志穂さんをお迎えしています。

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ーー今まで発表された作品とは全く違った
作品であるエッセイ『ききりんご紀行』と
今年10月に出版された『りん語録』。
りんごに関する本を書くきっかけとは?

谷村さん「私っていろんなこと書いてきたな、
って思った時に、一番遠かったのがりんごだったんです。
全く関心はなかったんですけど。
青森の東奥日報という新聞で、

気軽に読めるエッセイをということで
声をかけていただいて。
その時に『りんごをテーマに書いてください』
という話でしたが、りんごのことはわからないし、
難しいと話をしていたんです。
そんな中で、青森県の黒石市にある
”りんご研究所”という所に寄って驚いたんです。
そこには世界中のりんごの品種が並んでいて。
研究者の人と歩いている時に
りんごに手をかける動作が優しいんです。
蛾が入ってきて、果実から汁が出てしまって…
研究者の方が『これはりんごの涙というんです』
って、言われて
クラスの中ですごく地味な子だと思っていたのに、

話すとすごい長い歴史とか『え、そういう人だったの?』
みたいな人に出会う時が、
私にとってはりんごだったんです。」

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2020年12月03日

「HARAPPA」を世界の言葉に…今後の活動について伺います。

HARAPPA株式会社代表で原っぱ大学・ガクチョーの
塚越暁さんをお迎えしています。

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ーー塚越さんが原っぱ大学を続ける一番の理由とは?

塚越さん「最初は自分のためです。
自分自身がこういう場が欲しかったし、
このコロナ禍で、事業としては
苦しかったりするんですが、
続けている理由は、きてくれた大人と子供の
喜びの声というか、楽しかったねという
空気感ですかね。
岡本太郎さんみたいな”爆発!”っていう
感覚が共鳴して広がっていくことで、
何事にも変えがたい喜びを得られました。

ーー原っぱ大学の今後の展開を伺いました。
塚越さん「僕たちの会社
『HARAPPA株式会社』と英字に
しているんです。日本語で言う原っぱは
身近な自然だったり自然と人の暮らしが
混ざったようなもの。
それって日本国内だけじゃなくて、
海外の人々がこれすごいって言って
くださって。いつか、この”HARAPPA”
という概念…遊び方を国内だけじゃなく
外国に出ていく。そんな時代が来たら
いいなって、いう意味での”HARAPPA”なんです。」

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2020年12月02日

“遊ぶ”という解放と、そこに集う“仲間”たち…とは?

HARAPPA株式会社代表で原っぱ大学・ガクチョーの
塚越暁さんをお迎えしています。

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ーーこれまで実施してきた遊びの中で
印象深いものは…?

塚越さん「HARAPPAと検索していただくと
出てくるのが、泥遊びなんです。
それぞれの活動拠点でそれぞれの泥があって。
しかも、僕らのフィールドには水道がありません。
その代わりに、溜めている雨水を泥の坂に
流していってスケートリンクみたいな状態に、
その下には穴を掘ってあって池みたいになります。
子供たちは水と一緒に坂を滑ってきて、
全身泥んこになります。
それって普段は大人が子供に、
『汚いからやっちゃダメ!』
っていうことなんですよ。
でも、それがこの場に来ると
なんとなく”やる”?みたいな空気になるんです。
怖そうだし、いたそうだし、汚いし…
でも、子供にやってもらいたいみたいな
マインドが親の中に出てくるんです。
そういう時に、こちらからは
子供にやって欲しいんだったら、まずは
アナタがやってみたら?って言うんです。
そうして、勇気ある大人が滑って
泥だらけになるんです。
帰りは電車っていう人だったりするんですけど
全身泥んこになることで何かが変わる…
それがいいですね。」
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小黒「参加するのにチケットが必要って
ことだけど、どのくらいするの?」
塚越さん「大体、4〜5時間くらいで、
1万5、6千円くらいです。」
小黒「結構高いね」
塚越さん「皆さん結構仰られるんですけど、
我々がみているのはその先なんです。
表面的な遊びというよりは、そこで
作られる家族の関係だったり仲間だったり。
その場の全員が自分を晒しているわけで、
自分自身が遊んでいないと場も遊ばない。
スタッフ自身も全存在をかけて
作ってくれている価値というのは
他にはないと思っています。」

塚越さん「最初にこの事業を始めて
集まってくださった”仲間”はなんだか
わからない…山で何をするのかも、
何を得られるのかもわからないのに、
喜んでお金を払ってきてくださった方々は
サービス提供者と受益者以上の関係を
結べています。」

今夜の選曲… HAVE SOME BOOGALOO / TIMMY THOMAS

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2020年12月01日

ワクワクの提供と選択の自由というお話、伺います。

HARAPPA株式会社代表で原っぱ大学・ガクチョーの
塚越暁さんをお迎えしています。

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ーー原っぱ大学の活動拠点には、
逗子市にある秘密基地「村や」や
古民家スペース「100Sai」があります。
こちらでの具体的な活動について伺いました。
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塚越さん「『村や』は山の中のちょっとした
平地と山があり、電気もガスも水道もない施設です。
僕らは自然教育ではなく、時々怒られるんですが
子供たちが木をペンキで塗ってしまっていたり、
プラスチックの破片や廃材が落ちたままの
人の遊びの跡がそのままになっています。
そこで、ものを作る、虫を捕まえる、
探検もできる、泥んこになる……
遊びの場が開かれていて、そこでよしなに
遊ぶというそんな場所です。

古民家の『100Sai』では『村や』の
町版で築100年くらいの家を借りて
ゆるりと過ごす場所です。
ここでは主に”サボール”という活動を
やっていて『明るくサボろうぜ』と。
みんなが集まってご飯を食べたりします。」
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塚越さん「『原っぱ大学』は、1回きりの
プログラムではなく何回も関係性を
築いていくという仕立てになっています。
最初は『何やってくれるんですか?』とか、
『どうやって遊んだらいいか分からない』って
質問が大人からも子供からも来ます。
でもそれに対して、主体者が僕たちで何かを
提供するのではなく、貴方自身のやりたいことを
一緒にやろう、やっていいんだ!という
関係性を築いて、回数を重ねていくと
多くの人が自分の中の声に素直になっていく…
そうした場を作っているイメージです。
ただ、始まりと終わりの時間は設けています。
やっぱり人は、なんでもやっていいというと
困ってしまう。
僕らスタッフの役割としては、
ちょっとした刺激…遊び心ですね。
今年は、100%天然素材のイカダを作って海に
浮かべようというのをやりました。
子供は途中で飽きちゃったりするんです。
ここにいろ!っていう強制はしません。
でも、これを海に出たらかっこいいんじゃない?
っていう声かけはして。やってもいいし、
やらなくてもいいよ、という場所を作ってます。
僕たちスタッフも一緒にやってワクワクすることを
用意しそれも教えてあげるではなく、
僕たちも分からないのでグーグルで検索しながら
一緒に対話して作り上げていく。
肝は、それをやらなくちゃいけないじゃない。
やらなくてもいいよ、っていうのが
場に用意されているそんな場所を作っています。」

↓↓↓原っぱ大学 公式HPはこちら↓↓↓
https://harappa-daigaku.jp

今夜の選曲… THEM BLUES / JUNIOR MANCE TRIO,BILLIE POOLE

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